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第378話

مؤلف: 墨香
その頃、明乃はパソコンに向かって、徹が送ってきたばかりの資料に、眉をひそめている。

城東地区の建材供給業者の実態はひどく複雑だった。下請けが何層にも重なり、最終的に行き着くのは海外に登記されたペーパーカンパニー。調査は困難を極めていた。

兼光はオフィスの隅の小さな椅子に静かに座り、古びた金属の水筒を黙々と磨いていた。とんでもない宝物でも扱うかのような、真剣な手つきで。

時おり目を上げ、素早く明乃の方へ視線を走らせてから、またすぐに伏せる。

その時、明乃のスマホが鳴った。湊からだ。

「仕事終わった?」

「下にいる」

時計を見て、もう18時を過ぎていることに初めて気づいた。

「今すぐ降りるわ」

荷物をまとめ、バッグを手に取り、兼光に声をかけた。「私はもう帰るわ。あなたも早く休んでね。戸締まり忘れないで」

彼は無言でうなずいた。

明乃がエレベーターホールに着き、待っている間にこめかみを揉んだ。ずきずきと張っている。

扉が開き、中に入って一階のボタンを押した。

ドアがゆっくりと閉まるその一瞬――廊下の奥を、ぼんやりとした人影がさっと横切ったような気がした。どこか不審な
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    梅はぺっと唾を吐き、顔には隠そうともしない憤りが浮かんでいた。「昔、岳が助けてなかったら、明乃はとっくに酷い目に遭ってたのよ!恩も忘れて、今さらうちの息子をたぶらかそうだなんて!」美優の泣き声がぴたりと止まった。彼女は顔を覆っていた手をゆっくり下ろした。睫毛にはまだ涙が残っている。「……今、何て言ったの?岳が明乃を助けたことがあるの?」梅の目が一瞬揺れた。彼女は、自分がうっかり口を滑らせたと気づいたようだった。だが、目の前で目を真っ赤にしている美優を見ると、岳のことで募っていた不満がまた込み上げてきた。「そうよ!」梅は声を潜め、身を乗り出した。「あれはもうずいぶん前の話だけどね。明乃がある夜、学校の裏路地で何人かのチンピラに目をつけられたの。そこをたまたま岳が通りかかって、追い払ったのよ。詳しいことまでは私も知らないわ。あとで明乃本人から聞いて、私も初めて知ったんだから」梅は唇を尖らせた。「私に言わせれば、あの小娘は疫病神よ。やたら男の目を引く顔してるから、行く先々で厄介事ばっかり起こすんだから。岳も岳で馬鹿だったわ。助けてやったら、今度はあの子のほうがべったりくっついてきたの。あの頃なんて毎日のようにうちに来て、あれこれ持ってきてたわ。岳が相手にしなくても、自分からすり寄ってきてたわ」美優はそれを聞いて目を輝かせ、呼吸まで荒くなった。命の恩人。道理で。だから明乃はあの時、あんなにも必死に尽くしていたのか。岳があんな態度をとっても、彼女が手放そうとしなかったのは。こんな事情があったなんて。「梅おばさん」美優は梅の手を握った。「その日のこと、もう少し詳しく教えて。あの夜……明乃は本当に何もされなかったの?」梅は少し気まずそうな顔をして、美優の手をそっと外した。「さあ、どうだったかしら?明乃が私にそんなこと話すわけないじゃない?でも、考えてみなさいよ。真夜中に、何人もの大男が若い娘を囲んでいたのよ……ろくなことになってないに決まってるわ」彼女は一呼吸置き、さらに声を潜めた。「もし最後までいってなかったとしても、体中触り回されたに違いないわ。育ちのいいお嬢さんが、こんな目に遭って耐えられるわけがないでしょう」美優の心臓が激しく跳ねた。ある考えが、美優の胸の奥で一気に膨れ上がっていく。美優は梅の手を離し、ゆっく

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