「じゃあ、ご連絡お待ちしています」 エレベーターの前で、颯斗は見送りに立つ人事担当者に深く一礼し、そう告げた。 扉が閉まった途端、彼は長く息を吐き、背中をエレベーターの壁に預けながら、喉元を締めつける窮屈なネクタイをぐいと緩めた。 今日最後の一社との面接を終えたというのに、思っていたような解放感はまるでなかった。 この一週間、彼は毎日のように就職活動に奔走し、人事担当者たちの退屈そうでいて礼儀正しい笑顔を相手に、判で押したような言葉を機械的に繰り返してきた。 貯金は目に見えて減っていくというのに、受信箱は静まり返ったまま。面接の結果どころか、送った履歴書すら音沙汰なしが当たり前になっていた。 オフィスビルを出ると、ちょうど夕焼けが最も美しく空を染める頃だった。 颯斗はコンビニに入り、ミネラルウォーターと肉まん、そしてフランクフルトを一本買った。 毎日のように翼に出前を頼むのも気が引ける。今夜の晩飯は、これで済ませるつもりだった。 会計を終えて外に出た瞬間、スマートフォンが震えた。 取り出して画面を見ると、見覚えのない番号だ。何だろうと首を傾げながら通話ボタンを押すと、受話口から優しい女性の声が響いた。 「もしもし?……はい、そうです。先日、御社の面接に伺った……あ、そうなんですか……はい、わかりました……ご丁寧にありがとうございます」 通話を終えた途端、颯斗はまた小さくため息をついた。 案の定、お祈りメールならぬ“お祈り電話”だった。 とはいえ、今回
Terakhir Diperbarui : 2025-12-10 Baca selengkapnya