翌日は土曜日。休日だ。 しかし、学校を出るのは外出届を出さなければならないので結構めんどい。 生徒は、この学校にとって、必要な人材なのだと言ったのは御影先生だった。 コア研究の研究対象であり、どちらに向かって伸びるのか分からない才能であり、できれば二十四時間監視したいのをコア監視員をつけることによって我慢しているのだとか。 ……目を血走らせた研究員よりは確かに数千倍はマシだと思った。 ココは僕を監視してることになるけど、そんな様子はチラとも見せない。渡良瀬さんと同じニコニコ笑顔で学校の中を案内したり、肉体や精神の状態をチェックして異常があればコア医やサポーターを紹介したり、と役に立ってくれてる。 これであのおせっかいとお喋りがなきゃいいんだけど。 そして今、僕が案内されて向かっているのが、グラウンドだ。「ランニング、始めーっ」 体操服姿の男女が、グラウンドをぐるぐると回っている。 その中に、ひときわ背の高い人を見つけて手を挙げた。「先輩ーっ! は・つ・せ・ん・ぱーい!」「おう」 結構な距離を走っているだろうにほとんど息を切らせず、一先輩は僕を見つけてランニングを中断して走ってきた。「どうしたんだ、一体。見学にでも来たのか?」「ちょっと、先輩に相談したいことがありまして」「俺に? 言っておくが、風紀委員のことなら百の方が」「風紀委員のことじゃありません」「じゃあなんだ? 俺が一年生に教えられることなんて、ほとんどないぞ?」 と言いながらも妹同様世話を焼くのが好きな一先輩は、僕を見下ろした。「本当は御影先生に聞こうと思ったけど、なんか話がややこしくなりそうで。それで僕の知っている人の中でも多分先輩が教えてくれそうだと思って」 僕は、覚悟を決めて、口にした。「体を鍛えるのって、どうすればいいですか?」 一先輩は一瞬目を丸くした。「確かに俺の得意分野ではあるが……どうしていきなり」
Last Updated : 2025-11-24 Read more