All Chapters of 異世界転移、魔法使いは女体化した僕を溺愛する: Chapter 51 - Chapter 60

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第51話 激太りのフレア

正妃フレアは、裸でカインの部屋を抜け出して以来、自室に閉じこもって外に出てこないらしかった。入室も限られており、今は親しい侍女だけが出入りを許されていた。特に男性の入室は完全に拒絶され、彼女と契約している魔法使いのギルドでさえ入れないらしい。智也は、妹のモモを連れてフレアの部屋を訪問した。カインの側室が正妃の部屋を訪ねたことで、お付きの侍女はおたおたしていたが、すぐにフレアに智也の訪問を伝えてくれた。すると、開かずの扉のように閉ざされていたフレアの部屋の扉を、彼女自ら開けてくれた。「トモヤおねーさまーーー!!」「うわぁあ!!」扉から飛び出してきた彼女は、智也に抱きついてきた。智也は彼女を受け止めきれず、廊下の床に転がってしまった。智也の背中にしがみついていたモモはもっと悲惨で、妹は智也とフレアの体重に押しつぶされて『ふぎゃ』っと声を出した。何とか上半身だけ起き上がった智也は、フレアの変化に気が付いた。もともとぽっちゃりとした体型をしていたが……なんだか、ぽっちゃりを通り越してどっしりしている。体重が増えたせいで受け止めきれなかったらしい。智也は戸惑いながらも、その事を口にした。「フレア……ひょっとして、太った??」「うっ、わぁあんーーーー」智也が体重の件に触れると、途端に泣き出した。困った智也は、元男の意地で泣いている太った正妃をお姫様抱っこすると、そのまま彼女の部屋へと入った。足はよたよたするし腰は痛いしで、智也は突進するように彼女の寝室まで運ぶと、フレアと妹と智也の三人は一緒にベッドにダイブしてしまった。「はぁーーー、疲れた。って、何この部屋!!」智也は寝室のベッドを取り囲むようにして、お菓子の包み紙が大量に床に散乱していることに気が付き、思わず声をあげてしまった。「ううっ……ごめんなさい」フレアは、ベッドの上で泣くばかりである。妹のモモはまだ食べられていないお菓子をベッドからすこし離れたテーブルで発見すると、文字通り猫のように智也の背中からテーブルに乗り移り、クッキーらしきものを食べ始めた。「こら、猫モモーーー。お行儀悪いよ!!」「トモヤおにーーさま、最高に美味しいですにゃぁ。ぱくぱくうまうまですぅう」「そんなに美味しいの?」ちょっとお腹がすいていたこともあり、智也はベッドから降りるとモモに近づいて、モモが食べているクッキーを
last updateLast Updated : 2026-03-16
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第52話 ぽっちゃりがかわいい

魔法使いのギルドが女性化したのはいいとして、その格好が刺激的過ぎた。トップレスにマント姿のギルドは、ベッドに潜り込んでいるフレアに話しかけた。亀のように、ベッドから顔だけ出したフレアがギルドの女性化した姿を見て、また顔を引っ込めてしまった。「ああーーーーー、男のギルドがこんなにも美しいのにどうして私はこんなにも醜いのぉお」またベッドに潜って泣き出してしまった。智也はギルドの胸……じゃなくて、魔法使いの顔を見て口を開いた。「とりあえず、魔法でこの部屋のお菓子と紙くずを処理して清潔にして。それからテーブルには美しい花と……そうね、果物をすこし置いて。できる?」「もちろんです、トモヤ様」ギルドはそう言うと、手をかざし呪文を唱え始めた。蓮は魔法を使うとき呪文を使わないが、この世界の魔法使いは魔法を使う時に呪文を唱えるらしい。ギルドが呪文を唱え終わると、部屋の中央にブラックホールのような球体の暗黒が現れた。床に散らばっていたお菓子の包み紙やクッキーの食べかすがそこに吸い込まれていって、一気に部屋が綺麗になった。そして、そのブラックホールは役目を終えると小さくなって部屋から消えた。「掃除機?空気清浄機って感じかな。湿気も取れてたみたいね!!澱んだ空気も無くなってすっきりしたぁーーーって、あれ???ちょっと、猫モモがまだいないんだけどまさか掃除機で吸い取ったんじゃないでしょうねぇえ!!」智也が焦ってそう叫ぶと、当のモモがギルドの背中を這い上がってギルドの頭に顎をのせてにゃーと鳴き声を出して笑った。猫モモはギルドが気に入っているらしく、背中に張り付いたり前に回りこんでギルドの豊満なニセ乳房を楽しそうに弄って遊んでいた。ギルドは気にならないのか、猫モモにされるがままになっていた。テーブルには美しい花と果物が注文通り用意されている。魔法って本当に便利だ、と智也は思った。「さて、部屋も綺麗になったことだし……フレア、ベッドから出てきなさい」「嫌です。トモヤ様の頼みでもベッドからは出ません。ひっく、ひっく」「まだ泣いてるの?もう、仕方ないなぁ」智也は溜息をついた。そして、ベッドの中にもぐりこむことにした。お菓子を食べ過ぎてぽっちゃりさんからぼってりさんになってしまったフレアの体に触れると、彼女がびくりと震えた。「ひっ、トモヤ様!!」「大丈夫、じっとしていて」
last updateLast Updated : 2026-03-23
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第53話 ダイエット!

