湊は片手で遥の腰をしっかりと支えていた。もともと、今日の主役は真理のはずだった。だが、ファンの熱意に押され、遥は少し考えてからカメラの前へと歩み寄った。彼女は完全なすっぴんだったが、顔色はとても良かった。彼女が画面に映った瞬間、多くのファンが彼女がふっくらとしたお腹を庇うようにしていることに気づいた。コメント欄は、一瞬にして埋め尽くされた。【やっぱり!なんで最近『カゼ』先生が表に出ないのかと思ってたけど、妊娠してたんだ!】【どうして妊娠してるのにあんなに綺麗なの?先生は本当に眩しい!】【この顔ですっぴんって、反則すぎでしょ!】遥はライブ配信の中で、今後多数の実店舗をオープンさせる予定だと発表した。「今後の店舗オープンに合わせて、さまざまなイベントも企画しています。今回、先行予約に間に合わなかった皆さんもどうかご安心ください。もし今後、また前回の騒動のように、当社のジュエリーの純度に問題があるというようなデマが流れたとしても、皆さんはお近くの実店舗でいつでも直接鑑定を受けることができます。支えてくださる皆様へ心より感謝申し上げます。『アンサンブル』はこれからも皆様と共に、歩みを重ねていきたいと願っています」配信内でいくつか質問に答えた後、発表会は終了した。「フォルトゥナ」シリーズは、販売開始からわずか二分で全在庫が完売してしまった。真理自身も、信じられないといった様子だった。「私のデザインって、もしかして皆が争奪戦を繰り広げるほど人気になっちゃったの?」紗月が横から突っ込みを入れた。「水を差すようだけど、オンラインの在庫が元々少なかっただけですよ。生産された商品の大半は、金吾堂さんの方に回してますからね」皆が顔を見合わせて笑った。カメラが回っていない状態になって、遥は真理の手をギュッと握りしめた。「あなたが無事に帰ってきてくれただけで十分よ。売上なんて二の次なんだから」真理は真面目な顔をして首を横に振った。「もし本当に売上が二の次なら、私、来期のデザインはお休みして、遊びに行ってもいい?」「それは絶対にダメ」会場内に、ドッと明るい笑い声が響き渡った。遥はずっと立ちっぱなしだったせいで、少し疲労を感じて腰が痛くなってきた。彼女は紗月に視線を向けた。
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