All Chapters of あなた、この結婚を終わらせましょう: Chapter 331 - Chapter 333

333 Chapters

第331話

朝目覚めて、隣に翔の姿がないのは花子にとって珍しいことだった。彼女は急いで一階へ駆け下りた。そこに広がっていたのは見慣れない光景で、翔が淳と一緒にリビングに座っていた。「翔」花子は挨拶しながら二人に歩み寄った。振り返った翔は、黙ってソファのクッションを抱え込み、淳に背中をもたせかけた。「僕、淳おじさんとここにいる!」翔は不機嫌そうに口を尖らせた。花子は疑わしげな表情で淳をじっと見つめた。「私の子供に変なこと吹き込んでないでしょうね、淳?」「俺が何を話したか、自分の子供に聞いてみろよ。お前がこんな時間まで起きないから、翔は退屈で死にそうだったんだぞ!」淳は花子の方には見向きもせず、テレビを見つめたまま答えた。花子はそれ以上言い返すことなく、翔に近づいて手を伸ばし、彼の頭のてっぺんを優しく撫でた。「さあ、シャワーを浴びましょう。その後でママが朝ごはんを作ってあげるわ」「外で朝ごはん食べたいな、いい?」翔がねだる。「もちろんいいわよ。翔が行きたいところへ、朝ごはんを買いに行きましょう」花子は甘い笑顔を向けて答え、翔はそれに従って花子と共に二階へ上がった。一方の淳は、二階から自分を鋭く睨みつける花子を黙って見上げた。その様子に淳は思わず笑いそうになり、あの女が何を考えているのか全く理解できなかった。花子の奴、本当にあのガキに情が湧いてきやがったな。今じゃ俺を敵みたいに見やがる。だが、瑛司からあのガキをさらってきたってのに、俺だけ損するつもりはねえ!あの金は俺がいただく!淳は狡猾な笑みを浮かべ、再びスマホを手に取った。彼は瑛司に要求額を記したメッセージを送り終えると、瑛司やその部下たちに自分の現在地を追跡されないよう、電源を切ることにした。淳は、ここはできる限り狡猾に立ち回らなければならないと自覚していた。花子を裏切り、瑛司から大金をせしめてたっぷり儲けてやるのだ!一方、二階に上がった花子は、翔が今日のように活発な姿を見せるのが珍しく、不思議に思っていた。この子はもう昨日までのように変なことを言ったり、癇癪を起こしたりもしなくなっていた。花子は疑念を抱いた。自分が寝ている間に、淳は翔に何を話したのだろうか?「朝ごはんに何が食べたい?」花子は翔の髪を梳かしながら尋ねた。「サンドイッチ。そ
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第332話

絵理奈と瑛司がM市に到着してから、すでに数時間が経過していた。拉致実行犯は今朝、瑛司に要求額を記したメッセージを送ってきた後、再び姿をくらまし、追跡できなくなっていた。寒さが厳しく、拉致実行犯がいつ会うつもりなのかも不透明だったため、二人は一時的な滞在先を探すことにした。「奴からまた連絡はあったか?」瑛司はソファに座る城田に近づいて尋ねた。「まだありません、社長。ですが、奴は嘘をついてはいないようです。あの番号を追跡した結果、奴がM市にいることが確認できました」城田は瑛司を見上げて報告した。「あいつがまた連絡してくるまで、辛抱するしかないのかもしれないわね」絵理奈は自分自身を落ち着かせようと努めながら言った。瑛司は妻を見て薄く微笑んだ。「俺たちは必ず翔に会える、信じてくれ……」絵理奈は小さく頷いた。彼女はガラス張りの壁から外を眺めた。街は活気に満ち、華やいでいた。翔は賑やかな場所や美しい景色が大好きだ。それなのに、今のあの子はきっとひどく混乱し、怯えているのだろう。「私たちはもう同じ街にいるのよ、翔。早くあなたをもう一度抱きしめたいわ」絵理奈は小さく呟き、微笑んだ。「お願い、無事でいて……」絵理奈と瑛司は何時間も待たされた。夕方になっても、依然として何の知らせもなかった。しかし瑛司は軽率な行動には出ず、辛抱強く待ち続けた。絵理奈も宿のテラスに出ては、また中に戻って瑛司の隣に座った。待つ時間が、ひどく長く感じられた。やがて、ついに瑛司の携帯電話が再び鳴り響いた。ソファに寄りかかっていた瑛司は素早く身を起こした。「社長……」「奴からだ」瑛司は目を大きく見開いた。彼はすぐにその電話に応答した。「もしもし?」「やあ社長、金の準備はできているか?」電話の向こうの男が尋ねてきた。「今どこにいるのか、早く言え!」瑛司は顎を強張らせて怒鳴った。「いいだろう。金を持ってこい、そして忘れるな……警察は連れてくるなよ、さもないと後悔することになるぞ!」男はそう言い放つと高笑いした。瑛司が答える間もなく、電話は一方的に切られた。これには瑛司も低く悪態をついた。「すぐに出るぞ!部下全員に連絡しろ、城田!必ず計画を成功させろ!」瑛司は命じた。「はっ、社長」瑛司は、自分の手を強
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第333話

花子は翔と淳を残した場所に戻ってきた。翔が欲しがっていた温かいチョコミルクのカップを手にしていたが、息子の姿が見当たらず、彼女はひどく狼狽した。「翔……淳?どこに行ったの?」花子は左右を見回した。彼女は周囲を見渡したが、そこは人でごった返しており、淳や翔の姿はどこにもなかった。「私の子供はどこへ行ったの?!」花子は苛立たしげに顔をこすった。彼女は買ってきたばかりの温かいチョコミルクのカップを落とし、翔を探して走り回った。「翔……!どこにいるの?!」花子は必死に叫びながら探し回った。人々は、パニックに陥っている花子を奇異の目で見た。彼女の心は不安と恐怖でいっぱいで、子供に何かあったのではないかと心配でたまらなかった。突然、花子の足が止まった。彼女は淳のこと、そして彼が以前から主張していたことを思い出した。淳は当初の計画通り、翔を瑛司から金を引き出すための道具にすることに固執していたのだ。まさか淳が、翔を瑛司のところに連れて行ったの?そんなはずない……やめて!私の子供を返さないで!花子は突然すすり泣き、大声で泣き出した。淳……絶対に殺してやる!花子はその場から走り出し、遊園地の警備員に近づいた。「あの、すみません……」「はい、奥様?何かお困りですか?」中年の警備員は、困惑している花子を見て尋ねた。「紺色の厚手のジャケットを着た男が、小さな男の子を連れているのを見ませんでしたか?赤いセーターに茶色のジャケットを着て、赤いニット帽をかぶって、赤い手袋をして……私の子なんです……誰かが私の子を連れ去ったんです!」花子は震えながら泣き叫んだ。「ああ、その人ならついさっきここを走って通り過ぎていきましたよ、奥様。あちらのメインストリートをまっすぐ行って、二つ目の角を曲がりました。少し様子がおかしかったので、よく覚えています」警備員は言った。それを聞いた花子は愕然とした。「分かりました、ありがとうございます……」「どういたしまして」花子はすぐにその場を離れ、淳と翔を追いかけて走り出した。彼女は走りながら涙を流し、翔を失った深い悲しみに苛まれていた。翔、ママはまだあなたを抱きしめ足りないのよ……まだあなたと離れる心の準備なんてできていないのに、翔……花子は声を殺して泣い
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