正妃フレアのダイエット大作戦が開始された。ギルドが女に変身できたように、魔法でフレアの体型を変えてしまうことも可能だったかもしれないが、その方法は取らなかった。智也は、フレアに自信を持って欲しかった。彼女は確かに美人とはいえないが、ぽっちゃり可愛い系と言えなくもない。……まあ、好みの問題だが。とにかく、彼女が安産型体型であることは元男の智也にも分かる。カインからの願いを引き受けた以上、智也はフレアにお世継ぎを産んで欲しかった。彼女なら、良い母になれると思うから。智也は治療院の女医ギーナに頼んでダイエットメニューを組んでもらった。ギーナは、すこし食べるだけでお腹がいっぱいになるパンを作ってくれた。それを中心として、野菜中心の食事に切り替えた。やる気を出したフレアは、そのダイエット食を毎日食べて食後は智也や女性化したギルドとモモと一緒に中庭のバラ園を散策した。中央の噴水で猫モモが水浴びをする中、ベンチに座ったフレアは智也に真面目な顔で話しかけてきた。「ねえ、トモヤ。あなたは……カイン様の事をどう思っていらっしゃるの? 彼のお世継ぎを産みたいとは思わないのですか?」「え、わたし??ん……」智也は思わず黙り込んでしまった。アーサーと逢えなくなって随分時が経つ。彼の声や彼の姿を思い浮かべるたびに胸は苦しくなる。でも、逢えない時間が長くなるほどに、もしかしたら彼への想いが『愛』ではなかったのではないかと思い始めている自分がいる。今では彼とセックスすることが怖いと思っていた。もし、智也の中でアーサーが『愛する人』でなくなっていたなら、アーサーに抱かれても異世界から元の世界に帰ることができない。自分の『愛』が試されるようで、怖くてたまらなかった。智也は、自嘲の笑みを浮かべて口を開いた。「ごめんね、フレア。私、あなたが初夜の日に逃げちゃったことを正直、笑っちゃったんだよね。フレアは怖がりなんだなって」智也は続けた。「でも……私も一緒だ。私も怖くて堪らないよ。抱かれて自分の本心を知るのが怖いよ。怖くてたまらない……『愛する人』なんて、本当にこの世に存在するのかなって、疑心暗鬼状態。フレアを笑った自分が恥ずかしいよ」「トモヤ」フレアは、そっと智也の手にその手を重ねてくれた。もう彼女の手は、むくみはなくすっきりとしていた。ダイエットは順調で、ぼってり体型からぽっ
last updateLast Updated : 2026-03-30
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54話 抱き合う二人

