All Chapters of 婚約者に裏切られ、親友にも裏切られた私が後に掴んだ幸せは…: Chapter 11 - Chapter 20

76 Chapters

第11話 陸人さん

一緒に夕食の片付けをしながら、エレベーターホールで会った品の有るお婆様の話をした。 「凄く品があって素敵なの! 私もあんなお婆ちゃんになりたいなあ」と言うと、 「そっか……菜月は、可愛いお婆ちゃんになるよ」と、微笑んでいる。 「そうだといいなあ〜33階だって、きっとどこかの大会社の会長夫人よね〜」と言うと、 「そうかもね」と陸人さんは微笑む。 「お風呂入って来たら?」と言うので、 「うん、そうするね」 なのに、ガシッと顔を両手で押さえられたと思ったら、しっかりとしたキスが落ちて来た。 優しく滑り込んで来る陸人さんの舌に撫でられているように癒される。 ──あ〜ダメ〜倒れそうになる〜 と思ったら、片手で腰を支えられた。 ウットリしてしまう…… 「入っておいで」と、また頭を撫でられる。 ──あ〜何? 頭に触れられる度に、キュンキュンしちゃう 「うん、待っててね」 「うん」と優しく微笑む。 陸人さんのニコニコしている顔が好き。 癒される。 ──もう私、大好きなのよね〜陸人さんにハマってる〜 お風呂に入ってから、自動で洗濯機を回した。 「ハア〜温まった〜」と言いながら、 ウォーターサーバーのお水をグラスに入れて飲む。視線を感じると思ったら、陸人さんにジッと見つめられている。 「おいで」と陸人さんがソファーから手招きして呼んでいるので、グラスを持ったまま隣りに座ると、又後ろからぎゅっと抱きしめられた。 「あっ! 溢れるよ」と、笑いながら言うも離さない。 「菜月、色っぽ過ぎ」と言う。 「え〜? そんなことないでしょう?」と言うが、 「ううん」と、言いなが
last updateLast Updated : 2025-11-18
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第12話 富裕層家庭の事情

私がボーッとしていたから、 「あっ、そりゃあ驚くよな」と言いながらも陸人さんは、話を続けた。 陸人さんには、4歳上にお兄様がいらっしゃるようで、同じグループ会社の総合金融事業部門に就職され、現在は社長をされているようだ。 なので、お兄様が後を継ぐものだと思っていたから、陸人さんは、お父様の後に続けとばかりに、医師になる為の勉強をし、本当に医師として働いていたのだと言う。 ──え? え? また驚く項目が増えた? まだ、私の頭の中は、混乱していた。 「え?」と言って固まると…… 「24歳まで6年間大学の医学部で勉強して、病院で4年間医師として働いてた」と言っている。 「え────! 本当にお医者様だったの?」 「うん」と、にこやかに笑っている。 頭が追いつかず、ようやく少しずつ理解してきた。 驚き過ぎて、私は目をパチクリさせていた。 「あ、だから私が倒れた時……」と言うと、 「うん、すぐに親父の病院へ運ぼうかと思ったけど、スヤスヤと眠ってるようだったから」と笑われた。 ──親父の病院? お父様が働いている病院のことかな? 一般の人なら目の前で人が倒れたりしたら、怖くて念の為に救急車を呼んで病院へ連れて行くはずだと思っていたから。 「あ、そうだったんだね……ちなみに何科の?」と恐る恐る聞いてみた。 「内科」 「あっ、そうでしたか……」と私は、なぜか敬語で話していた。 ──きっと人気の有るお医者様だったんだろうな 「ハハッ、で、俺が28歳の時、お爺ちゃんがもう引退したいから俺に後を継いでほしい! って言うから」 「医者を辞めて、会社に?」 ──それも勿体ないような……あ、でも大会社だし……どっちも良いのか……贅沢な悩みね
last updateLast Updated : 2025-11-18
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第13話 山下さん

