All Chapters of 異世界に逃げたら仮初の夫に取り憑かれた!: Chapter 31 - Chapter 36

36 Chapters

【第27話】キッチンにて②(ルス・談)

 キッチンは料理をしたり洗い物をしたりする空間だ。それ以外の使い道なんてワタシは知らないのだが、どうやらスキアは違うらしい。彼の口から出てきた『キッチンプレイ』という単語を聞いて、最初はてっきりおままごとに使うキッチンセットとかの話をし始めたのかと思ったのだが、呆れた様な視線を向けられたので流石に間違っている事に何となく気が付いた。それと同時に着ていた服のエプロン以外の一切を瞬時に消されてしまったので、それは確信に変わった。 普段は垂れ目がちなのに妙に色っぽい雰囲気のある瞳が、今は据わっているような気がする。ぎゅっと容赦なく抱き締めてくる腕の力はやけに強くって骨から少し軋む様な音がしたが、彼に『ちょっと痛い』と伝える前に、スキアの大きな手がワタシのお尻をもにゅっと掴んできた。「んんんっ⁉︎」 スキアの手品で服が消えているせいで彼の手が直にワタシのお尻に触れてしまっている。恥ずかしさから体を少し捩ってみたのだが、全然彼の腕からは逃げられない。『夫婦らしい事』って、もしかして、い、いやらしい事でもする気なんだろうか?(だけど、こ、こんな、場所で?) で、でも確か、特殊性癖を持つヒト達はベッド以外の場所ででも、そういった行為をする場合があるという。まさか、スキアはそういう類のヒトなんだろうか?だから此処でワタシをこんな格好にしたのだとしたら、この先の行為は火を見るよりも明らかだ。「ね、ねぇ、スキア」 「——ん?」 心ここにあらずといった声が返ってくる。本当にこのままこんな場所で不埒な事をされてしまうのかもと思った時、脳裏に夜の行為が蘇った。毎夜の様に下着の中に手を入れられ、ゴツゴツとした男性らしい指が体のナカを容赦無く弄ってくるあの感覚を思い出してしまい、それが勝手に体中を駆け抜ける。彼はただ、契約印が体内にあるので仕方なくワタシのナカに触れてきているだけなのに、触れられる度に可笑しな反応をしてしまっている自分の姿を客観的に捉えてしまい、今更すごく恥ずかしくなってきた。 彼の背に腕を回して服をぎゅっと強く掴む。お尻を揉んだり、撫でたりされているせいで、このままではまた変な声が出てしまいそうだ。昨夜だけじゃなく、その前も、更に前も。執拗にナカを弄られ、我慢が出来ずにアホな声や熱い吐息が口からこぼれ出てしまった。ただ彼は魔力を馴染ませているだけなのに、スキ
last updateLast Updated : 2026-03-09
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【第28話】キッチンにて③(スキア・談)

