楽しかったはずの家族のお出かけは、花子の姿を見たことで完全に台無しになってしまった。さらに信じられないことに、あの女は絵理奈を知らないふりまでしたのだ!絵理奈は怒りで狂いそうだった。あまつさえ、瑛司の取引先の前で恥をかかされたのだから。しかしその一方で、あの女が間違いなく花子本人であるという確信も深まっていた。「私のことを知らないふりをするなんて、よくもあんな真似ができたわね!」寝室に入るなり、絵理奈は怒りに任せてバッグをソファに放り投げた。「自分を何様だと思っているの!?」「あの性悪女、大嘘つき!」絵理奈はベッドの端に座り込み、肩を怒らせた。後から入ってきた瑛司は、そんな絵理奈の様子を見てそばに歩み寄る。「絵理……」絵理奈は何も言わず、ただ冷ややかな視線を彼に向けた。明らかに腹を立てている。ショッピングモールで花子の正体を暴こうとした時、瑛司が味方をしてくれなかったことを責めているのだ。「あなた、本当は全部知っていたんでしょう?彼女が今どんな身分で、あなたの取引先の妻になっていることまで、最初から知っていたんじゃないの?」絵理奈は顔を上げて瑛司を問い詰めた。瑛司はあっさりと頷いた。「ああ。数日前に知った。俺もあいつと話したが、お前と同じように激しい怒りを感じている」「だったら——」「今は軽率に動くわけにはいかないんだ、絵理……今、あいつの後ろ盾になっている男は、ただ者じゃないじゃない」瑛司は絵理奈の隣に座り、その手を握った。その言葉を聞き、絵理奈の顔から怒りがすーっと引き、代わりに深い落胆と悲しみが広がっていった。せっかくあの忌々しい女に一泡吹かせてやれると思ったのに。瑛司は絵理奈の肩を抱き寄せ、優しく包み込んだ。「絵理、あの男のせいで、俺の会社は今、倒産の危機に瀕しているんだ。慎重に行動しなければならない。もし可能なら、俺だって今すぐあいつらを引き裂いてやりたいくらいなんだぞ」瑛司の偽らざる本音を聞き、絵理奈はようやく合点がいった。彼女は頷き、瑛司の腕にすがりついた。「ごめんなさい、私ったら感情的になってしまって……」絵理奈は彼の胸に顔を埋めた。「ただ、すごく腹が立ったのよ。あいつが平然と私たちのことを知らないふりをするなんて、思いもしなかったから」「もういい、さ
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