All Chapters of 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした: Chapter 21 - Chapter 30

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第21話・入学届

 でも、……なんで渡良瀬さんと同じ顔? 僕の問いに、コア監視員はニコニコ顔で答えた。「私たちコア監視員は、対象者にしか見えませーん。そして、二十四時間三百六十五日お傍にいまーす。なので、対象者が好意を持てる姿に見えるようになっていまーす。要するにー、好みのタイプか、好きな子の姿に見えちゃうわけでーす!」 ……え。 それって、僕は、渡良瀬さんのことが好き……ってこと? いやいやいや! 確かに渡良瀬さんは可愛いし、優しい子だったけど! 彼女に迷惑だろ、僕なんかが好意を持ったら! 僕の混乱を無視して、コア監視員は僕の顔の真ん前に来た。「では早速ですが、入学を申請しますか?」 …………え。 さっきまでのテンションとはえらく違う真面目な声と顔で聞いてきた監視員に、僕は面食らってその顔をまじまじと見てしまった。「これより二十四時間以内に入学申請をしないと、入学許可が取り消されます。速やかに保護者と連絡を取って、入学申請するか否かをご回答下さい。なお、コア監視員の存在は保護者にも秘密にしてください」 そこまで言い終わって、また監視員はにっこり笑顔。「さーあ、最初の訓練。親御さんを説得して学校に入学するべし! 急げ急げ!」 僕は合格通知を持って、部屋を飛び出した。 両親とおばあちゃんは相当驚いていたけど、封筒と合格通知を見て、泣いて喜んでくれた。だって、小学校の時から僕の第一志望は弧亜学園だったから。淡いベージュと言うコアの力を何とかして引き出そうと一緒に頑張ってくれたもんね。今までコアの力に目覚めたのを言わなくてごめん、と謝った。 そして二十四時間以内に入学するかどうか決定しなければならない、と説明する前に、心配するな、胸張って入学しろ! と言ってくれた。 ので、話し合いを見ていたコア監視員に頷きかけると、彼女は頷いて、それが入学届となった。 あっさりと終わった届出に呆然としている間に、僕が弧亜学園に合格したという話は、ご近所と学校にものすごい勢いで広まっていた。「え、マジ?
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第22話・第一歩

 だけど、どうして合格したのか。 あの一対一の勝負、僕は間違いなく彼方壮に負けていた。 渡良瀬さんを助けようと、油断した隙をつかれて屋上まで吹っ飛ばされ、自力帰還不可能になった。 普通、その時点で僕の負けは決定となる。 負けたのに、合格? その疑問を監視員に投げかけると、彼女はあの事務的な声と表情で首を横に振った。「合格基準はお知らせできません」 その後、ニパッと笑った。「入学後、担当の先生に聞いてみてくださーい!」 担当の……先生……。 そうか、僕は弧亜に合格したんだ。 今更ながらにその実感がわいてきた。 何もできないコアしか持っていなかったこの僕が。 弧亜学園の三次試験まで通って。 二ヶ月後には、あの学園に通うことになる。 彼方もいるだろうけど、そんなの関係ない。嫌な奴の一人や二人、弧亜学園に入学できることを考えればいくらでもガマンできる。 ベッドにゴロゴロしていても、お腹の底から興奮が沸き上がる。 このコアで、僕の人生はマイナスに変わったと思った。 だけど、違ったんだ。 僕は使い方を知らなかっただけ。 このコアで、弧亜学園に合格したんだ。 僕が! 弧亜に! 叫び出したくなる口を枕に押し付けて喜びが出ないようにして、じたばたする日が続いて。 その間に、どさどさと入学金とか制服代とか教科書代とか寮費とかの請求書が来て、主に親が忙しくなって。  「忘れた荷物があったらあとから届けるから、連絡しろ」「うん、お父さん」「体に気をつけてね。何かあったらすぐ先生に言って」「分かったよ、お母さん」「あんたは合格を勝ち取ったんだ。胸を張って学校に行きなさい」「ありがとう、おばあちゃん」 弧亜学園は全寮制。長期休暇以外は帰宅できない。だから、今度家族と
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第23話・入寮