(——可愛い、可愛い、可愛い!) ルスはこちらにお尻を突き出した状態で、言われた通りキッチンの洗い場の端に必死に掴まっている。すっかりとろんと蕩けて焦点の合っていないカシス色の瞳と、その目頭に溜まる涙。僕の指が口内を撫で回しているせいで閉じられずに唾液が口の端から垂れ落ちている口元に、何度も吐き出される熱い吐息と真っ赤な頬。 僕は、僕に裏切られて落胆と絶望に歪むルスの顔を見たいはずなのに、快楽で歪むこの顔を前にすると心が満たされてしまううえ、下っ腹がやたらと重くなる。その事実に不快感を覚える余裕も今は無く、ただただ『もっとこの顔を快楽で崩してやりたい』と思う気持ちで胸の中が一杯だ。「ココが好きなのかい?」 小さなルスの体では僕の指だけでも彼女の子宮口を指先で触れる事は容易い。しかも今は子宮が降りてきてまでいるから一層簡単に指先で執拗に攻める事が出来る。軽く最奥を擦るたんびにビクビクと体を震わせて、ルスが言葉にならない淫楽に染まる音を叫ぶ。 熱くてふかふかなナカからは次々に愛液が溢れ出てくるせいで僕の指はすっかりびしょ濡れなんだが、その事実で心が弾む。僕のちょっとした些細な動きだけでこの子をこんなにも乱れさせる事が出来ているんだと思うと、自然に口角が上がった。あぁ、だけど、ここまでやっては、昨夜まではトロ火で炙るみたいにルスの体を溶かし、『魔力を馴染ませる』という体をどうにか保ってきたが、今回はそれさえも無理そうだ。(なら、もういっそ、その事に気が付けないくらいにさせてしまえばいいのか) 無自覚に何度も何度も絶頂まで達し、既にルスはもう息も絶え絶えの状態にある。この指は長さだけじゃなく太さもあるとはいえ、たかが指でコレでは、僕のモノを挿れてしまったらどうなるんだろうか?一瞬そんな事を考えたが、ごくっと生唾を呑み込んでしまった後で、イヤイヤと否定するみたいに軽く首を横に振った。(流石に、そこまでやったら何も言い訳が出来なくなる) 僕らは“夫婦”ではあっても愛情を持った間柄じゃないんだから、いき過ぎた行為は避け方がいいだろう。そうだ、そうに決まっている。憑依しているせいでルスからの影響が強い今の状態では、本来の僕では持ち合わせていなかったはずの情が湧いてしまいそうだしな。(……でも、もう少し、もう少しくらい、この体を味わってもバチは当たらな
last updateLast Updated : 2026-03-11
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【第29話】臨時休業

 ソワレの目抜通りをスキアとルスの二人が歩いている。軽食を提供している店やアクセサリー店、家具などを売る店と共に、野菜や果物といった傷み易い食材を売る露店が数多く出店されている中を人混みを縫う様にして横切って進む。目指す先は様々なギルドや防具店などが並ぶ、此処よりは一本奥に入った通りだ。「今日もまずは、討伐ギルドに行くのか?」 スキアがそう訊くと、彼に寄り添うように真隣を歩いていたルスが「うん」と答えた。 目的地は討伐ギルドだが、今日のルスは、一着しか持っていなかった修道女風の仕事着はゴミ同然になってしまった為、普段着である黒いスキニーに安物のスニーカーを履き、上はオーバーサイズのパーカーといった動きやすそうな格好をしている。隣を歩いているスキアも同様に、動きやすい様にとゆったりめの七分丈のシャツと茶色いチノパンに革のロングブーツといったラフな服装だ。「今日も討伐ギルドに行って、帰りは食材の調達をしてからリアンを迎えに行こうかなと思ってるの」 本日の予定を聞き、「そうか、わかった」と答えてスキアが頷いた。彼は何やら少し思い悩んでいるのか、心ここにあらずといった雰囲気だったが、鈍感なルスは気が付いていない。そんな彼女の呑気な様子に少しだけスキアは呆れ顔をし、また思案するみたいに視線を遠くにやった。       ◇ 数分後。 目的地に到着したはいいが、扉には一枚の貼り紙があった。その紙には可愛らしい丸文字で『本日臨時休業』と大きく書かれている。情報を補足するみたいに小さな紙も追加で隅っこに貼られており、そちらの紙には几帳面そうな綺麗な字で『書類整理の為』とあった。「あちゃー……。今日はお休みかぁ」 「あぁ、そうか。それでここ数日は、急ぎの依頼しか掲示板に貼っていなかったんだな」 「え?そう、なの?」 ギルドへ休みなく通いはすれども積極的に依頼を受ける訳じゃなく、いつも受け身でしかなかった。だからルスはその事にすら気が付いていなかったみたいだ。「まぁ、アン……ルスは、依頼書の掲示板の方はほとんど見ていなかったもんなぁ」 途中で『アンタ』呼びから『ルス』と名前呼びに言い直しつつ、スキアは呆れ顔でそう言う。そして「あのな、ただ座って声を掛けられるのを待って、お茶ばかり飲んでたんじゃ、この先はもう仕事を貰えないと思うぞ」とルスに事実を突き付けた。
last updateLast Updated : 2026-03-16
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【第30話】『僕らが欲しいのは服であって、新しい“虫”じゃない』①(スキア・談)

