「違うわ。あんたも見たでしょう。今日のこの場に、あんたが現れるのはふさわしくないわ」望美は表面上、治をあしらおうとした。しかし、治はそんな言葉に耳を貸そうともしなかった。その視線は望美の白い首筋に釘付けになり、暗い瞳の奥には抑えきれない情欲が渦巻いていた。治は手を伸ばして白く柔らかな首筋を撫で、指先で肌の上をゆっくりと、少しずつ滑らせていく。望美は抵抗できなかった。この男に逆らえばどんな目に遭うか、痛いほど分かっていたからだ。思わず息を呑むその瞳の奥には、治に対する恐怖が潜んでいる。「主導権が、お前にあるとでも思っているのか?」治の声は極限まで掠れていた。その言葉を聞いて、望美は瞬時に抵抗を諦めた。瞳から光が消え、絶望の色に染まる。治の言う通りだった。自分は元々、この男に操られるだけの存在なのだ。主導権など、最初からあるはずもなかった。望美は下唇を強く噛みしめ、拒絶の言葉を飲み込んだ。――いいわ、少し我慢するだけ。無事に結婚さえできれば、後で必ずこの男から逃れる機会を見つけられる。完全に抵抗を諦めた望美の赤い唇から、承諾の言葉が漏れる。「優しくして。あまり大きな音を立てないでね」紬の相手をさせる人間を探すため、メイクアップアーティストたちを追い払っていなければ、控え室でこんなことを受け入れるはずなどなかった。治は喉の奥で低く笑うと、望美の白い首筋を優しく摩った。「どうした、嫌なのか?お前の結婚式で、新郎の従弟とヤるなんて、すごく刺激的だと思わないか?」治は望美の耳元に顔を寄せ、吐息混じりに囁く。二人の体は隙間なく密着していた。望美の心は本来、拒絶で満たされていた。しかし治にそう言われると、心の奥底でわずかに情欲が刺激されるのを感じる。「メイク室の中へ行って」望美はただそれだけを口にした。「ふん」治の陰鬱な顔に、ようやく微かな笑みが浮かんだ。身を屈め、望美の赤い唇に口づけを落とす。「素直な子は好きだ」そう言い終わるや否や、望美は小さな悲鳴を上げた。治に横抱きにされたのだ。治は長い脚を踏み出し、メイク室へと向かう。やがて、中からは想像を掻き立てるようなあられもない声が漏れ聞こえてきた。凛花が片隅から姿を現した。その顔は怒りで青ざめている
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