All Chapters of 地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした: Chapter 61 - Chapter 70

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第59話・時間稼ぎ

「でも彼方は勝つ気満々ですが」「少なくともコア能力授業を受けていない今の状態ではあいつは百に勝てないだろな。解放と制御、両方ができない力は力とは言えない」 おっと、話がずれたと一先輩は笑った。「とにかく、不良生徒に恐れられるのには時間がかかるから、それまでは複数で固まって歩いてた方がいいってことさ。俺もいてやりたいが学年が違うし部活もあるから難しい。だから、相手の足りないところを補って風紀委員やってみな。案外上手く行くかも知れないぜ。俺の妹の人を見る目は確かなんだから」「あ、ありがとうございます、先輩」「おう」 話ながら食べ終わったトレイを持って、一先輩は立ち上がり、ひらひらと手を振りながら歩いて行った。その背中が大きく見える。「うん、そうだね」 渡良瀬さんが頷いた。「危険かもしれないんだもん、お互いで協力し合わなきゃ無理だよね」「時間を稼げれば、別の委員が来てくれるだろうし」「そうだよね、決めた」 渡良瀬さんは顔を上げた。「私たちの任務は、時間稼ぎ。校則違反を見つけて、説得して、その間に先輩が来れるようにする」「うん、それが現実的だと僕も思う」「と、決まれば、時間があればできるだけ一緒にいよう。委員長の方法は丸岡くんは使えるけど、私には使えない」 確かに落雷一閃ドーンは渡良瀬さんの能力ではマネしようがない。「うん、頑張る」     ◇     ◇     ◇     ◇「ふう」 食堂から廊下に出た一は溜め息をついた。 本当なら、傍にいてやりたい。二人とも善意の生徒で、風紀委員などと言う役職には向いていない。確かにコア能力を伸ばすには適任だろうか、他人に罰則を与えるなんてことからは無縁のところにいたはずだ。 しかし。「学園長がなあ……」 ポケットに手を突っ込んで歩きながら一は呟く。(あの二人……コピーくん、もとい丸岡仁を管轄下に置きたいって……) 生徒
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第60話・風紀委員の権力

 午前中の合同一般授業は、何も起きなかった。 いや、彼方が先生に「どうして一年生が風紀委員なんだ」とか「選考理由を教えろ」とか詰め寄って、風紀委員長に直接聞きなさいと言われて、あのスタンが相当効いていたのか黙って席に戻ったりはしたけど、少なくとも風紀委員が必要なことはなかった。 一応風紀委員としての仕事もあった。ココに言われて、学校の廊下を歩く。いわゆる巡回ってヤツだけど、上級生の教室から僕たちを興味津々な顔で見る先輩の多いこと多いこと。やっぱ一年入ったばかりで風紀委員と言うのは僕の透明コアと同じくらいにレアなんだろう。 昼食も無事すぎて、僕は渡良瀬さんと別れ、担当教室へ向かった。  コア認識のドアを開け、入ってきた僕に、御影先生は機嫌よさそうに声をかけてきた。「やあ。人生が劇的に変わった気分はどうかな?」「はい?」「初の新入生風紀委員だ。さぞ注目を浴びただろう」「劇的にって……風紀委員になったってだけで、他は何も」「それは学園のことを知らないから言えるセリフだよ、丸岡君」 御影先生は何やら備品をいじりながら返した。「学園で風紀委員はかなりの権力を持っている。時には教師に罰則を与える風紀委員もいるくらいだ。この日本最高のコア主養成校でコアを使った違反に立ち向かう能力と権力を持っている……一介の新入生がなったことはない。今回の君達が初めてだ。だから、劇的に変わったと言ったんだ。君に自覚がなくてもね」「先生がゴーサイン出したからじゃないですか」「もちろんだとも。コア研究に一番必要なのはコアの使用例だ。使用例が多ければ多いほど研究ははかどる。コアを自由に使っても文句を言われない立場になれるというこのチャンスを、どうして逃すことができる?」「彼方にケンカ売られましたよ。風紀委員はコア使いたい放題の権力振るいたい放題だって」「そこも含めて私は許可を出したんだ」 担当室のスイッチを入れながらの先生の言葉に、僕は意味が分からず首を傾げる。「君はコア使いたい放題の権力振るいたい放題に
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第64話・コア主の本能