 学生寮は、学校の敷地内。校門から向かって右に男子寮、左に女子寮がある。 そんなに大きな建物じゃない。 それもそうか、三次試験まで来た全員が入学できたとしても五十四人。たった二クラスで教室が足りてしまう。「はいはーい、こっちですよー」 コア監視員が寮の中を案内する。 同じコア監視員を持っている同級生には見えるんじゃないかと心配したけど(なんせ同じ試験を受けた顔なんだ)、誰の傍にも監視員は見えなかったし、虚空を見て何か話している人も結構いた。「はい、その通り。コア監視員はコア主の波長に合わせて作られていますので、基本的に他の人間には見えませーん」「基本的?」「例えば同じ監視員とか、私たちを創造したコア主には見えるということでーす」 よかった。「こんな子タイプ」って一発バレしてしまうのを見られてしまわなくて本当によかった。「はい、丸岡さんのお部屋はこちらでーす。このコア紋読み取り機に右手をかざしてくださーい」 ドアの脇、右手の形をした黒いパネルに手を当てると、コアが反応して、かちりとドアが開いた。「登録されたコア主以外には基本は入れませんので、プライバシーは完全に守られているわけでーす」 コアはそれぞれ独自の周波数、コア紋を持っている。だから、指紋や網膜と同じように、個人識別に使う機械なども開発されてるって言うけど、学生寮に組み込んでいるってのは珍しい。さすがは弧亜学園、最先端の学校。 中に入ると、実家の部屋より一回り広い部屋に、家から送られた段ボールとかが置かれていた。家具家電は基本寮持ちだけど、テレビや洗濯機、エアコンまでついている完璧さ。キッチンもあるけど、学食もあるのでそこで食べても構わないとか。「すごい学校だなあ……」 ベッドに腰かけて、僕は溜め息をついた。「丸岡さーん」 監視員が僕の顔の前でにっこり笑っている。「何?」「あなたは私に名前を付けないんですかー?」「名前?」「はーい。さっき確認したところ、丸岡さ
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第24話・名前

「何故ですかー? 同じ顔をしてるんですから、その名前を付ける方も多いと聞きましたー。不思議じゃないでしょー?」「聞かれたらどうすんだよ!」 誰にも監視員の姿は見えないし声も聞こえない。だけど監視員と話しているコア主の声は聞こえる。 誰かいる時間違って呼んだらどうすんだよ! 言い訳できないだろ!「渡良瀬瑞希さんと親しくなるためにー、私で名前呼びする練習とかー」「僕は女子を下の名前呼びすることはない!」「今時硬派ですねー」 硬派じゃなくて下の名前呼びする度胸がないだけ、なんだけど、この監視員に知られたくなかった。 渡良瀬さんと同じ顔をしてるけど、どうもこの監視員、お喋りって言うかおせっかいって言うか……。「じゃあ、違う名前、つけてくださいよー。認識名称のついてない監視員は私だけなんですよー? つまんないですよー。私だけコア監視員だなんてー」 あーもー。監視員なら監視員らしく監視しとけ!「お願いですよー。名前ー。な・ま・えー」 名前を付けないと喚き続けそうだ。 だけど、名前ってったってなあ……。うち、ペットも飼ってなかったから、何かに名前なんてつけたことないぞ。 無難で、呼びやすくて、監視員が納得する名前……?「……ココ」「ここ?」「ココ。君の名前だ」「わー!」 ココは花が咲いたように笑った。 やっべ、その笑い方、渡良瀬さんそっくり。「ココ、ですね! 個体認識名称ココで登録します! ありがとうございます丸岡さん! つきましてはー……」「まだなんかあるの?」「私は丸岡さんのことをどうお呼びすればよろしいんでしょうか?」「好きに呼んでくれ」「ア・ナ・タ。とか?」「丸岡さんでいい!」 こいつを作ったコア主はどんな性格してんだ! それともコア監視員はみんなこんな性格なのか? だとするとコア監視員が集まると相当やかましいぞ。
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第25話・遭遇

