渡良瀬さんはスパッと切り返した。「教員だって人間なんだから、欲しかった生徒をゲットできなかったのは残念に決まってるでしょ。それでも自分を選んでくれたんだから、先生の誇れる生徒になるように努力するのが当然でしょ? 他人を選びたかったからってどうなのよ。確かに本命じゃなかったかもしれなくても、今その先生に選ばれたのは私でありあなたたちなのよ。どうしてそれを誇りに思えなくて、丸岡くん以上のコア主になろうと思わないのよ」 ひそひそ声がぴたりと止まった。「というわけで、私も丸岡くん以上のコア主になるつもりだから、よろしくね!」「うん、よろしく」 にっこりと全開の笑顔に、引き込まれそうになるのを必死で押さえながら、僕も笑顔を作って握手した。 言っている間にも教室には人が入ってくる。「ふん。くそチートがいやがった」 そんなことを、わざわざ大声で聞こえるように言う相手は、やっぱり。「彼方くん」 渡良瀬さんが咎めるように言ったが、どうやら一番最後に入って来たらしい彼方は止まらない。「いいか、貴様ばかりがコア主じゃないんだぞ。俺のコアをコピーできたからって、俺に勝てたわけじゃない。むしろお前は吹っ飛ばされていた」「彼方壮さん」「うるさい、このものまねオウムが偉そうな顔をするのが弧亜なんて、入らなきゃよかったぜ。誰も彼も丸岡丸岡って……!」「彼方、壮さん」「しつこい! 俺の邪魔するヤツは……!」「今からでも記憶を消されて、学校追放されたいんですか?」 自分を呼ぶ声が背後からと分かって、彼方は振り向いた。学園の制服を着て眼鏡をかけた綺麗な女の人が、そこに立って、彼方を見上げている。袖には二本のライン。二年生だ。「何様だてめえ」「貴方の先輩です」 細身の女性は、牙をむき出しにしたような彼方を相手に動揺する様子もなく、冷静に穏やかに声をかけた。「この学校では、コア開発のため以外の暴力行為は一切認められ
Last Updated : 2025-11-22 Read more