地味なコア一個しか宿らないと思ったらチートみたいでした のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 80

104 チャプター

第69話・コア体育

 半分生徒を研究材料として使う研究者の集まりでもある弧亜学園も、一応は高校であって、ちゃんと一般授業もある。主に午前中だけで高校の授業をこなすので、かなり詰め込み式になるから、高校受験では詰め込み授業についてこれる学力の持ち主かどうかが問われると一先輩が言っていた。 そして、一応体育もある。 体育は一般授業の中でも数少ないコアを使える授業なので、コア体育とも呼ばれ、運動が苦手でも待ち遠しい生徒がいるくらいなんだ。  体操着に着替えて体育館に行く。 昨日の騒動が嘘のように体育館は綺麗になっている。多分天野先輩が空木先輩と仲直りしながら床の掃除をしたんだろう。濡れている様子はない。 コア体育担当の先生が、一年生全員を整列させた。「はい改めまして。体育担当の長田直治です。はい」 何処かぬぼーっとした先生が、床に座っている生徒に頭を下げた。「まず、体育ではコアの使用ができますが、それは勝手に使っていいという意味ではありません。はい、教師の監視の下、コアの安全な使い方を模索する。解放が担当教員授業であるのなら、この時間は制御を学びます、はい。制御できない生徒は、はい、授業について行けていない、はい、つまり補習や再試験が必要とみなしますので、はい、その点注意してください、はい」 えらく「はい」の多い先生だな。 これでコアの制御方法を学べるんだろうか。 チラッと横を向くと、同級生たちの顔に浮かんでいる疑問の顔。 みんなおんなじこと考えているんだろうな……。「はい、では、まずは準備体操から……」「ちょっと待てよ」 ああ、また、彼方か。「コア体育はコア能力を使える時間だって聞いたのに、何で制御なんかしなきゃならないんだ」「はい、そう来ると思ってました」 ぬぼーっとした、お風呂に入ったカピパラさんを連想させる顔で、先生は続けた。「はい、ただコア能力を全力発動させるだけなら、誰にでもできます。はい。そんな誰にでもできることは
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第70話・コア戦闘で勝てたなら

 それは知ってる。 大量の水を操ろうとして暴走させて自分ごと川に流された、というのはもちろんあるし、身体を固くさせる能力が何処までできるかを試してみたくて走行中の車に向かって行って自分も相手も大怪我したとか、炎を操り切れなくて自分ごと家を焼いたとか。「そんな授業が必要ないと思うなら、はい、そうですね」 長田先生は言った。「私とコア戦闘で勝てたなら、はい、体育の授業免除、ということでどうでしょう、はい」 コア戦闘?! 体育の授業免除?! 彼方はニヤリとした顔で立ち上がった。 彼方……それは、無茶だよ。 先生相手にコア戦闘って……無茶だ。 昨日三年生の先輩のコア戦闘を見たから分かる。この学園でコアの使い方を覚えた生徒の強さを。 ましてやそれを指導する先生なんて! ……と思うんだけど。どうも緊張感のない顔だなあ……。  先生は僕たちを壁際に下がらせて、体育館の中央に立った。 彼方と向かい合う。「そうですね、はい、あの時計で、十時ぴったりに戦闘開始、はい。それで、どうですか?」「望むところだ」 同級生はみんな不安そうな顔をしている。「ね。ね」 渡良瀬さんが声をかけてきた。ああ、体操服姿も似合う……。「どっちが勝つと思う?」「コアの使い方は先生の方が上だろうね」 渡良瀬さんに視線が行くのをごまかすために好戦的ワクワクしている彼方の顔を見ながら、僕は答える。「先生のコントロール技術が、彼方のパワーを上回るかどうかじゃないかな」 その間に、体育館の時計の長針が動いた。 十時!「行くぞ覚悟しろおおおっ!」 彼方はいきなり空気斬を繰り出した。 強い! 
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第71話・圧倒的