 ココに案内され、寮内を歩いた。 入り口にも当然ながらコア紋認識があって、外部からの侵入者を警戒している。 一階には談話室と食堂があり、大浴場も設置されている。温泉の湯を引き込んでいるのだとココは得意げに教えてくれた。 二階以上は四棟に分かれている。一年棟、二年棟、三年棟、そして監視棟。監視棟には男性の先生が住み込んでいるのだと教えてくれた。 一年棟や二年棟と呼ばれているけど、進級によって部屋が変わるわけでなく、棟の呼び名が変わるだけとか。 その方がいいよな。学年が上がる度に部屋引っ越すのも色々大変だし。 その後は学校を案内された。 不思議なことに、教室にはクラスがない。普通一年A組とかあるはずなのに、一年生から三年生までクラスがない。あるのは合同教室と、大小さまざまな教室や、研究室などで、学生が使うスペースはそんなに広くない。広いのはコア研究の為の設備などを収めておくスペースだ。 弧亜学園は日本コア研究の最先端を行く。高校と銘打ち、教師やコア医、生徒と学園の体を作ってはいるものの、その実態は優秀なコアとコア主を集め、コア教育や新能力の開発に勤しんでいるという。 だから、学園で編み出されたコアの教育法はそのまま他の学校に伝えられる。 この学校にいれば、常にコアの最先端の分野に触れられるわけだ。「で、こちらが中庭になりまー……」 ココの説明は最後まで聞こえなかった。 あの時と同じ、嫌な気配。 気配から感じる色を、コアにコピーするようにしながら、僕は横っ飛びに飛んだ。  ずががががぅ! 派手な音を立てて地面が抉れる。「何故、貴様が……」 間違いない。こいつは……。「俺に吹っ飛ばされた貴様が、何故のうのうと学園に来ているんだよ!」 やっぱり! 彼方壮!「ココ!」 ココはコア攻撃の影響を受けた様子もなく、彼方のほうを見ながら何かチカチカ光っている。 そして彼方が吠えた。「そん
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第26話・担当教員

 彼方を追いかけて二人が走っていき、残った一人……受験の時試験官を務めていた人が頭を下げた。「入寮早々済まなかった」「いえ、運が悪かったんですよ」「コア監視員にも入学式まで顔を合わせないように、と命令してあったはずなんだが、彼方君の判断力は相当なものだ。監視員の言い分によると、君たちが近付いているのに気付いて遠回りのルートを選ぼうとしたところ、自分に見られたくないものがあると判断して振り切って来たんだそうだ」「彼が合格するのは予想してました」 あの空気を操る能力。才能・実力ともに、これまで僕が見てきた同年代の中でも上の上のそのまた上を行っているような感じだった。「不思議なのは、僕が合格したことです」「ふん?」「一対一のバトルでの判断なら、空中に吹っ飛ばされて自力で戻れなくなった僕は間違いなく失格でした。なのに結果は合格。勝ったと思った彼が怒っても仕方ないですよ」「合格したのが不思議と?」「ええ」「普通なら合格したら敗北したことなど忘れて浮かれるはずだが」「浮かれたかったですけど、僕のコアが使えるようになったのは試験中。僕のコアの能力……多分、コピー能力で彼と同じ力を性質を持っていたかもしれないけど、使い方はやっぱり相手が上でした。なのに……」「慎重なのか、自己評価が低いのか」 試験官はニッと笑った。「弧亜学園の、今年の入学者は五十四人だ」「三次試験参加者、全員合格?」「そうだ。それで納得できるか?」「できません」 試験官は口元に笑みを浮かべたまま、僕を見た。「正確には、二次試験の時点で合否は決まっている。コア能力の性質とそのコントロールができるか。学園にとって有益となるか否かを見極める。三次試験は、入学後……全員が入学したとして、どのような方面にどう育てればいいかを考えるための模擬戦闘だ」「どう育てれば、いいか?」「そうだ。学園案内で気付いたろう? この学園には合同教室があってもクラスというものはない。一人の生徒に
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第27話・とりあえず一休み