翌日、仕事終わりに、陸人さんと一緒に、山下さんの事務所へ行く約束をしているので、仕事を早々に切り上げた。 ずっと残業続きだったので、上司からなるべく残業を減らして定時内に収めるように! と言われたところなので、ちょうど良かった。 これからは、定時で帰るようにしないと…… 生活が変わると、仕事の流れも、こうして変化することも有るのだと思った。 今までは、仕事に没頭し過ぎていた。 なので、私も良いきっかけだと思ったので、ホッとしている自分が居る。 それに、今は少しでも早く帰って、陸人さんに会いたい。 『女は、男で変わる』 そうかもしれないと思った。 「お疲れ様でした」 「あ、お疲れ様〜菜月ちゃん帰り支度が早いね〜」 「はい、ちょっと用事があるので」 「そう、お疲れ様でした」 「「「お疲れ様でした」」」 急いで玄関まで降りると、陸人さんが車で迎えに来てくれていた。 「ごめんね、お待たせ! 待った?」と言うと、 「ううん、さっき来たところだから大丈夫」と言ってくれた。 でも、車内は冷房でキンキンに冷えていた。 連日うだるような暑さ。 「あ〜涼しい〜ありがとう」 きっと早めに帰って、車内を冷やしてくれていたのだろう。 ニッコリ笑って、山下さんの事務所へと、車は走り出した。 「オーッス」 「おお、陸人! 来たか。菜月ちゃん! こんばんは」と、ご挨拶してくださる山下さん。 「こんばんは、お世話になっております」と丁寧にお辞儀すると、 「いえいえ、こちらこそ。何? 改まって」と、笑ってくださる。 山下さんは、いつも私が硬くならないように、明るく和らげてくださるのだ。
last updateLast Updated : 2025-11-19
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第14話 紹介と報告①

翌日から陸人さんは、本当に運転手さんにお願いして、少し早く迎えに来てもらい、まず私を先に会社へと送り、それから自分の会社へ出勤した。 社長だから、遅めの出勤でも良いのに、私に合わせてくれる。 「元々早く行きたいタイプだから」と、言ってくれるが、運転手さんにも申し訳ない。 「ありがとうございました」と、丁寧に挨拶して 車を見送る。 当然その姿を会社の人にも見られている。 「おはよう! 菜月ちゃん」と川野さんに声を掛けられた。 「あっ、おはようございます」 すると、 「今の方は?」と聞かれたので、嘘を吐くのも嫌だと思い、小声で、 「あ〜今お付き合いしてる人です」と言うと、 「えっ!」と驚かれたので、早く着いたのも有り、 「川野さん、ちょっと良いですか?」と、私は川野さんを会社のカフェスペースまで連れて行き、説明した。 「そうだったんだ……大変だったのね」と言われた。 「はい……恩人だと思っています」 「そうよね〜でも良かった! 心配してたから安心したわ」と言われ、私も話して良かったと思った。 そして私は、山下さんから頼まれていたミッションをクリアしなければならない! と思い、川野さんに今お付き合いしているお相手が居ないかと、聞いてみた。 すると、 「うん、居ないの。どこかに素敵な人が居ないかなあ?」と、おっしゃったので、コレはチャンスだとばかりに、銀ちゃんの話をしてみた。 32歳弁護士! とりあえず最小限の情報だけで様子を見る。 「え? 弁護士さん! 素敵〜! ぜひぜひ」とおっしゃった。 ──これは、良い反応だ! ならば……更に銀ちゃんの情報を伝えてみる。 中肉中背
last updateLast Updated : 2025-11-19
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第15話 紹介と報告②

──土曜日 川野さんの最寄り駅まで陸人さんの車で一緒に迎えに行ってもらった。 陸人さんも川野さんとは初対面。 わざわざ運転席から降りて挨拶してくれた。 「はじめまして、久慈と申します」と丁寧にお辞儀をしてくれると、 「はじめまして、川野です」と川野さんもお辞儀をされている。 そして、 「いつも菜月がお世話になっております」と挨拶してくれた陸人さんに、嬉しくなって思わずニッコリした。 「いえいえ、こちらこそです。菜月ちゃんリーダーとして、いつも頑張ってくれてますよ。……それにしても、物凄いイケメンさんですね。私、緊張しちゃって」と、おっしゃる川野さんにもニッコリしてしまった。 「いえ……」と照れている陸人さん。 「ふふ」 思わず私も嬉しくて照れてしまった。 「どうぞ」と、後部座席のドアを開けてくれる陸人さんに、 「ありがとうございます。ハア〜緊張します」と笑っていらっしゃる。 ──川野さん、可愛い〜 そして、山下さんの弁護士事務所に到着。 そう言えば、いつも時間外かお休みの日にしか来たことがないので、他のスタッフさんとお会いしたことがない。 今日もお休みだから、どなたもいらっしゃらないだろう。 コンコンコン 陸人さんが、ドアをノックすると、 「はい! どうぞ」と、中から山下さんの声がした。 「おはようございます」と、中に入ると、そこには、 ビシッとスーツを来た山下さんが立っておられた。 ──!! 山下さんのスーツ姿、初めて見た! カッコイイじゃん そして、陸人さんに続き、川野さんに中に入るよう促したが、私に先に入るよう促されたので、
last updateLast Updated : 2025-11-20
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第16話 久しぶりの実家