「はい、攻撃が荒いですね。ただ強力な技をぶつけるだけなら、はい、コアに目覚めたばかりでもできます、はい。ですが、絞り込まなければ、防ぐ必要は、はい、ありませんね」「なら……」 彼方が吠えた。「俺の空気膜を越えてみろよ! ただ動かないだけじゃ勝てないんだぞ!」「はい、そうですね」 先生は答えた。「では、攻撃に移るとしましょう」 先生はゆっくりと彼方の方向に歩き出す。 彼方は空気の厚い膜の中、先生に噛みつきたそうな顔で睨んでいるのに、のんびり歩いて、空気膜のすぐ傍で立ち止まった。「はい、では、行きます」 先生はゆっくりと右手を前に出して。 指を軽く弾いた。 その瞬間、弾いてできた空気の弾が、彼方の空気膜を、真っ直ぐに貫いた!  ぱしぃぃぃぃぃん! 空気の弾……彼方の空気弾より凝縮された空気が、弾となって、彼方の頬をかすめ、背後のバリアも突き破って、消える。 彼方は弾がかすめた頬からにじんだ血に気付く様子もなく、呆然と立っていた。「分かりましたか、はい」 ぬぼーっとした顔のまま、先生は言った。「例えどんなに強力な力を持っていたとしても、絞り込めなければ無駄な力を使うだけです、はい。例えどんなに強力な結界と言えど、絞り込まれた空気の弾に対応するだけの制御が出来なければ、貫かれます、はい」「くっそ、同系統のコア能力なのかよ!」「いいえ、違います、はい」 先生はのんびりと言った。「私のコア能力は、肉体強化です」 え。 彼方もまた呆然とした顔で先生を見ている。「私の、硬度を強化した肉体に、君の空気は効きませんでした、はい。私の、高速で弾いた空気の粒に、君の空気は効きませんでした、はい」 彼方を完膚なきまでに負かした先生は、のんびりと言った
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第72話・空に向かい

 体育の授業が終わって、座学が始まっても、彼方は戻ってこなかった。「彼方壮ー。彼方壮はどこだー?」「知りませーん」 同級生はニヤニヤ笑いながら返事する。 自分が一番強いんだ、他の連中は弱いんだ、と見下した態度を取り、一年生の一番のような顔をしていた彼方の圧倒的敗北は、見ていた同級生にはスカッとするものがあったらしい。 正直、僕もスカッとした。「仕方ないな。和多利先生に連絡を」 先生は虚空を見上げてそう告げた。先生にもコア監視員はついているらしい。 それきり、彼方のことが話題に上ることはなく、授業が終わる。 彼方は戻ってこなかった。  休み時間が始まってすぐ、一人の熟年世代の男の先生が教室にやって来た。 先生は教室へ入ってくるなり僕と、隣の渡良瀬さんを見て手招きする。 僕と渡良瀬さんは一瞬顔を見合わせて、手で「どっち?」と聞いた。 先生は手で「両方」と返す。 風紀委員の出番なのかな。でもそれだったらココが反応を示すはずだし。 とりあえず僕らは先生の所に向かう。 その途中で思い出した。 あれは和多利和豊先生。生徒指導でコア車道移動免許教官で陸上部顧問で、彼方の担当教員。 小走りで行った僕らに、先生はこっち、と手で示して、生徒がいない場所に行った。「貴重な休み時間中に済まないが、力を貸してもらいたい」 厳格そうで、八雲委員長とは違った意味で背筋の伸びる先生は、小声で言った。「彼方のことですか」 先生は頷いて話し出す。 先生は彼方の担当教員なので、当然彼方の居場所は把握していて、彼方は授業をサボって屋上で荒れ狂っているという。「え? コア監視員からの出動要請はありませんでしたよ?」「コア能力を使うこと自体は校則違反ではない。それを他人や備品、建物に向ければ違反になるが、空中に向かって放っている場合は違反とは見なされない」
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第73話・八つ当たり