 部屋に戻って、僕はベッドに転がり込んだ。「大変な目に遭いましたねー」「大変なんてもんじゃなかっただろ」「ええ、ええ! チェンジにはきつく言っておきました!」「チェンジ?」「彼方壮さんのコア監視員の名前です」 ……彼方のコア監視員もココと同じような性格かも知れない。名前が「交代」だって……。 でも、クラスがないのは助かった。間違って彼方と同じクラスになってたら、毎日ケンカ吹っ掛けられるのが目に見えている。「でも、合同授業とかでは顔を合わせますからねー?」「まあ……先生たちのいる前で僕にケンカ吹っ掛けるほど分かってないヤツじゃないだろ」 ベッドに大の字になって、僕はココに聞いた。「これからの予定はどうなってるの?」「十八時半に食堂が開きます。その後は自由時間の後、二十一時半点呼、二十二時消灯。明朝六時起床、七時より朝食、午前十時より本校舎講堂にて入学式が行われます」 真面目な顔と声で言ってから、ココは二パッと笑った。「自由時間は何をしても自由ですけど、羽目を外し過ぎないようにしてくださいねー」「安心して、初めての場所で問題を起こすほど度胸ないから……」「はいー! これまで観察した丸岡さんの性質では、問題行動はまず起こさないものと信じておりますのでー!」 スマホのアラームをかけようとすると、ココが止めた。「そう言うことはー、私がやりまーす! その為の監視員でーす! コアだけでなく、コア主の体調、精神状態、全てを監視するのが監視員ですから、ひと眠りの目覚ましくらいお手の物ですー!」「……じゃあ、十八時に起こして」「了解しましたー! 十八時ぴったりに起こして差し上げますー!」  文字通り十八時ぴったりに起こされた僕は、ココに案内されて食堂へ向かった。「食堂には教師がいるの?」「いますともー。食堂は男性生徒・教員・研究員全てが利用できるようになっていますー」「……じゃ
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第28話・再会

 爆弾発言に僕が呆然としているのに気付いているのかいないのか、いや気付いて勿体ぶっているんだろうコア監視員は続けた。「コア監視員は監視員同士で伝達ができますー。彼女の監視員に伝えて、お二人が会える時間を作るなんてお茶の子さいさいですー」「で、でも、彼女に迷惑は」 その時、ココがちかちかと発光した。「ああ、ちょうどよかった」 ココは渡良瀬さんそっくりの顔でにっこり笑った。「渡良瀬瑞希さんから、夕食後にお会いできないかとご連絡を頂きましたー。二十時過ぎに、校門で待つそうですー」「え? 僕の都合、じゃなくて決定事項?」「だって、行くでしょう?」「行くけどさ」「断らないでしょう?」「断らないけどさ」  夕食は下手するとお母さんのより美味しかった。さすがは最高峰の学園、食事も最高峰。 だけど、時間が近付くにつれ、心臓がバクバク言い始めた。 僕と会いたいって? 本当に? 冗談じゃなくて? 食事もそこそこに部屋に戻り、一応髪を撫でつけて、校門に向かった。 受験の時、彼女が待っていてくれていた校門。 あの時と同じに、彼女が待っていた。「丸岡くん!」「渡良瀬さん」「よかったー!」 僕の顔を見るなり渡良瀬さんは膝から崩れ落ちた。「渡良瀬さんっ?!」「丸岡くん落第したものだって思ってたから、ずっとずっと心配だったんだ……。電話番号も聞いてないし、ミャルに聞いても「入学までは教えられません」って言うしさー! もう、私が合格して丸岡くんが落ちたらどうしようって思ってさ!」「ありがとう、ごめん」 僕は頭を下げた。「この通り、無事合格できた」「よかったー……」 座り込んだまま、渡良瀬さんは良かったを何度も繰り返す。「明日から、同じ学校なんだよね」「うん」「じゃあ、これから、よろ
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第29話・入学式

