陸人さんは、ゆっくりと箱から検査薬のスティックを取り出した。 ──!! 「あっ!」 「2本! 菜月! 線が2本あるよ」と言う陸人さん。 「うん」 「やった〜!」と、私をギュッと抱きしめて喜ぶ陸人さん。 私の目には、既に涙がいっぱいで、今にも溢れそうになっていた。 私たちは、この瞬間をずっと待ち侘びていたのだもの。 実は、2人で決めて解禁してから、ハワイ挙式・新婚旅行に、日本での挙式披露宴が終わっても、妊娠の兆候は見られないまま、仕事が忙しくなっていたのだ。 その間も生理が来るたびに、 「あ〜また出来なかったんだ」と落ち込んでいたのだが、陸人さんは、 「今は、仕事が忙しい時期だから、神様が『まだ今じゃない!』って言ってくれてるんじゃないのかなあ?」と、慰めてくれていたのだ。 3月14日には、私は29歳になった。 だから、30歳になる前に子どもが欲しかったのだ。半ば諦めかけていた。 なのに、この子の出産予定日は、12月5日だ! 陸人さんが、すぐにアプリで計算してくれた。
Last Updated : 2025-12-18 Read more