「ふへえええ……」 担当室に戻るなり、ぐっと出てきた疲労感に、僕は机に突っ伏した。「お疲れだな」「疲れますよ……一人で、三年の先輩のケンカ止めたんですから……」「立派なものだったぞ」 御影先生はハンディカメラのデータをモニターに移しながら、ねぎらって(?)くれた。「三年生同士のケンカを止め、情状酌量を汲んで罰則を与えた。この一件で少なくとも君の株は上がるだろう」「運がよかったんですよ」 机の上に突っ伏したまま、先生の言葉を否定する。「空木先輩が多分熱気。炎じゃなくて熱気、ってのは珍しいけど、もし相手していた天野先輩が氷を操るんじゃなかったら、僕は空木先輩のコピーをして熱気をぶつけるしかなくなる。そうすればいくら防火設備の体育館でも、コンクリートが歪むくらいのことにはなった」「有り得たな。しかし、結果として上手く行った。それで充分だろう」 最後に先生は冷蔵庫からミネラルウォーターを出して僕の前に置いた。「飲みなさい。少しはマシだろう」 一口飲んで、一口じゃ済まなくなって、五〇〇ミリペットボトルを一気に飲み干した。 飲んだ後、大きな息が出る。 僕は思っていた以上に疲れていたらしい。「さて、授業に戻るとしようか。いいデータも取れたことだし」 御影先生はさっきの戦闘を大型モニターに大写しにした。「君が走り出してから、天野君の能力がコピーできると判断したのは天野君からおよそ二〇メートル離れた地点」 僕が天野先輩に共闘を申し出たところで、先生は映像を止めた。「どうしてやって判断したね?」「難しいですけど……」 僕は疲労で働きたがらない脳みその引き出しをひっくり返しながら答える。「何か、波のようなものを感じたんです。コアの波。多分コア周波数。それをコアに転送できる……かな、っ
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第61話・呼び出し

 …………。 認められたのか甘く見られてるのか。「分かりませんよ。僕だって、権力の使い方を知ったら、それを使いまくるかもしれない」「同じことを言った生徒がいたよ」 準備を終え、御影先生は僕に向き直る。「自分に権力を与えて本当に大丈夫だと言い切れるのか、と担当教員に言った生徒がね。彼女は今は風紀委員長だ」「……!」「風紀委員長になって、権力を発動する立場になっても、それでも彼女は冷静だ。コアを使わなければならないと判断した時しかコアを使わず、風紀委員たちの頂点に立っている。権力の使い方を知ったら堕落するかもしれない。そう危惧できる人間こそが風紀委員に相応しいということだ。風紀委員に関することはこれで終わり」 僕が口を開く前に会話を終えてしまった御影先生は、椅子に座る。「今日の実験は、距離の実験だ」 距離、とな?「今の君ならば相手のコアを読み取って自分のコアに再現するという手順は身についているだろう。その能力をどのくらいの距離から使えるかの実験だ。他にも色々試したいことはある。遮蔽物があったりなどの視覚で相手を確認できなくてもコアを感知できるのか。対象によって距離は変化するのか。まずは……」 その時、チカチカと光るものに気付いて僕は顔を上げた。「ココ?」「風紀委員の呼び出しです」 ココはあの無表情でそう告げた。「体育館で無許可のコア戦闘が行われています。至急現場に急行し、校則違反を止めてください」「え? でも、僕今授業中で」「風紀委員の任務は授業に優先されます」 僕は御影先生にそれを話した。「それは行かなければならない」 渡良瀬さんがいないのに出動か……。どうなるんだろう、僕。「私もついて行く」「先生が? でも先生って基本生徒に干渉しないんじゃ」「い
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第65話・研究は疲れる

