柚香は少し迷った末、考えを巡らせてから口を開いた。「今、気分はどう?」「いいから、言ってみて」遥真は落ち着いた様子で、長い指を組んで膝の前に置いていた。「どんなことでも受け止められる。俺の打たれ強さがどれくらいか、君が一番よく知ってるだろ?」一番よく知っているからこそ、こんなことを聞いたのだ。以前、遥真は父親が約束を守らなかったことがあって以来、今もなお、約束を頑なに貫いている。もし、すべてを知ったら……「ほかのことなら、確かにあなたは打たれ強いと思う」柚香は、遥真がいろいろと考える時間を十分に与えながら続けた。「でも、今回のことをあなたが受け止められるかどうかは分からない。今までのどんなことよりも、あなたへの影響は大きいと思う。修司さんが私に見せた、あの写真以上に」遥真が顔を上げた。黒い瞳は、さっきよりもさらに深く沈んでいるように見えた。数秒の沈黙。そして、何かに気づいたように口を開く。「あのことと関係があるのか?」はっきりとは言わなかったが、柚香には分かった。「うん」「話して」声の調子は変わらなかった。けれど柚香は、遥真の指がわずかに強く握り込まれたことに気づいた。「この話が本当かどうかは、まだ分からない。修司さんから聞いたの」柚香は、それでも彼に伝えることにした。「千景のことは、あなたのお父さんが仕組んだ可能性が高い。彼が飛び降りたのは……」そこまで言ったところで、柚香の胸に不安がよぎった。遥真が口を開く。「俺のせい?」柚香は黙った。遥真の瞳が、さらに深くなる。「具体的に何があった?」「修司さんが言うには、千景が飛び降りる前に、お父さんが彼に会いに行っていたらしいの。話していた内容は、あなたに関することだったって」柚香は、自分の口からその残酷な真実を伝えた。「急いで俺を呼んで、修司からの電話にも出るなって言ったのは……あいつから聞いたら、俺が耐えられないと思ったから?」遥真はそのことを正面から考えようとはせず、むしろ柚香へと話を向けた。柚香は唇をきゅっと結んだ。遥真の声が低くなる。「今の君が本当はどう思ってるのか、教えて。今の俺には、それが大事なんだ」柚香は認めた。「……うん」「ありがとう」柚香は、お礼なんていらなかった。ただ、このことを乗り越えて、彼が無事
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