「ごめん、陽菜……」……これは、予想外だった。少し、いやかなり、己惚れていたみたい。―――ゴムを着けないで生でシようと言えば、ソウのやつは直ぐにむしゃぶりついてくるぞ。異母兄よ、蒼はむしゃぶりついてこなかったよ。それどころか、拒否されてしまった。……それは、そうか。二人目とか言っているけれど、それよりも結婚するかどうかが先なのが普通。蒼と離婚するとき、海を籍に入れることが先だと、蒼は条件のようにそれを要求した。嫡出にすることは、蒼にとって、、私が思う以上に大事なことなのかもしれない。いまの時代、嫡出と非嫡出に法律的な扱いの差はほぼない。でも、それは法律的な観点であって、人の感情はそう簡単に割り切れないのだろう。蒼はそれを、異母兄で経験しているのかもしれない。「陽菜、その、する前に、確認しておきたいことがある」蒼と、また結婚するか?子どもができたら、結婚するか?当然の確認かもしれない。でも……怖い。蒼とこうして、海を一緒に育てられている今の環境に私は満足している。安心、できる。蒼はいつもせっせと、私と海のところにくる。以前の結婚のとき、蒼が私を放置していたことが嘘みたいに、毎日、どんなに遅くなっても連絡だけは寄越す。蒼と会う予定がなくて、私たちが家にいないときに蒼がきたときは、蒼は必ず「どこにいる?」と聞いてくる。以前の結婚のときは、私が家にいるかどうかの確認もしたことがなかったのに。「どこにいる?」と聞いたあと、蒼は必ず「ごめん」と謝る。監視しているわけではなく、ただ不安なだったと、そう言って謝る。ここで私が「謝る必要はないよ」と蒼に言って、どこかに行く前に蒼にメッセージの一つでも残してから出かけることは大した手間でもない。でも、私はやらない。蒼に、安心させたくないから。不安でいる限り、蒼は私のことを気に掛け続ける。――― 社長と同じマンションって、監視されている気になりませんか?黒崎さんに、いつだったかそう聞かれたことがある。前の結婚を知る黒崎さんにとって、蒼の用意した部屋に暮らす私は、相変わらず籠の鳥のように見えるのかもしれない。でも、いまの私は蒼の用意した部屋に自ら入ったの。蒼を、常に不安にさせるため。 捕まった鳥は、逃げること諦めてしまう。そんな鳥を見て
Last Updated : 2026-02-15 Read more