「そして、勉強でも運動でも喧嘩でも、彼を負かす者はそれまで現れなかった。教師であっても、だ。だから勘違いしたんだ。自分は誰より強い、誰より偉い、とな」「で、長田先生に鼻っ柱を折られて八つ当たりしてるってわけですか」「ああ」 和多利先生は渋い顔をした。「彼はまだ気づいていない。長田先生の外見で油断したこと、今の自分のすぐ傍に、自分と同等あるいはそれ以上に強いものが大勢いること、自分の望む扱いをされたければ努力しなければならないこと。それに気付かない限りはお山の大将のままだ」 僕は長田先生の言葉を思い出していた。(井の中の蛙大海を知らずと言います、はい。大海を知った蛙がどうするか。はい、彼方くんは井の中に戻っていく人間ではないと思っていますので、はい)「で、僕らに何をしろと」「もう一回、鼻っ柱をへし折ってやってほしい。君たちの手で」 和多利先生は真剣な顔で言った。「え? でもそれって、彼方くん余計傷付きません?」 渡良瀬さんのもっともな意見に、和多利先生は首を横に振った。「彼は、君たち二人が風紀委員に選ばれたのは、金かコネだと思っている。つまり、自分より強い者がいると気付いた今になっても同級生の実力を認めていない。まだ同級生の中では一番だと思う前に、彼の鼻っ柱をもう一回負って、自分と同年代でも強い者がいるのだと思い知らせてやってほしい」「でも……ものまねオウムと鎮静化に負けても、彼方は認めないんじゃ……」「まだ、君は彼方に勝ったわけではないからな」 先生の声に気付いた。あの三次試験。僕は吹っ飛ばされて自力で地上に戻れない状態にされた。勝負には負けている。そして、渡良瀬さんも、別の誰かに負けたと言っていた。「特別扱いされている君たちが彼方に勝てば、さすがの彼も思い知らざるを得まい。自分より強い人間はすぐ傍にいて、追い抜きたければ努力するしかないのだと。コア戦闘許可は私が出す。どうか、やってほしい」「でも僕ら、コア戦闘は」「丸岡君
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第74話・敗北

「くそっくそっくそっ」 彼方は、空に向かって刃を連打していた。「なんであんなヤツに……なんであんな、ぼーっとした顔の教師なんかに……なんであんな」「彼方!」 僕の声に、彼方は鬼の形相で振り向いた。 和多利先生と渡良瀬さんは今は隠れている。僕一人しか見ていないはずだ。「あ~? 金かコネで風紀委員の座を勝ち取った落ちこぼれが、偉そうに俺を呼ぶな!」「金かコネで入学したのは、君の方じゃないの?」「ぁあ?」 出会った時は自信家ではあったけれどもそこまで荒んではいなかった彼方は、今はそこらの不良でもしないような表情で僕を見る。 怒ってる。でもいい。怒らせなきゃいけないんだ。「風紀委員への反抗、教師とのコア戦闘……退学にはならなくても停学くらいはつくはずだ。なのに今、ここにいるのは、君が金かコネで教師を黙らせてるんじゃないのか?」「もう一度言ってみろ……」 その低い声に、陰キャラだった僕の足が震えそうになる。 それほど彼方の声はすさまじかった。「もう一度言ってみろ!」「何度だって言ってやる! 努力もしないで偉そうにするのはやめてくれ! この学校に入学した君以外の生徒は、血のにじむような努力をして入学して、必死の思いで勉強してるんだ! 君みたいに他人を見下すことしか知らないで少しの努力もしない人間が、この学校にいること自体間違いだ!」「ケンカ……売ってんのかよ」「ケンカじゃない」 僕は、震えそうになる体を必死で押さえて、言った。「事実だ」「いい度胸だこの野郎!」 先制攻撃は、僕だった。 喋っている間に、彼のコアをコピーする。 そして、彼が攻撃する前に一撃をぶつける。 力を全解放するのは僕には無理だ。だけど、絞り込むなら。 彼方が
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第75話・勝利

