範経は妹の圭と明と共にリビングルームに入り、寛子と美登里は昼食の用意をするためにキッチンに向かった。「お兄ちゃん、ここに座って」と圭がソファーを指さした。 範経はおとなしく二人の妹の言うことを聞いて座った。「圭と明が両側に座るんだ」と範経。「そうよ」と圭。「さびしくさせないから」と明。「ありがとう」と範経。 冷淡な性格だった双子の妹がやけに快活で、範経は少し意外だった。「お兄ちゃん、向こうでの生活は楽しい?」と圭。「まあまあだよ。電話でも話してただろ」と範経。「向こうにも妹がいるんでしょ」と明。「麗華。小学生だよ」と範経。「何年生?」と圭。「五年生だけど」と範経。「どんな子? かわいい?」と明。「うん。よく言うことを聞く、おとなしい、いい子だよ。たまに強情な時もあるけど」と範経。「一緒に生活してるんでしょ」と圭。「うん。家族だからね」と範経。「ふーん。家族なんだ。苛められてるのかと思ってた」と明。「そうでもないんだ。親は二人とも忙しくて、家にいないことが多いから」と範経。「ということは、その妹と二人きりなんだ?」と圭。「まあそうだね」と範経。「楽しいんだ」と明。「楽しいというか、不自由ないというか」と範経。「ご飯はどうしてるの」と圭。「朝ごはんと夕ごはんは麗華と食べてるよ」と範経。「呼び捨てなんだ」と明。「え、時と場合によって色々だよ」と範経。「お兄ちゃん、自分の部屋がないんだよね。普段はどこにいるの?」と圭。「リビングルームだよ」と範経。「麗華って子と一緒なの?」と明。「うん、麗華の面倒を見てあげないといけないから」と範経。「食事以外のとき、二人で何してるの?」と圭。「特に何ってことはないよ。テレビを見たり、宿題を見てあげたりだよ」と範経。「夜寝るのは何時ごろ?」と明。 範経は圭と明が次第に、普段通りの厳しい表情になるのを感じた。「まるで訊問だな」と範経。「今頃気が付いたの、お兄ちゃん」と圭。「え?」と範経。「寝るのは何時?」と明。「十時頃だよ。子供を夜更かしさせられないからね」と範経。「麗華は自分の部屋で寝るの?」と圭。「そうだよ」と範経。「そしてお兄ちゃんの寝室はクローゼットなのよね」と明。「そうそう」と範経。「よろしい」と圭と明の表情が和らいだ
Last Updated : 2025-11-28 Read more