書類は、陸に関する最新の報告書だった。自衛隊で昇進を果たした件だ。成長の速さは目を見張るものがある。幸之助は報告書の写真をじっと見つめた。写真の陸は制服姿で、記章は冷たく硬い光を放ち、目元からはかつての傲慢で奔放な気配が消え、代わりに落ち着きと鋭さが宿っていた。ただ、あの両目だけは、人を見る時に相変わらず野性を帯びていた。まるで飼い慣らされていない狼のように。幸之助は書類を置き、眉間を揉んだ。当初、陸を自衛隊に入らせたのは、心身を鍛えさせるためであり……湊を牽制するためでもあった。湊は実力があり、心も冷たすぎる。思い通りに動かすのは難しい。でも陸は違う。荒々しくはあるが、情に厚い。大事にしているものさえ押さえておけば、言うことを聞かせられる。だが、今となっては……幸之助の目の奥に複雑な色がよぎった。陸の成長は、どうやら自分の予想を超えているようだった。それに、ここ最近のやり取りで見せる陸の態度は……幸之助は前回の電話の内容を思い出した。湊と明乃の結婚について探りを入れるように切り出した時、陸は電話の向こうで長いこと黙り込み、最後にひと言「分かった」とだけ言って、電話を切った。口調は淡々として、感情は何ひとつ読み取れなかった。だが、静かであればあるほど、かえって不安をかき立てられる。幸之助は指で机を叩きながら、思案に耽っていた。明日はもう結婚式だ。陸は……戻ってくるのだろうか?そう考えていた矢先、書斎の扉がノックされた。「入れ」太田が扉を開けて入ってきた。表情がいくぶん硬い。「旦那様、陸様が……お戻りになりました」幸之助の指が止まった。「今どこにいる?」「お仏壇がある方へ行かれました」幸之助は眉をひそめた。お仏壇?陸は何をするつもりだ?……藤崎家のお仏壇には、藤崎家の先祖代々の位牌が祀られ、湊の父・成宗の遺影も供えられていた。陸はその前に立っていた。灯りはつけず、ただ上に置かれた二つの灯明が、ほのかに揺らめいているだけだった。彼は白シャツにジーンズという姿で、髪は短く刈り込まれ、鋭い髪際と硬質な輪郭がはっきりと露わになっている。顔には表情と呼べるものがなく、ただ両目だけが恐ろしいほど沈んでいた。陸は成宗の遺影を長いこと見つ
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