「ところであなたはなぜ、第二アルゴーとローレルの二社を統合しようと考えたのでしょうか」とヘルマン。「あなたが圭と明を養女にするのと引き換えに融資をすると聞いたからですよ」と範経。「そんな、誤解も甚だしい。それで会社を立て直したと」とヘルマン。「そういうことになりますね。かわいい妹のために」と範経。「最初にあなたに相談すべきだったのですね」とヘルマン。「まず認めたりはしませんよ」と範経。「ところであなたがこの会社の経営責任者ということですが、人工知能にはお詳しいのですか?」とヘルマン。「まったく、人工知能にはノータッチです。優秀な二人の副社長に任せきりです。ここにいるのはフォーシスターズの上の二人です」と範経。「そうでしたか」とヘルマン。「範経、その冗談はもうよさないか?」と幸一。「そうよ、少し失礼だわ」と寛子。「そうかな。ぼくにはどうしてこんなことになったのか、分からないけどね」と範経。「どういう意味でしょうか?」とヘルマン。「もともとこの会社の人工知能の開発者は、範経だったのです」と幸一。「そんな……、なぜだれも教えてくれなかったのです……」とヘルマン。「重要な企業秘密ですよ。フォーシスターズの宣伝効果がなくなったりしたら、それこそ一大事ですからね」と範経。「でも、そんな重要なことに、だれも気が付かないなんて……。それではなぜ三年前に会社が分裂して、その片方が傾くようなことになったのですか?」「それは家族の問題なので、お話しできません」と範経。「範経、隠さなくていいだろう」と幸一。「そんなに話したければ、仲良しのあんたたちがすればいいだろう。初対面の人にする話じゃないよ」と範経。「立ち入ったことを聞いて申し訳ない」とヘルマン。「私が話します。範経、いいでしょう?」と美登里。「わかったよ」と範経。「三年前、会社が軌道に乗ったころ、範経が家出したのです。それがきっかけで会社が分裂して、両親も離婚しました。その後、範経が戻ってきて、会社を立て直したのです。その際に範経を社長に立てることにしたのです」と美登里。「そのような事情があったのですか。あなたにはかなり失礼があったようです。お詫びいたします」とヘルマン。「あなたは何も知らなかっただけでしょう、ヘルマンさん」と範経。「どうかジョンとお呼びくださ
Last Updated : 2025-12-25 Read more