 今だ! 渡良瀬さん! 拳を握って走ってきた彼方に、それまで屋上入り口で身を潜めていた渡良瀬さんが、光を放つ。 光にぶつかった彼方は、その勢いのまま倒れ込む。 そこへ、和多利先生がやって来た。「済まなかったな、君たち」 大柄な彼方を軽々と持ち上げて、和多利先生は頭を下げる。「君は自分の力を制御できる自分に負けた、か。この言葉は彼の胸に突き刺さっただろう。自分以上の力を持ちえないはずのコピーに負けたとは、つまりそう言うことだ。この意味を知れば、彼も改めざるを得ないだろう。もしこれでまだ納得いかないようだったら、退学も考えなければならないだろうが」 肩で息をする僕と渡良瀬さんに一礼して、和多利先生は彼方を抱えて階段を降りて行った。 そこで、僕の足の震えが本格化して、僕はへたり込んだ。「丸岡くん!」「……あ~怖かった……」「あれだけ堂々と話し進めてたのに?」「僕は彼方の言った通り地味な陰キャラなんだよ。彼方みたいなヤツは一番怖い。そんな相手を怒らせて勝て、なんて、無茶なんだよ」「まあまあ」 渡良瀬さんは笑って、僕を鎮静化させてくれた。「怪我もしてないみたいだし、合同教室に戻ろう? 和多利先生が中抜け許可出してくれたけど、途中からでも受けといたほうがいいし」「そうだね」「それとね」 渡良瀬さんは、笑った。「カッコよかったよ、丸岡くん」 僕は頬に血が上るのを感じた。
last update最終更新日 : 2025-11-22
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第76話・男子寮にて

 男子寮。 担当授業も終わり、廊下の見回り以外には風紀委員としてやることもなく、平和な一日だ……いや、平和じゃない。 和多利先生の依頼で彼方とバトルしたんだった。 ちなみに和多利先生もその様子を録画していて、理由を聞くと「君を借りるのと引き換えに戦闘画面を撮れと頼まれた」と言ったので、御影先生に間違いないと納得したんだったっけ。 案の定、担当教室に入った時御影先生はその動画をメモりながら見ていたし。色々質問もされたんだっけ。「空気をどうやって凝縮したのか」とか「勝ち目はあったと判断したのか」とか。 そこを例のチャイムに止められて、反省会も終わって、渡良瀬さんに手を振って、寮に戻る。 食堂で食事をしてから、何となく一人でお風呂入りたくて自分の部屋のお風呂に入って、何となく眠たくなってきた頃。 相変わらず僕の傍にいるココがちかちかと光った。「何かあるの?」 そう言う光り方をするのは他のコア監視員からの連絡が入った時だってココは前に言ってたから、僕はあくびを噛み殺しながら聞いた。「鍵かけてー、カーテンを閉めていないふりをするかー、真正面から出るかー、どっちを選びますー?」「は?」「彼方壮がー、こちらへ向かっていますー」 眠気が一発で吹っ飛んだ。「彼方のコア監視員からの連絡?」「はいー。理由も言わず忠告も聞かず、この部屋へ向かっているそうですよー。もちろんー、風紀委員は寮の風紀も担当しますからー、何かされたら罰則を出せばいいんですけどー」「休み時間の復讐かな」「私には分かりかねますー」 ココは本当に困った顔で首を傾げた。「何せー、チェンジにも脳波状態とかコア周波数とかが分かりかねるほどの反応らしくてー」 ふと、長田先生の言葉が頭を過ぎった。(彼方くんは井の中に戻っていく人間ではないと思っていますので) 和多利先生の言葉も明確に甦った。(君は自分の力を制御できる自分に負けた、か。この言葉は彼の胸に突き刺さった
last update最終更新日 : 2025-11-24
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第77話・訪問者