 僕はもう疲れ果てて先生に適当に返事する。 そもそも僕には体力ってものがない。一先輩のコアをコピーして動いたら運動のし過ぎで全身の筋肉がちぎれ、全身最強筋肉痛で一週間はベッドでもんどりうつことになるだろう。 体力……つけた方がいいのかなあ。 筋力も……つけた方がいいのかなあ。「君は波のような何かを感じたと言った。それはまさしくコア周波数。君はコアと同化することによってコア周波数を感知できるようになったんだ」 もうコア周波数も要らないから、早く終わらせて。「ふむふむ、適当にそこらを歩いている人間を引き込んで、不特定多数のデータを取った方がいいかもしれん。いやでも当初の研究予定はコピーできる距離だったんだ。しかしコア主が周波数を感知するというのは非常に興味深い普通の人間にはコア周波数は感知できないもので周波数を観測できるようになったのもここ十年……」 暴走する御影先生を、唐突などでかいチャイム音が遮った。「何、もうそんな時間か? もっと実験がしたいのに。しかし授業時間以外のコア研究は学園長と生徒会とコア医の許可を取らねばならないからな……」 まさしく今御影先生がなったような状態から生徒を救い出すためのチャイムは、きちんと僕を救ってくれた。 ヘルメットとコア器具を外して立ち上がる。「じゃあ、失礼します……」「きちんと休んで、疲労を取り給え。さもないと」「さもないと?」「疲労時のデータを取る研究にシフトする」 つまり疲れているところに更に疲れる実験をするということだ。「何が何でも疲れとります」 僕は失礼しますと頭を下げて担当室を出る。「丸岡さんー?」 授業中は大人しくしていたココが声をかけてきた。「授業終了後ー、風紀委員は一日の報告をしなきゃいけないんですー。委員会室にご案内しますねー」「あー
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第66話・叱られると思ったら

 よれよれになりながら風紀委員会室に辿り着いた僕は、そこで渡良瀬さんと半日ぶりの再会をした。「大丈夫? 顔色悪いけど」「大丈夫……チャイムのおかげで先生の実験はストップかかったから」「はいそこ、静かに」 先輩が小声で注意する。「校則違反を取り締まる風紀委員が公用の場所で私語はいけません」「すみません……」「ごめんなさい……」 小さくなった僕ら二人に、注意してきた先輩は笑顔で頷く。 ……なんで笑顔? そこへ、八雲委員長がやって来た。「全員揃っているわね。反省会を始めましょう」  反省会とは、一日の終わりに風紀委員が集まって、その日にあったトラブルとかその対応策なんかを話し合う場なんだそうだ。 だけど、僕は半分以上聞いていなかった。 あの熱気の中を走って氷のコピーを使って、その後先生の実験に付き合ったら体力がめっちゃ消耗していた。三次試験ではそんなことなかったのに。彼方のコアをコピーして操って、そんなに疲れたことはなかったのに。「……丸岡さん」 頭の中でそれが何なのか分からないまま耳がスルーしていった。女の人の声だとはわかっていたけれど、それ以上の情報は聞き取れなかった。 こん、と肘を小突かれた。「え?」「丸岡くん」 頭の中で渡良瀬さんの声だと気付いて顔を上げる。 横に座っていた渡良瀬さんが不安そうな表情をして、委員長が僕のほうを見ている。「反省会は聞いていた?」「……すいません」 僕はひたすら小さくなるしかない。「聞いていませんでした……」「素直に認めるのはいいことよ。でも、せっかく褒められるんだからちゃんと聞いていなさ
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第67話・褒められた?