「あの2人お似合いよね」と私が言うと、 「おお、いい感じだったな」と、スッと手を繋いでくれた陸人さん。 「さあ! 俺も気合い入れよ!」と、言っている。 「うん」 この時、私は、実家へ行って経過報告をし、陸人さんが私との交際を親に、伝えるだけだと思っていた。 ──どこまで話すんだろう…… 不安で怖くて聞けなかった。 ***** 「ただいま〜」 実家に到着すると、父と母が玄関まで出て来てくれた。 「お帰り」「おかえり〜」 「こんにちは、ご無沙汰しております」と言う陸人さんの方を見て、 「久慈さん、菜月がお世話になっております」と母が言うと、 父も「ホントにお世話になりっぱなしで……」と。 「いえ、こちらこそ、菜月さんには、家事をしていただいてるんで、大変助かっています」と言う陸人さん。 そして、来る時に買って来た、手土産の高級プリンを手渡されると、母が、 「まあ、何ですか? この高級なプリンは?」と 感動している。 両親は、和菓子より洋菓子が好きなので、特にプリンが好きだと伝えると、銀座の高級店に寄り、詰め合わせを買ってくれたのだ。凍っているタイプなので、食べる前に冷蔵庫で解凍するので、2人でも日持ちがして良い。 「ありがとうございます。いただきます。どうぞお上がりください」と、居間へ案内する父と母。 お茶を淹れるのを手伝おうと、私もキッチンへ。 母が、 「元気そうで良かったわ」と言うので、 「うん、良くしてもらってる」と言うと、 「そう」と微笑んでいる。 父と陸人さんは、他愛もない天気の話をしていた。 「今年は、本当に暑いですよね」
last updateLast Updated : 2025-11-20
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第17話 お祖父母様と覚悟

マンションに戻り、エレベーターホールまで行くと、 「おお、お爺ちゃん、お婆ちゃん」と呼ぶ陸人さんに驚いた。 ──!! 「おお、陸人!」とお祖父様。 そして、私が会釈をすると、 「こんにちは、以前お会いしましたわね」と、お祖母様に言われた。 「はい! こんにちは、堀田菜月と申します」とお辞儀すると、陸人さんが、 「結婚前提でお付き合いしている大切な人」と言ってくれた。 「おお、この方が……」と笑顔でおっしゃるお祖父様。 「陸人の祖父です。いつも陸人がお世話になっているようですね、ありがとう」とおっしゃったので、 「いえ、私の方がお世話になっております」とお辞儀しながら言うと、ニコニコされている。 「早く両親にも紹介して、そろそろ身を固めろよ」とおっしゃった。 ──!! えっ? そんな簡単には…… と私は思っていた。 「うん、近いうちに紹介するよ」と言った。 ──!! そ、そうなの? と驚いてしまった。 ピーンと、33階行きのエレベーターが到着した。 「楽しみにしてるよ。じゃあな」と、おっしゃったので、お辞儀をして見送った。 「ごめんな、勝手に言っちゃって」と言う陸人さん。 「ううん……でも驚いた」と言うと、 「両親にも会ってくれる? 菜月のタイミングで良いんだけど」と言ってくれた。 「う、ん……」 正直まだ、心の準備ができていなかった。 ピーン 到着したエレベーターに乗り込むと、黙って私の腰に手を回している陸人さん。他には誰もいない。 部屋に入ると、私の様子がおかしいことに気づいたのか、 「菜月!」と呼ぶ陸人さん。
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第18話 陸人さんと仕事

陸人さんの過去の女性の話を聞いていると、皆んなお金目当てで近寄って来ていた人のように思えた。 そして、 「きっと菜月は、俺がたとえスーパーの店員だったとしても、離れたりしないような女性だと思えるんだけど?」と言われた。 そうかもしれない。 もし、陸人さんがスーパーの店員さんだったら、店長になるまで頑張って! って一緒に応援したかもしれない。 そう言うと、 「だろ? 菜月は、俺自身を好きになってくれたんだろ?」 確かにそうだ。 親身になって私を助けてくれた陸人さんに恋をしてしまったんだ。 優しくて、頼りになって、社長さんだとは聞いていたが、まさかそんなに大きな会社の社長さんだなんて知らなくて、腰を抜かした。 元医師だったと聞いたのもその後のことで、私は陸人さんの人柄に恋をした。 シュークリームやドーナツを食べる仕草が可愛いくて、送ってくるスタンプのチョイスが可笑しくて…… でも、もうその頃には、私も陸人さんのことが大好きだったんだ。だから、ハートのスタンプにドキドキしていた。 そして、とても素敵なキスをしてくれる人。 「うん! 陸人さんが好き」と言うと、涙が流れた。 「菜月〜俺もお前の全てが好きなんだ!」と後ろから抱きしめてくれる。 離れたくない! だからこんなにも涙が流れる。 もう、どうしようもないくらいに、陸人さんが好きなんだ。 だから、周りなんて関係ない! 「ずっと、一緒に居てくれるか?」と聞かれ、 ゆっくり振り向くと、もう一度、 「ん?」と聞かれ、 「私も陸人さんじゃなきゃダメなの! 一緒に居たいの」と陸人さんを抱きしめると、 「良かった」と、又ぎゅっと抱きしめてくれた。
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第19話 冷凍食品

