残された二人で、案内されて教室から出る。 部屋から出された失格者の姿は何処にもない。 信じられない。 コアを操ることが上手く行っていなかったのに、どうして合格したのか。 僕に向かって飛んできた水がどうして僕じゃなく反対方向にいる試験官に浴びせられたのか。 合格者は五十人中二人。……僕よりずっとはっきりした色を持っていた受験生もいたのに、どうして。 どうして、どうしてと頭の中で繰り返しながら、別室に通された。 別室にいたのは、五人だった。 僕たちを合わせて、二百人中七人になる。 この調子だと、千人は受けるって噂だったから、二次試験を通るのは三十五人くらい……? その中には、あの彼方壮もいた。 一番端の席に座っていたヤツは僕の顔を見るなり立ち上がってやってこようとしたが、案内の人に止められた。「自分の席から動いてはいけません」「んだよ、立ったら落ちるってわけじゃねーんだろ?」「落ちます」 その一言に、教室中が静まり返った。「試験官の指示に従えない受験生は、受験資格を剥奪されます。それでも、と言うのであれば止めはしませんが」 彼方は舌打ちして椅子に座り直した。「怖い人だね」 僕と一緒に合格した一七四番の女の子が、こそっと話しかけてきた。「なんか、あった?」「関係ねーだろ貴様はよぉ!」 小さな声を彼方壮は聞きつけたらしく、椅子の向こうから威嚇してくる。……僕に無免許飛行の上コア使用法違反をバラされたらヤバいと思ったんだろうな。 んー、と女の子はあごに指を当てて少し考えて、言った。「私、渡良瀬瑞希。北谷中学。あなたは?」「丸岡仁。鹿子木中学」「女には名乗るのか貴様はよぉ!」「彼方壮さん」
Last Updated : 2025-11-21 Read more