カインの側室とはいえ、彼と肌を重ねたのは一度きりだ。そんな相手が同じ温泉に裸で浸かっていると思うと、智也はどうにも居心地が悪かった。一緒に温泉に来た妹のモモは、そんな空気などまるで気にしていないらしい。男性の存在を意識することもなく、広い湯船ではしゃぎ始めた。ばしゃばしゃと水音が立つ。いくら広い湯船とはいえ、さすがに行儀が悪い。「こら、モモ!! 湯船で泳いだら駄目だよ」「だって気持ちいいんだもーーーん。ふにゃぁーーーーーーー」智也が注意すると、今度はモモはゆるゆると湯の上を漂うように遊び始めた。まったく悪びれる様子がない。智也は呆れながらも、元気そうな妹の様子に少しだけ肩の力を抜いた。すると、湯気の向こうからカインの声がした。「いいじゃないか、モモを遊ばせておけよ。湯船は広いし、お前とトモヤしかいないのだから邪魔にもならんだろう」低く落ち着いた声音に、智也の肩がぴくりと揺れた。「それより、こっちに来ないかトモヤ?」「え? あ、その……遠慮しときます」「お前は俺の側室だろ。たまには、俺に奉仕したらどうだ?」「ほ、奉仕? 奉仕って何よ!! まさかここで変なことしろとか言うんじゃないでしょうね!!」智也が慌ててそう言うと、カインはくつくつと喉の奥で笑った。「風呂でそういうことをするのも悪くないな。だが、ここでやったら俺はレンに殺されそうだ」カインは冗談めかして言ったが、次の言葉は妙に静かだった。「お前、俺に襲われたらレンに助けを求めるだろ? あいつに殺されるのはごめんだからな。まだ……死にたくない」「カイン……」その『死にたくない』という言葉を、智也は以前のように軽口として受け流せなかった。ギーナから聞かされた呪いの話が、嫌でも頭をよぎる。カインは『トモ』の呪いによって、そう遠くない未来に命を落とすかもしれない。そう思うと、胸の奥が妙にざわついた。智也はその気持ちをごまかすように、明るい話題を持ち出した。「あのね、フレアがね、今度カインに夜誘われたらあなたの部屋に行くって言ってた」智也はできるだけ軽い口調で続けた。「彼女、あなたのことがとっても好きなんだよ。ちゃんと向き合いたいって思ってる。だから……優しくしてあげてね。私のときみたいに無茶したら駄目だからね!!」その言葉に、カインはわずかに目を細めた。「そうか。では今夜、誘
last updateLast Updated : 2026-04-06
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第55話 カインの告白

「俺は子供の頃から怖がりで、恐ろしいものや理解できないものは、目の前から排除する癖がついていた」カインは湯気の向こうで、静かにそう言った。「それが許される環境で育てられたこともあって、俺は目障りな人物がいれば、その者を王宮から追い出したことが何度もあった」彼はそこで一度言葉を切った。智也は黙って、その続きを待った。「そして、目の前にアーサーと契約した魔法使いの少女が現れた時、俺は今までに感じたことのない恐怖を感じたんだ。俺の居場所を奪いかねないその少女の言動も許せなかった」カインの声は、ひどく乾いていた。「そして俺は……十一歳の時に初めて人を斬り殺してしまった。目の前から恐怖を排除したい、その一心だった」「その少女が『トモ』なんだよね」智也は、ゆっくりと言葉を返した。「ギルミット一族の末裔だった彼女は、死ぬ間際に次期王位のあなたへ強力な呪いを掛けた。そして……今もその呪いによって、カインは体を蝕まれている」智也がそう言うと、カインははっとしたように智也から身を離した。突然支えをなくした智也は、湯船の中で足元をぐらつかせる。沈みかけた智也の片腕をカインが掴み、その体勢を立て直した。「誰に聞いた?」「治療院の女医のギーナよ」「患者のことをべらべらと話すとは困った奴だな」「先生はいい人だよ。あなたのことを心配している」その言葉に、カインは小さく鼻で笑った。「お前も相当のお人よしだよな。アーサーからお前を奪って、側室の指輪で束縛したのに。さっきだって、俺が湯船で溺れたと思って助けに来てくれただろう?」カインは智也を見つめた。湯気の向こうのその目は、どこか遠い。「王宮でお前を見た時に、『トモ』とは違うと思った俺の勘は当たっていたな。『トモ』はもっと冷たい目をしていた」カインは低く呟いた。「もしお前が『トモ』のように冷たい目をしていたなら、俺はお前を殺していたかもしれない。……まあ、アーサーからその身を奪ったことには変わりないがな」『トモ』が冷たい目をしていた――。智也の中の『トモ』の像が、また少し形を変えていく。カインに殺された可哀想な少女。その輪郭の奥に、黒い影のようなものが見え隠れした。「アーサーは信じないだろうが、『トモ』はギルミット一族の末裔としてこの王国に復讐しようとしていたのではないかと、俺は思っている」カインは自
last updateLast Updated : 2026-04-13
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第56話 交わる