「風紀委員は不良に絡まれることが多いの。この学園は優れたコア能力者が集っているけれど、その分プライドが高かったりコア暴力に訴えたりするような問題児も多くいる。そんな問題児に絡まれて、罰則ではなく説得で場を収めたことは素晴らしいわ。風紀委員の鏡よ」 ……褒められた?「そして丸岡さん、三年生同士のコア戦闘、特に攻撃的なコアを持つ戦闘を静めるのは、並大抵のことではないわ。新入委員が派遣されても、説得も聞かず、大事《おおごと》になるのを押さえるだけでも大変なの。それを負傷者なしで収めるなんて、三年生のベテラン委員でも単独では難しいことなのよ。それを一人で、よくやってくれたわ」 八雲委員長は、にっこりと微笑んだ。「丸岡仁さんを本日のMVCに相応しいと思う委員は挙手してください」 ざっと、手が上がった。 え? え? 風紀委員全員が手を挙げている。「では、満場一致で丸岡さんを本日のMVCとします」「え、МVCって?」「最優秀委員の略だよ」 渡良瀬さんとは逆隣に座っていた先輩が教えてくれた。「反省会で毎日今日のMVCを選ぶんだ。風紀委員に相応しい行動をした委員をね。委員会の中だけなんで特にご褒美とかはもらえないけれど、選出された回数の多い委員は委員長に近くもなるし委員会内での発言権もあがる」 へ? どういう意味?「つまり、今日一番頑張った委員と認められたってことだね」「でも、無茶をしてはダメよ。今日は何とかなるって確信があったから出来たんでしょうけど、自分一人で無理だと判断した場合は応援の到着を待ってから行動して構わないわ。MVCを取るために無茶をする委員もいるけど、貴方がその二の舞にならないように」  ぱちぱち……。  ぱちぱち。  ぱちぱちぱちぱち……。 拍手されてる? 僕が? 中学校の時は陰キャラでテスト前のノート貸す時しか役立たなかった僕が? 弧亜学園風紀委員会の一番頑張った委員だって? 信じられない。
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第68話・モニター越し

「では、本日の反省会を終わります」 先輩たちがばらばらと立ち上がる。「よく頑張ったな」「私だったら逃げてたわ。えらいえらい」「度胸あるなー」 先輩が僕の脇を通り過ぎる時、肩や背中を叩いてそんなことを言ってくれる。「丸岡くんはすごいね!」 渡良瀬さんも笑顔で言ってくれた。「三年のケンカを収めるなんて!」「大したことはしてないよ。でも」「でも?」「なんか……って言うか、とっても……嬉しい、かな」「嬉しいに決まってるじゃん!」 渡良瀬さんは僕の背中をどんと叩いた。「一年生で委員会にはいったばっかでお手柄立てて褒められたんだもん、嬉しいでいいんだよ!」「そ、そうかな」「そう!」「そうよ」 八雲委員長も笑顔でやって来た。「でも、さっきも言った通り、無茶はダメよ。自分の身の安全を第一に考えてね」「はい!」「今日は疲れたでしょうから、ちゃんと食事をとって、入浴して、寝なさいね。問題児に絡まれているそうだけど、それは出来るだけ渡良瀬さんと二人で行動していれば穏やかに済むはずだから」「はい!」「じゃあ、寮に戻ってね」「失礼します!」 僕は立ち上がって委員長室を出ようとして、渡良瀬さんに笑われた。「え、何」「丸岡くんの歩き方、ロボットみたいだよ!」 嬉しいが先行してぎくしゃくしていたらしい。「しょうがないなあ」 渡良瀬さんはコア能力で、緊張しているのか興奮しているのか分からない僕の精神を静めてくれた。「ありがとう、やっと」「やっと?」「息、できるようになった」「そっか」 渡良瀬さんは笑って、そして背筋を伸ばして言った。「あーでも、悔しいなあ」「どうして?」「MVCなんてさ、先輩でもな
last updateLast Updated : 2025-11-22
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第62話・コア喧嘩