 ルスが話していた装備品を売る店は討伐ギルドから程近く、同じ並びにある。近隣には他にも彫金ギルドや武器・防具などを作成するギルドもある為、討伐任務や護衛などを仕事にしている者達でそれなりに賑わってはいるが、夕方から開店する飲み屋も多いので目抜通りよりは人が少なく、すぐに辿り着く事が出来た。「いらっしゃいませー」 扉を開けて二人が店内に入ると、後衛職向け装備を中心とした完成品がずらりと並んでいた。 僕が持っている六年前の知識では、服や装備品はデザイン帳の中から気に入った物を選んでからオーダーメイドで注文するか、金の無い者達は布だけ買って来て自分で縫うのが当たり前だったのだが、今では大雑把なサイズ展開をしている既存品の中から好きな物を買うというスタイルが主流になっているようだ。これは異世界からの移住者達がやり始めたシステムだそうだ。「何かありましたら、遠慮なくお声掛け下さいね」 「はい」 店員に対して、笑顔ながらも短く答えると、ルスは早速服を選び始めた。だが、どう見ても彼女が着るには大き過ぎる物ばかりだ。『まさか』と思い、「もしかして、僕の装備を見ているのか?」と訊くと、彼女は迷いなく「うん」と言う。この先討伐にも一緒に行くなら、ちゃんと装備を一式揃えた方がいいとの判断なのはわかる。だけどまずは真っ先に自分の物を選んだらどうだ?だが、当然の様に自分を後回しにしてしまうのは、ルスの性分なのだろうな。「僕は僕で探すから、自分の装備を選んだらどうだ?」 そう言うと、ルスはハッとした顔をして、「そ、そうだよね、好みとかあるもんね」と申し訳なさそうに俯いた。 別に服装なんか、よっぽど酷いデザインでないのなら正直どんな物でもいい。僕の服なんてわざわざ買わずとも、いつも通り無難な物を何処かから拝借すればいいだけの話だから。今此処で買う必要すらもないのだが、楽しそうに選んでいた姿を思い出すと強くは出られない。「……別に、好みとかは。——そうだ、一着ずつ、お互いの服を選ばないか?好きなデザインが、イコールで自分に似合うとは限らないからな」 僕からの提案が余程気に入ったのか、「いいね!」と言ってルスがぱんっと軽く手を叩く。反射的にその目を潰してやりたくなるくらいに笑顔が眩しい。だがそんな衝動的な行動はぐっと堪え、二人で並んで、まずは僕の服から選ぶ事になった。「そ
last updateLast Updated : 2026-03-19
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【第31話】『僕らが欲しいのは服であって、新しい“虫”じゃない』②(スキア・談)