 時間ぴったりにココに起こされて、今日から本格的に弧亜学園の生徒としての活動が始まる。 それを告げるのが、入学式。 と言っても、保護者は参列しない。入学式は新入生と学園関係者の相互理解、とかなんとか言ってたけど、正直よくわからない。 とにかく、僕含む五十四人のお披露目の場だってこと。 本校舎の講堂まで連れていかれる時、男子三十人が集まって、三次試験の勝者が敗者の顔を見て唖然とすることが多かった。……もちろん彼方は僕の顔を親の仇のように睨んでいたけど。 仲良くやれるかどうかは分からない。 御影先生に入学式が終わるまで秘密だよ、と言われているけど、クラスはない。けど、一般授業は合同教室で全員まとめて行うらしい。一般授業以外は担当教員とマンツーマンもしくは他の教員や生徒と協力したコアコントロール授業や能力開発授業があるという。 それだったら何とかなるかなあ……。これも御影先生が教えてくれたんだけど、僕と彼方の相性が最悪に近いというので部屋を出来るだけ離したってことだし、合同授業以外では顔を合わせることもないかな、と。  講堂の壇上に五十四人全員が上がらされ、入学式が始まった。 合同授業などの講師の紹介、生徒会長の挨拶、校長の挨拶。 驚いたのは、校長が若い女性だってことだった。 美丘千鶴校長は、何処かで観た覚えがあるんだけど……思い出せない。 ただ、彼方が何やら口をパクパクさせていたのは見た。知り合いだったんだろうか。 そして、学校の仕組み、決まり、行事などが発表されて。「担当教員を紹介します。例外がない限り、三年間皆さんのコア開発を手伝う教員ですので、二人三脚で頑張ってください」 五十四人の教員が上がって来て、担当生徒と握手を交わした。 御影先生は意味ありげな笑みを浮かべて僕と二回目の握手をした。 彼方は……熟年の、厳しそうな先生だ。 渡良瀬さんは……白衣に聴診器を引っかけた、入試の時に僕含む受験生の三次試験後診察をしていた阿古屋とか
last updateLast Updated : 2025-11-21
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第30話・コアの成長

「では、さっそく授業を開始します。担当教員は生徒を担当室に案内してください」「担当室?」「主に担当教員の管理する部屋だね。コア研究などはそこで行われる、実践の時は広い場所あるいは屋外を使うこともあるが」 御影先生の小声の説明に納得する。「では新入生、担当教員、退場」 一年生は講堂を出ると、担当教員に連れられて、校舎のあちこちに散っていった。  御影先生は僕を本校舎二階の部屋に連れて行った。 ドアには『丸岡仁・担当御影秀敏』と書いてある。「ここが君の担当室だ。場所が分からなくなったらコア監視員に聞き給え。コア監視員は校内に関しては完璧な知識を持っている」「コア監視員って、何でいるんですか」「何故だと思うね?」 知らないから聞いたんだけど。「コアは十五歳で入手でき、それから三年くらいの時間をかけて能力が変化していく。つまり、同じ人間、同じコアでも、三年間の訓練次第で全く別の力が手に入るということだ」 ああ、それなら聞いた。だから受験生はコアの能力を伸ばしたい生徒がこぞって自分の持ちたい力を専攻する高校を目指す。「コアの波長は、コア主の体調や精神状態に大いに左右される。時には暴走することもある。だから、コア監視員が必要なんだ。生徒一人一人のコア紋を記録し、体調や精神状態、それによって起きたコアの異変などの観察がね」「だから、わざわざコア生物を作る」「そうだ。コア医や研究者にとっては何をさておいても欲しいデータだ」「だけど、性格が……」「コア監視員の性格かね?」 御影先生はちょっと笑った。「御節介くらいがちょうどいいんだ。控えめなコア監視員では、例えば彼方君のように暴走するタイプだと止められないからね。まあ彼は例外みたいなものでコア監視員とも相性が悪いらしいが」「コア監視員を作ったのは学園のコア研究者ですか?」「ああ。ただし名前は明かせない。三学年百五十人以上のそれぞれのコア生物を作るコア主なんて
last updateLast Updated : 2025-11-21
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