晴の胸の中は、恥じらいでいっぱいだった。これなら、清春もそう簡単には私を捨てられないはずだわ。清春は女性を優しく扱う気など毛頭なかったため、晴はただ痛みに耐えるしかなく、良い思い出など残るはずもなかった。足の震えを隠しながらシャワーに向かう途中、晴の凛に対する憎悪はさらに深まっていた。もし凛のせいでなければ、自分がこんなに落ちぶれることはなかったのだ。清春なんて、以前の自分なら絶対に見向きもしない男だった。彼が今どんなに順調でも、いつか大成する日が来たとしても、ゼロから這い上がってきた成り上がりが、歴史ある名家に勝てるはずがないことくらい、晴にも分かっていた。晴は目を閉じ、バスタオルをきつく握りしめた。目の前のタオルを凛に見立てて、引き裂いてやりたい衝動に駆られた。何もかも、すべては凛のせいだ!……最後の試験が終わり、一月に入った。大学院入試の受験生たちが去った後、図書館はすっかり空いていた。資格試験の勉強を終えた紗月は立ち上がり、椅子を机の下に押し込んだ。図書館を出たところで、正面から歩いてくる清春に偶然出くわした。二人は軽く挨拶を交わした。清春が尋ねた。「紗月さん、試験はもう終わりました?」「はい。教授の雑用も終わったので、これからは会社に戻って馬車馬のように働く社畜生活に戻ります」紗月も他の学生と同じように、長期休みを心待ちにしていた。他の学生にとって休みは体を休めるためのものだが、彼女にとっては学校と会社を往復しなくて済む、フルタイムで仕事に専念できることを意味していた。年明けには、処理しなければならない領収書が山のように溜まっている。清春は笑って言った。「私も試験が終わって、本を取りに戻ってきたところなんです」そこへ、紗月の同じ研究室の先輩が通りかかり、彼女を食事に誘った。「紗月ちゃん、教授が南門の近くの定食屋でご馳走してくれるって!」「やった!今すぐ行きます」清春が言った。「奇遇ですね。うちもあそこで集まるのですよ。一緒に行きましょうよ」帝都大学の近くにある飲食店は数が限られており、学期末の打ち上げで使われる店はだいたい決まっている。帝都大学の南門の定食屋は、冬の鍋料理にぴったりなのだ。先輩は紗月の腕を引き、意味深にウィンクをした。
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