智也は、成り行きからカインの昂りを鎮める役目を引き受けることになってしまった。自分から言い出したことでもあり、いまさら冗談だったとも言い出せず、智也は覚悟を決めた。「じゃあ、カインはベンチに座ってくれる?」カインは智也に言われるまま、湯あがり用のベンチに腰を下ろした。智也はその前に立つと、思わずごくりと唾を飲み込んだ。近くで見ると、彼の体つきは思っていた以上に逞しく、男としての存在感が否応なく迫ってくる。その圧に気圧され、智也は妙なことを口走ってしまった。「うーー、私のより大きいなぁ。ちくしょう!」「……お前にそれがあったとは思わなかったな」「あ、前世の話だから気にしないで。今は、ばっちり何も無いから」そう言って、智也はうっかり自分の下半身を指差してしまった。すると、カインが興味深そうに視線を落としてくる。その視線を感じた途端、さっきまで顔を出していた元男の意識がしゅるしゅるとしぼみ、代わりに女としての羞恥が一気にせり上がってきた。智也は真っ赤になって、慌てて両手で股を隠した。「そ、そんなに見ないでよ。恥ずかしいでしょ!!」「お前が自分で示したんだろう? 本当に変な奴だな」「うっ。まあいいわ。さっさと終わらせるから、ちゃんとしてて」カインは面白そうに口元をゆるめた。智也はそんな彼の態度にむっとしながらも、逃げるわけにはいかないと腹を括った。目の前の男は、今夜フレアを寝室に招くつもりでいる。その前に少し落ち着かせる――そのはずだった。けれど、いざこうして向き合ってみると、智也の胸の奥は落ち着くどころか、妙にざわついていた。触れれば、カインの体温が伝わってくる。近付けば、彼の匂いがする。智也は自分の鼓動が早まっていくのを感じながら、ぎこちなく彼に手を伸ばした。その途端、カインが小さく息を漏らす。智也はその反応に、ますます落ち着かなくなった。自分が触れているせいで、彼が確かに反応している。その事実が、智也の体の奥までじわりと熱くしていく。「トモヤ、俺が落ち着く前に、お前のほうが動揺してどうするんだ」「し、仕方ないでしょ。この体って……敏感すぎるんだもん!!」からかうような口調に、智也は顔を真っ赤にした。こんな状況なのに、カインには余裕があるらしい。それが悔しくて、智也は少し乱暴に顔を伏せた。けれど、思った以上にこの役目は大変だっ
last updateLast Updated : 2026-04-20
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第57話 智也とカイン

「はぁ……んあ、カイン。や……まだ動かないでぇ……はぁ、あっん……!!」智也の縋るような声を無視して、カインが腰を動かし始めた。結ばれた箇所を打ち込まれるたびに、湿った水音が狭い空間にじゅぶじゅぶと響く。智也は、自分の中がすでに熱に溶かされ、甘く濡れていることを嫌でも思い知らされた。受け入れてしまった身体は、彼を拒むどころか、柔らかく締めては緩め、深く呑み込んでいく。奥を擦られるたびに子宮のあたりがきゅんと熱を持ち、身体の芯からじわじわと火照っていった。熱に浮かされるように頭がぼんやりとしてくる。「はぁ……はぁ……お前が俺に抱かれるのは……アーサーの為か? あいつを守る為に、俺に抱かれるのか? ……くっ、締めてくる……答えろよ……!!」カインの動きがさらに激しくなる。けれど智也には、もうその言葉さえまともに頭に入ってこなかった。二度目の交わりがもたらす刺激に、理性が薄く削られていく。それが怖いのに、快感は容赦なく智也の身体を内側から満たしていく。智也は目尻に涙を浮かべながら、かすれる声で懇願した。「カイン……お願い。ゆっくり動いて……はぁん、あ……ああ……」その声がようやく届いたのか、カインの動きが少しだけ緩む。だがその代わりに、彼の両手が智也の胸へ伸びた。荒々しく掴まれ、揉み上げられるたびに痛みと甘さが入り混じった痺れが走る。拒みたいのに、智也の身体はその刺激に逆らえず、ますます熱を滲ませていった。両手をカインの首の後ろで組んだままでは、身を守ることさえできない。揉まれた胸は淡い桃色に染まり、先端は羞恥を訴えるように敏感に尖っていた。互いの熱が絡み合うたびに、二人を繋ぐ動きはますます滑らかになっていく。「お前は俺の側室だ……はぁ……はぁ……お前の願いは叶える。アーサーの身は保障する。だから……」カインは荒い息の合間に、智也を抱きしめる腕へ力を込めた。「俺が死ぬその時まで、俺の傍にいてくれ……独りにしないでくれ……んっあ!!」その言葉に、智也の身体がびくりと反応した。切実な声に胸の奥が震えて、智也の内側がきゅうと彼を締めつける。カインは快感に身を震わせながら智也をさらに抱き寄せた。やがて彼は智也を抱いたままベンチから降り、そのまま床へ身を横たえる。体勢が変わり、智也は彼を跨ぐ形になった。「トモヤ、自分で腰を動かして感じるところを刺激し
last updateLast Updated : 2026-04-27
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第58話 蓮が追い詰める