「グ────ッ」 ベッドに横たわる陸人さんのお腹が鳴った。 それだけでも、愛おしいと思える。 「あっ! ふふ、お腹空いたね。お昼何食べる?」と聞くと、 「パスタで何か作るか」と言う陸人さん。 「え? 作ってくれるの?」と言うと、 「うん」とチュッとしてくれる。 「やった〜! 楽しみ〜」 2人で、サッとシャワーを浴びてから、キッチンに立つ陸人さんの向かいで、ジッと見つめる。 「何かお手伝いましょうか?」と、聞くと、 「じゃあ、お湯が沸いたらパスタを茹でてくれる?」と言うので、 「OK〜」と、横に並ぶ。 陸人さんは、冷蔵庫を開けて、食材からメニューを考えているようだ。 「アサリ、エビ、ホタテ、イカ、ウニソースがあったよな」と言っている。 流石だと思った。 「あ〜もう美味しそう! ホントに、主婦顔負けだね」と言うと、ニコニコしながら、手際良く進める。 「少しニンニク入れても大丈夫?」と聞くので、 「うんうん」 今日は、お休みだから大丈夫! ちょっとした気遣いが嬉しい。 お湯が沸騰したので、塩を入れてパスタを茹でる。 後で炒めるようなので、表示より1分短かめに茹でる方が良い。 潰したニンニクをオリーブオイルで炒め、アンチョビも炒める。香りが出たらニンニクを取り出し、あさりと白ワインを入れた。 あさりは、殻ごと砂抜きして冷凍してある便利な我が社の商品だ。 他のシーフードは、海水ほどの塩水に浸けて解凍してから一緒に炒めると、臭みや水っぽさが残らなくて良い。 「このアサリ、ホントに便利だよな」と褒めてくれる。 「そうでしょう? 砂抜きが要らないのは助かるよね〜自慢
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第20話 示談成立と…

そう言えば、財閥の人が出て来るTVドラマは、いつも上司が出て来て、 『君もそろそろ家庭を持っては、どうだい?』とか言うのよね? 「やっぱり家庭が安定してると、仕事での成績も良くなるのかなあ?」 「そりゃあそうだろ」と言う。 「安定してればよね?」 「うん、揉めているような家庭は、仕事に悪影響を及ぼすぞ」と言う。 「もし私と結婚したとして、安定するの?」 「するに決まってる! 何より俺の心が安定するんだから」と言われるとニヤッと笑って、ポッと照れる。 だから、早くプライベートも安定させる為に、まずは、久慈家を紹介したいようだ。 「取引、期待してる」と笑顔で言われた。 「ふふ〜」と愛想笑いをし、 「ご馳走様でした」と、食器やお鍋を洗う。 陸人さんも一緒に洗ってくれる。 すると……陸人さんのスマホが鳴った。 「ん、山下!」と画面を見せながら、スピーカーで聞かせてくれる。 「はい」 『ウッス、今お取り込み中?』と聞く山下さん。 ──ブッ 「ハハッ、だったら、出ね〜わ」 『いや〜ん、陸ちゃんエッチ〜』 と幼稚な言い方で大人の会話をしている…… 「おお、どした?」 すると、美緒が自分の非を認めて、慰謝料の支払いに応じると言ったそうだ。 「え?」 『たぶんだけど、動画が回ったことによって、噂も広がり、次の仕事を探す上で、きちんとしたのか? と聞かれて焦ったんじゃないか?』と言う山下さん。 「自分のしたことだろうが」 『そう! ブーメランだな! 自分に返って来て就職に響いてるから、綺麗サッパリしろって周りの大人に言われたんじゃないのかなあ』
last updateLast Updated : 2025-11-22
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