  どんどんどん! 激しいノック音が響いた。 これで、相手が見えない状況でもコアコピーができるかの実験は不要になったな。 そんなことを思いながら、ドアを開ける。 そこには、僕を睨みつける、彼方の姿があった。 「で。何の用?」 緊張して手からにじむ汗をシャツで拭って、僕は聞いた。 だけど彼方は何にも言わない。 僕の方は彼方の先制攻撃を予想してコアをコピー済みなのに、彼方はコアを発動させる様子もない。 ずかずか入って来て、リビングの真ん中にどっかと座った。「聞きたいことがある」 低い、低い声。興奮を無理やりねじ伏せているような。「何」「貴様は俺の技で俺を倒した。そうだな」「そうだけど」「俺と同じ力を使った、そうだな」「そうだけど……」「なら聞く。どうして俺と同じ力なのに、俺の空気膜は貴様の空気弾に破られた、どうして俺の空気圧殺は貴様の空気膜を破れなかった。貴様には俺の力をブーストする能力でもあるのか」「ないよ、そんな力」 僕は彼方と向き合って座った。「少なくとも、今の僕にはね。先生はブーストすることも視野に入れて研究するつもりらしいけど」「なら、何故俺は負けた!」 彼方が叫ぶ。(三年の風紀委員を呼びましょうか?) ココが聞いてくるのを片手で止めて、僕は答えた。「最初の僕の攻撃は、空気弾じゃない。君の空気圧殺を凝縮したものだ」 「な、に……?」「君が塊としてぶつけてくる空気を、小さくして小さくしてぶつけただけ。威力は空気圧殺と同じ。ただ、広範囲に溢れている空気のエネルギーを小さく一点に絞った。君の技との違いはそこだけ」「…………」
last update最終更新日 : 2025-11-24
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第78話・彼方壮と言う人間

「どうすれば、いい?」「え?」 いつの間にか、彼方は僕を見上げていた。「どうしたら力を絞り込めるようになれる? あのカピパラ教師にも、貴様にも勝てるくらいになるには、どうすればいい?」「カピ……」 カピパラ教師はないだろうと思ったけど、僕も長田先生のことはカピパラに似ていると思っていたので無理やり喉の奥に引っ込める。「長田先生に勝てるかどうかは分からない。でも、僕には簡単に勝てるようになると思う」「本当か」「うん」 僕は彼方にコア能力をコピーすることを了解してもらって、空気圧殺の空気を生み出した。「このまま相手にぶつけても、大きすぎて、無駄な力が散ってるよね」 彼方に軽く押し付ける。かなり大きな空気の圧力は、大きい分人間一人を圧し潰すには足りなかった。「これを小さく、小さく絞る」 空気の圧迫感が小さくなる様子をイメージして、空気を練る。ゆっくり、ゆっくりと空気の圧は小さくなり、そして一カ所当たりの圧力は大きくなった。「これで、半分の大きさ。でも、威力は単純に倍になる」「……それだけ、なのか?」 彼方は呆然と僕を見上げた。「俺は大きくすればいいと思ってた……でも、違うのか?」「君の空気弾は相手を牽制するために作ったんだろうけど、小さな空気の塊じゃなくて、大きな空気をあの大きさにまで縮めた塊だったらとんでもない威力を発揮するよ」「小さく、小さく……」 彼方は目を見開いて、自分の掌に目を落としていた。「あと、先輩や先生にケンカは売らない方がいいと思う。僕たちより一年以上先を行ってる先輩や先生は、力を絞り込むことや瞬間的に爆発させることを知ってる。僕らみたいなコアが宿って一年足らずの人間には到底勝てる相手じゃない」「勝つには、どうすればいいんだ」「学ぶしかないよ」 それだけは即答できた。「授業とかでコアの使い方を学んで、それを自分の
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