朝目覚めて、隣に翔の姿がないのは花子にとって珍しいことだった。彼女は急いで一階へ駆け下りた。そこに広がっていたのは見慣れない光景で、翔が淳と一緒にリビングに座っていた。「翔」花子は挨拶しながら二人に歩み寄った。振り返った翔は、黙ってソファのクッションを抱え込み、淳に背中をもたせかけた。「僕、淳おじさんとここにいる!」翔は不機嫌そうに口を尖らせた。花子は疑わしげな表情で淳をじっと見つめた。「私の子供に変なこと吹き込んでないでしょうね、淳?」「俺が何を話したか、自分の子供に聞いてみろよ。お前がこんな時間まで起きないから、翔は退屈で死にそうだったんだぞ!」淳は花子の方には見向きもせず、テレビを見つめたまま答えた。花子はそれ以上言い返すことなく、翔に近づいて手を伸ばし、彼の頭のてっぺんを優しく撫でた。「さあ、シャワーを浴びましょう。その後でママが朝ごはんを作ってあげるわ」「外で朝ごはん食べたいな、いい?」翔がねだる。「もちろんいいわよ。翔が行きたいところへ、朝ごはんを買いに行きましょう」花子は甘い笑顔を向けて答え、翔はそれに従って花子と共に二階へ上がった。一方の淳は、二階から自分を鋭く睨みつける花子を黙って見上げた。その様子に淳は思わず笑いそうになり、あの女が何を考えているのか全く理解できなかった。花子の奴、本当にあのガキに情が湧いてきやがったな。今じゃ俺を敵みたいに見やがる。だが、瑛司からあのガキをさらってきたってのに、俺だけ損するつもりはねえ!あの金は俺がいただく!淳は狡猾な笑みを浮かべ、再びスマホを手に取った。彼は瑛司に要求額を記したメッセージを送り終えると、瑛司やその部下たちに自分の現在地を追跡されないよう、電源を切ることにした。淳は、ここはできる限り狡猾に立ち回らなければならないと自覚していた。花子を裏切り、瑛司から大金をせしめてたっぷり儲けてやるのだ!一方、二階に上がった花子は、翔が今日のように活発な姿を見せるのが珍しく、不思議に思っていた。この子はもう昨日までのように変なことを言ったり、癇癪を起こしたりもしなくなっていた。花子は疑念を抱いた。自分が寝ている間に、淳は翔に何を話したのだろうか?「朝ごはんに何が食べたい?」花子は翔の髪を梳かしながら尋ねた。「サンドイッチ。そ
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