 体育館に入った途端、空気が熱気を帯びているのが分かった。 何をしてるんだ? 体育館に限らず、弧亜学園は防火防煙対地震の造りになってるって言うけど、それでもこんな熱気を当てたら……。 体育館の真ん中では、制服の袖三本ラインの男女が睨み合っている。「男子は三年、空木和也、女子は同じく三年、天野美和。このままだとコア戦闘だけでなく体育館の施設破損による罰則追加が予測されます」 三年の先輩か……。これは大変だ……。僕よりコア戦闘にずっとずっと長けた二人から攻撃を食らうことも覚悟しなきゃならない。「近くに三年の風紀委員は?」「最短距離にいる風紀委員に連絡はしましたが五分はかかるかと」 五分。それじゃあ遅い。 しょうがない。 僕は拳を固めて、体育館に踏み込んだ。「三年生の、空木先輩! 天野先輩! コア戦闘を中止してください!」 精一杯上げた大声に、天野先輩の方が反応する。「一年の新入風紀の出番はないわ! 下がってなさい、怪我するわよ!」「けっ、こんな時に一年の心配か? 随分お優しいじゃねえか、俺なんか用済みってか!」「用済みなんて言ってないじゃない! 何で分かってくれないのよ! 勝手に勘違いして勝手に怒って! そもそもあんたが身勝手なんじゃない!」「ああ身勝手さ! 身勝手で悪かったな!」 これは……あれか。 痴話ゲンカ、ってヤツ?「ココ、あの二人、恋人?」「風紀委員にアクセスできる生徒情報を上げると」 ココは無表情のまま答えてくれる。「いわゆる恋人と言う間柄ですが、最近空木和也が友人に彼女から別れを告げられそうだと相談していました」 あ~……まあ、高校生だしね……好きな人はいるだろうし、好きな人に恋人ができたら嫌だなーってのもあるだろうし。 と、納得している暇はない。 空木先輩が生み出している熱気が、天野先輩に叩きつけられている。 
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第63話・両成敗

 三! 僕と天野先輩は同時に攻撃に転じた。 薄かった氷の膜が、二人分の力で強力になる。 それを操って、空木先輩の上空に持って行ってくと、熱気で溶けかけた氷を空木先輩の周りを取り巻いている熱気を強引に突破させて頭に叩きつけた。  ばしゃあん! 氷の溶けた、バケツをひっくり返したくらいの量の水が空木先輩にかけられた。 熱気が急速に引いていく。 僕と天野先輩はしばらく肩で息をしていたけど、天野先輩はぺたりと床に座り込だ。「和也……」 ぶっ倒れている空木先輩に声をかける。「新入り! 大丈夫か!」 走って来たのは、朝委員会室にいた三年の風紀委員だった。 体育館の有様を見て、そして座り込んでいる天野先輩と倒れている空木先輩を見て、頷く。「御影先生、どうせ録画してたんでしょう。確認させてください」「構わないよ」 何時の間に持っていたのか、御影先生はハンディカメラを三年風紀委員に渡した。「ふむ……空木が一方的に天野に攻撃してる……」「あの……お願い」 天野先輩が座り込んだまま、言う。「和也の処分……軽く、してあげて」「一方的なコア戦闘、体育館の損傷、難しいぞ」「でも……和也がキレたのは、私のせいだし……私も罰則受けるから」 三年の風紀委員は溜め息をつくと、僕を見た。「丸岡君。君は、どう思う?」「え。僕の意見を聞くんですか」「君は現場に真っ先に駆け付け、コア戦闘を収束させた。この一件の担当は君だ。罰則は君の判断に委ねられる」 僕は次にココを見た。 ココは無表情で答える。「空木和也には一方的なコア戦闘、体育館破損、合わせて停学十日が妥当な所ですが、委員の判断によって軽減は成されます。天野美和は仕掛けられて防御をしていましたから、反省文五枚が適当だと」「じゃあ……」 僕はしばらく考えてから答えた。
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