「すまない……この魔法陣は、不定期に発動するんだ。こんな姿……お前に見せたくなかったのに……悪かった。ぐっ……うう」呪いは不定期に発動し、一気に命を奪うことなくじわじわとカインの体を蝕み、苦しめる。ついさっきまでの甘い余韻など一瞬で吹き飛ばし、鋭い痛みがカインの全身を駆け抜けていく。まるで、ゆっくりと死に追いやるための拷問のような呪いだった。これを、カインは十一歳の時からその身に受け続けてきたというのか。智也は、青ざめた顔で苦しむ彼を見つめた。肌には脂汗が浮かび、呼吸は浅く乱れている。見ているだけで胸が潰れそうだった。「医者を……ギーナを呼んでくるね!!」「いや、いい。それより、彼女から痛み止めの薬液を貰っている。それを取ってきてくれないか」カインがかろうじてそう言った。智也は彼の指差した先へ慌てて駆けた。タオルに包まれたガラス瓶を見つけると、震える手でそれを持って戻り、カインに飲ませる。薬液を飲んだ途端、彼は糸が切れたように意識を失った。よほど強い薬なのだろう。気を失うほどでなければ、この痛みから逃れられないのかもしれない。だが、気を失ってなお、カインは苦しげに小さく呻いていた。智也はぽたぽたと涙を零しながら、彼の名を呼び続けた。「カイン……しっかりして。お願い、死んだりしないで。『トモ』に負けないで」返事はない。不意に、智也の裸の肩へバスタオルがかけられた。はっとして見上げると、そこに立っていたのは蓮だった。「蓮!!」「カインを魔法で部屋に移す。お前も一緒にいくか?」「もちろん」蓮は短く頷くと、一瞬のうちに浴室からカインの部屋へと移動していた。気付けばカインは夜着を着せられ、ベッドに横たえられている。智也もまた、蓮の作ったドレスを身に纏っていた。蓮は、ベッドに眠るカインの顔を覗き込みながら静かに口を開いた。「カインがお前の『愛する人』なら、体を重ねた時点で智也は元の世界に戻れたはずだ。だが、そうはならなかった」そこで一度、蓮は言葉を切った。「カインが呪いを受けていることへの同情から、あいつを受け入れたのか? 智也」その声には、冷えた響きの奥に嫉妬が滲んでいるように思えた。智也は蓮の背中を見つめながら、躊躇いがちに口を開いた。「同情……というより、『トモ』への対抗心かな」智也の言葉に、蓮がゆっくりと振り返る。そして、
last updateLast Updated : 2026-05-04
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59. まさか子供が?

