「何事も絶対に不可能とは限らない」涼介は今、とても冷静だった。「一つ、ずっとお父さんに言ってなかったことがある。この前、お父さんに言われておじいちゃんに会いに行ったとき、俺、お兄さんにも会ったんだ」「蓮司に?」拓海は眉をひそめた。涼介は頷いた。拓海の胸に、嫌な予感がよぎる。「俺たちの計画を話したのか?」「話してない」涼介はいたって冷静だった。どうすれば父親が考えを改めるのかも分かっている。「でも、蓮司には気づかれた。それで、もしこのことで遥真に狙われるようになっても、自分は助けないって念を押された」「口ではそう言っただけだ」拓海はそう言って、わずかに表情を緩めた。「本当に見捨てるわけじゃない」涼介は、父親が楽観的すぎると思った。「もし、本当に見捨てられたら?」拓海の顔色が曇った。今日の涼介はいったいどうしたというのか。さっきから何かにつけて水を差してくる。承輝のことで、そこまで怖くなったのか?「お兄さんは昔から、お父さんやお母さんとはあまり親しくないだろ」涼介は家族の利益を守りたいと思っていた。だが、その利益のために家族の命まで危険にさらすくらいなら、そんなものはいらない。「お兄さんとお父さんたちの間に何があったのか、俺には分からない。でも、お兄さんが俺にあんなことを言った時は、本気だった」「怖くなったのか!」拓海の声に怒気が混じった。「そうだよ」涼介はあっさり認めた。「お父さんに危険な目に遭ってほしくない。俺だって、この家がバラバラになるのは嫌だ。前に俺が修司と話をしに行ったこと、覚えてるだろ?」拓海の顔はますます険しくなり、我慢も限界に近づいていた。「覚えてる」「その時、俺は修司に、遥真を一緒に潰すために手を組もうって持ちかけた。あいつが欲しがってるものを手に入れるのを手伝うってな」あの時のことは今でもはっきり覚えている。「修司は最後まで礼儀正しく接してくれたけど、明らかに俺を見下してる目をしてた」自分という人間を見下していたわけじゃない。自分ごときが遥真を相手にしようとしていること自体を、無謀だと思っていたのだ。食事の席が終わる時、修司はこんなことまで言っていた。「俺の弟は気性が荒い。兄の俺ですらあいつには敵わない。少しでも平穏に暮らしたいなら、あいつを敵に回さないほうがいい」あのとき涼介
Magbasa pa