病院にいる白川茉莉を見れば満足するかもしれないとも思った。だから面会の許可をとって、病院に行った。行ってよかったかというと、そんなことはなかった。 ―― 安心してください。白川さんが社会に出ることはありません。病院のスタッフにはそう言われたけれど、嬉しくとも何ともなかった。私は安心が欲しかったわけではないから。 白川茉莉がいる病院を見て落ち込みもした。罪人として収容されているに、白川茉莉のいる病院はきれいで清らかだった。病院だから清潔感は大事だと分かるけれど、全然惨めな環境ではなかった。深層の令嬢、その白川茉莉のイメージそのものだった。現代の日本でネズミが駆け回る地下牢やじめじめした座敷牢に入るなんてことはない。それは分かっていた。でも、白川茉莉のいた病院はあまりにきれいだから入口で「罪を償うって何?」と思った。この時点で会うのはやめようかと悩んだ。でも、せっかく来たのだから勿体ないという貧乏性が災いした。根性で私は建物の中に入った。 白川茉莉に会って、良かったこともある。私が案内されたのは、厚い透明な板で仕切られた部屋。刑事ドラマのセットのような面会室だったけれど、こちらとあちらが明確に分かれていて、透明な板の向こうは「罪人」とか「罪を裁かれた者」という感じだった。白川茉莉はあちら側にいる。そのことが感じられたことはよかった。 事前に面会許可を取っていたけれど、結構待たされた。待たされたけれど、これも良かった。白川茉莉は待たないと会えない存在。あちら側の時間軸は違う別世界のように感じられた。白川茉莉は私に会うのに時間がかかる。時間をかけないとこちら側、外にいる私には会えないということが遮断されたあちら側の世界にいると感じられた。 白川茉莉は女性スタッフ二人に挟まれる形できた。やせ細って髪はボサボサ。暴れたのだろうかと思った。白川茉莉は普段はぼんやりとしているが、時々狂ったように暴れ出すという。暴れ終わって脱力したその姿は、幽鬼がいるならこんな感じだろうかと思うような姿だった。スタッフはこういう患者に慣れていた。それが分かる動きで、二人は白川茉莉を手早く椅子に座らせた。他人を好き勝手に動かしてきた白川茉莉は、今度は好き勝手に動かされる立場になった。それを見れたことも良かった。スタッフの
Huling Na-update : 2026-01-10 Magbasa pa