藤崎家との繋がりをすべて断ち切る。綺麗な経歴で、政界に足を踏み入れるために。幸之助が陸を凝視した。まるで心の奥底まで見透かそうとしているようだった。「陸、お前は私と取引をする気か?」「はい」陸は迷いなく答えた。「俺が捨てるもののすべてと引き換えに、チャンスをください」「何のチャンスだ?」「五年です」陸が二文字を吐き出した。その目は、焼き入れされた鋼のようだった。「五年時間をください。五年後、俺がまだ立っていられたなら――藤崎家の発言権の半分をいただきます」懇願ではない。宣言だった。その野心が、剥き出しのまま幸之助の前に叩きつけられている。政界での権力だけでは飽き足らず、戻ってきて藤崎家の財産の分け前まで取りにくるというのだ。書斎が、静寂に沈んだ。幸之助は陸を見つめていた。全身傷だらけで、それでいて目だけが灼けるように輝く、孤独な狼のような孫を。胸の内は、何とも言い難かった。激怒、懸念、そしてこの途方もない野心に当てられたような悪寒と……ほんの僅かな期待。藤崎グループには、陸のような局面を打ち破る人間が要る。藤崎の家にも、また彼という新たな領土を切り拓く凶刃が必要なのかもしれない。「失せろ」長い沈黙の末、幸之助が疲れた手を振った。その背中が、わずかに丸くなっていた。「手続きは手配してやる。今日自分が口にした言葉を、忘れるな」陸が深く頭を下げた。額が床に打ちつけられ、こめかみの傷口が裂けた。滲み出た血が、絨毯を赤く染める。彼はもう一言も発することなく、身軽に立ち上がり、きびきびと背を向けて書斎のドアを開け、大股で出て行った。その後ろ姿は決然として、振り返ることはなかった。執事の勝也は、廊下の突き当たりでずっと控えていた。陸が出てくるのを見て、その全身から立ち昇る殺気と、こめかみの生々しい血の跡に、胸が跳ねた。慌てて目を伏せ、それ以上直視することはできなかった。足音が階段の向こうに消えてから、ようやくそっと書斎の扉を押し開ける。幸之助は依然として窓際に立ち、物寂しい背中を見せていた。床には、長年連れ添ったあの杖が――真ん中から折れて、転がっていた。勝也は息を殺し、静かに退いた。「陸さんは……」別の使用人が近寄り、おずおずと尋ねた。勝也は首を横に振り、沈痛な面持ちで答えた。「
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