蓮は智也を抱きしめたまま、その耳元で囁いた。「悪い……俺の嫉妬だな。俺はお前とセックスできないのに、カインはお前の体を抱いて、喘がせることができる。お前が快感の声を漏らすのを見ていたら、自分が惨めになってきたんだ」蓮はそこで一度言葉を切った。智也を抱きしめる腕に、わずかに力がこもる。「俺は、お前とセックスもできない。いっそのこと、青い炎を消すためにアーサーを殺して、魔法使いの契約を解こうかと考えるほどにな」「蓮!!」智也が思わず声を荒げると、蓮は自嘲気味に笑って答えた。「分かっている。アーサーを殺したりしない。あいつは、お前の『愛する人』だしな。元の世界に帰れる鍵でもある」蓮はそこで目を伏せた。「分かってるけど……辛いんだ。お前を抱きたい」「……無理だよ、蓮」智也は眉を寄せた。「分かっているだろ? お前に抱かれたら、私は焼け死んじゃう。それに、元の世界に戻った時に、普通の友達としてやっていけるか自信が無いよ」智也は躊躇いながらも、言葉を続けた。「なあ、私じゃなくて他の女じゃ駄目なの? この世界って美人がいっぱいいるし、蓮が相手ならどんな女でも応じるはずだよ?」智也の言葉に、蓮はしばらく黙り込んでいた。やがて、諦めたように口を開く。「色んな女を抱いているよ、俺は。お前が知らないだけでな」その声は妙に乾いていた。「でも、抱きたいのは……。いや、もういい」蓮はそう言うと、智也を腕の中から解放した。そして、背を向けたままカインの部屋の窓辺へと歩いていく。窓辺に寄りかかり、ぼんやりと庭園を眺めながら口を開いた。「一つ、忠告してもいいか?」「何?」「お前はこの世界の人間じゃない。いつかは元の世界に戻るんだろ? だったら、この世界に未練を残すような真似はしないほうがいい」智也は首を傾げた。「蓮、何が言いたいの? アーサーのこと?」智也は静かに続けた。「それなら、もう覚悟は決めているよ。彼とセックスしてこの世界から元の世界に戻れるのなら、仕方ないことだよ。それに、元の世界に帰れば私は男だよ。いつまでも同性のアーサーのことを引きずって生きたりはしないよ」「アーサーのことじゃない」蓮は振り返らないまま、低い声で言った。「……もし、カインとの間に子供が生まれたらどうするんだ?」「え?」智也は思わず言葉を失った。……子供?蓮
last updateLast Updated : 2026-05-11
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第60話 悪阻キツイ

「うげー……駄目だ、気持ち悪い。蓮……魔法でつわりを何とかできないか?」智也はぐったりと自室のベッドに横たわっていた。すると妹のモモが涙目になりながら這い上がってきて、彼のお腹の上に馬乗りになった。「死なないでくだしゃい、智也おにーちゃま! モモはしんぱいでしゅーっ!!」「うげぇえ……吐く、吐いちゃうよ。モモ、死にそうになるから……お腹の上に乗らないで……げふっ。」智也の言葉など届いていないのか、モモは馬乗りになったまま泣きじゃくり続けた。 智也は仕方なくモモを抱き上げ、頭を優しく撫でながらベッド脇のソファに座らせた。その様子を見ていた蓮が口を開いた。「つわりを魔法でどうにかしろと言われてもな。妊娠したら起こる自然現象だろ? 魔法で止めることも可能かもしれないが、医学的に問題があるんじゃないか?」「そんなことねー……うげぇ。親戚のお姉さんが妊娠したときは、つわりが酷くて何も食べられなかったから医者から吐き気を抑える薬をもらったって……ぐへっ……らしい。頼むよ、蓮。気持ち悪い……死ぬ……」「わかった。じゃあ女医のギーナに相談して、悪阻を和らげる薬液があるか聞いてくる。それと、モモもギーナに預かってもらうか? またお腹に乗られたら苦しいだろ?」「ううっ……すまない。妹のことはくれぐれもよろしくと、先生に伝えておいてくれ……うげぇ……」(悪いな、モモ猫。お前は可愛い妹なのに……今は正直、ウザい……)智也は心の中で妹に謝りながら、蓮がモモを抱き寄せて瞬間移動で治療院へ消えるのを見送った。 部屋が急に静かになると、途端に寂しさが込み上げ、つわりの苦しさが再び強くなった。智也は布団に潜り込み、蓮の帰りを待った。十数分後、蓮が薬瓶を持って戻ってきた。青白い顔でベッドから顔を覗かせている智也を見て、心配そうに声をかける。「おい、智也。大丈夫か? ギーナに聞いたら、つわりの治療薬はあったぞ。それとモモも預かってもらった。これが薬だ。」「うう……蓮、友情に感謝。」「友情ねぇ……一度はセックスしかけた仲で、友情は成立しないだろ?」蓮はぶつぶつ愚痴を言いながら薬瓶を差し出した。智也は起き上がって受け取り、蓋を開けた瞬間、強烈な悪臭が部屋中に広がった。「うげぇえ、駄目だ……臭いし苦い!! これ以上飲めるか……吐く、絶対吐く!!」智也はヒステリックに
last updateLast Updated : 2026-05-18
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