紬はその動画を最後まで見ることすらできなかった。理玖は紬の張り裂けそうな気持ちを痛いほど理解していたが、それでも低い声で彼女を引き止めた。「君の気持ちは分かるよ、紬。でも、今は取り乱しちゃ駄目だ。それでは敵の思う壺じゃないか。心配しなくていい、俺も一緒に行こう」だが、紬はきっぱりと首を横に振った。「駄目よ、あなたは一緒に来ちゃ駄目」理玖も即座にキッパリと否定した。「駄目だ!君を一人で危険な目に遭わせるのを、ただ黙って見ているなんてできない。俺には無理だ」紬は理玖を宥めるように、彼に向かって静かに首を横に振った。それからスマホを取り出し、素早い指使いで理玖にメッセージを送った。【あなたの言いたいことは分かるわ。でも、今の私たちの行動は全部監視されているの。もしあなたが一緒に来たら、望美が何をしでかすか分からない。それに、あなたがここに残ってくれれば、他の人の気を引いて、警戒を解かせることができるわ。賭けには出られない。あの子たちはまだあんなに小さいのよ。だから、佐々木さんにこっそり私をつけてもらうように指示して。そうすれば、あなたも少しは安心できるでしょ】メッセージを送信し終えると、紬は理玖にスマホを見るように目配せした。紬だって馬鹿ではない。自ら進んで危険に身を晒すような真似はしない。どんな時であれ、自分自身の安全こそが最優先なのだ。自分が倒れれば、子供たちを助けることなどできないのだから。手元のメッセージを確認した理玖は、小さく息を吐き、紬に向かって頷いた。その提案は、確かに現状で最も妥当な折衷案だった。何しろ、この会場内において、神谷グループのトップである彼はあまりにも目立ちすぎるのだ。紬は理玖に向かって、周囲に聞こえるように言った。「それじゃあ、私一人で行くわね。ついて来ちゃ駄目よ、安心して」理玖の灰色の瞳には、重苦しい色が満ちていた。それでも、彼は紬の意志を尊重することを選んだ。スマホを操作し、佐々木文人にメッセージを送る。決してミスがないよう、紬をしっかり尾行しろと厳命した。少し離れた場所に控えていた文人からも、即座に【問題ありません】と力強い返信があった。紬が言葉を交わし終えて間もなく、一人のスタッフが歩み寄ってきて声をかけた。「綾瀬様、お着替えの部屋へご
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