「こちらも素敵ですよー。ハイネックタイプですが、腕や胸元のギリギリにまでリーフレースを使っているんですー。後方から見た時のシルエットは長めのスカートっぽいデザインですが、前から見るとミニスカートタイプになっているので、魔物との戦闘時にはショーツがチラ見えして滾ること間違いなしですよー。こちらの商品も男性向けを展開しているので、夫婦でお揃いの物を着て、周囲にラブラブアピールすることが可能ですー」 こちらがドン引き状態になっていることに気が付いていないのか、そもそも気にしていないのか。アンズは構わず服を選んでは、次々僕らの元に持って来る。 オススメポイントはイカれているが、デザインはどれも文句なしの品ばかりだ。ルスのまな板胸をちゃんと考慮して選んでいるし、どれも子供っぽい細身のボディラインを綺麗に見せてくれそうでもある。 ……ただ、ルス向けの服を最初にチョイスしているせいで、男性向けに作られたお揃いのデザインの方が僕に似合っているかどうかは、正直ちょっと微妙なものも混じっている。「んー……。だけど、どれも『コレだ!』って感じじゃないですねぇー」 色々と選びながら本人もそのことに気が付いていたみたいで、アンズが棚に服を戻しながら唸りをあげた。「そうだー。いっそ、オーダーメイドにしましょうかー。お二人とも推せるくらいに素敵な雰囲気ですから絶対楽しそうですしー。支払いは材料費と人件費だけで結構なので、どうですかー?」「え?で、でも」 背後から一切出て来ないまま、僕の服をギュッと掴んでルスが困った声色で呟いた。 オーダーメイドの装備はどうしたってお高いので、割り引いてもらえるとなるとどうしたって気になるが、初対面の者にそこまで甘えてもいいんだろうか?という気持ちが邪魔をしているのだろう。もしくは単純に、『こんな変質者に頼んでも大丈夫なんだろうか?』という怖さがあるのかもしれない。「今この場で即ご依頼頂けたら、オマケで総レースのショーツとえっちなデザインのフロントホックタイプのブラも作っちゃいますよー。ここは敢えてのクマさんパンツもアリかもですけど、ソレは追々でー。奥様は脚のラインが綺麗なのでガーターベルトもつけちゃいましょうかー。そちらは靴下を履いたままのえっちとかをするのにオススメしますー。旦那さん向けの装備は雄っぱいを強調する物にしましょうねー。逞しい
last updateLast Updated : 2026-03-25
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【第32話】『僕らが欲しいのは服であって、新しい“虫”じゃない』③(スキア・談)

「——先ほどは失礼しましたー」 謝罪を口にして頭を軽く下げてはいるが、アンズの顔には反省の色がまるで無い。 『お二人にちゃんと謝れ』と従業員に言われたから謝ったといった雰囲気が否応なしに伝わってくる。当人は悪い事をしたと一切思っていないのだろうから、この態度になってしまうのは致し方ないのだろうが、相手が鈍感を絵に描いたようなルスじゃなければ更なるトラブルに発展していそうだ。「あ、頭を上げてください」 困り顔でルスがそう口にすると、つらっとした顔でアンズが「はーい」と言って頭を上げ、「で!オーダーメイドの件ですがー」と流れをぶった斬って、無理矢理話を欲望のままに引き戻した。「そういえば、彫金にご興味があるみたいでしたけど、お二人の結婚指輪とかですかー?」 どちらも指に何もつけていない事に気が付いたのだろう。『結婚指輪』は異世界からきた文化だ。なのでまだ浸透し切ってはいないから僕らはしていないが、夫婦間の贈り物として若い層には人気があるらしい。所有の証にもなるし、独占欲を満たすには丁度良い品なのだろうな。(結婚指輪、か。心を掴むのには悪くない案なのに、完全に失念していたな)「あ、いえ。ワタシ達の品じゃなくて、伝書鳥への贈り物が欲しくって」 両手を軽く横に振ってルスが要望を伝える。期待していたわけでもないのに、何故だかがっかりした気持ちになった。こういった類の感情の出所が不明なままなせいか妙に居心地が悪くなる。「なるほどー。じゃあ、応接室で色々要望をお聞きしてもいいですかー?今はお時間が無いみたいでしたら、そちらのお宅まで今夜にでも、今夜にでも!伺っても、こちらは構いませんよー」 腰に巻いているワーカーズポーチからスケッチブックとペンを取り出し、何故かは知りたくもないが、ルスが生まれた世界で昔人気だったらしい使い捨てのカメラまでアンズが持っている。「「今、お願いします!」」 二度重ねられた言葉のせいで嫌な予感しかせず、ルスと僕は同じ言葉を同時に叫んだ。       ◇ 場所を移し、店の奥にある応接室まで案内された。ゆったりとしたサイズの二人掛け用ソファーが向かい合うようにして置かれていて、その中央には大きめのテーブルがある。デザインを描きながら打ち合わせる事が多いのか、応接室向けの物としては高さのあるテーブルなので、ちょっとちぐはぐな印象の
last updateLast Updated : 2026-03-31
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