All Chapters of 再会した元カレ上司は、私の愛娘の父親でした: Chapter 971 - Chapter 972

972 Chapters

第971話

朔は手を伸ばし、紗月の腕をぐいと引き寄せた。不意を突かれた紗月は体勢を崩し、そのまま朔の膝の上に倒れ込んだ。朔は紗月の腰に腕を回して抱き留めると、床に広げた荷物へ視線を戻した。「学生の頃にもらった賞状も、まだ結構残ってる」「これも捨てるんですか?」「紗月ちゃんが決めて」学生時代の賞状も、朔にとっては昔の思い出の一つにすぎなかった。わざわざ残しておきたいほどのものでもなかった。清春もまた、朔の過去を形作ってきた大きな存在だった。それだけ長く気にかけてきた相手だからこそ、今回のことは簡単には割り切れず、気持ちを整理するにもまだ時間がかかりそうだった。紗月は手元の賞状に目を落とした。「取っておいたらどうですか?いつか子供ができた時、パパは昔こんなにすごかったんだぞって自慢できますよ」「ママだって負けてないだろ」紗月は振り返った。「……ママって誰ですか?」「今、俺の膝に座ってる人」朔はさらりと言った。「俺は、そのつもりだけど」そんなことを何でもないように言われて、紗月はますます落ち着かなくなった。まだ気持ちが沈んでいるせいか、朔の声はいつもより低かった。話すたびに吐息が耳元をかすめ、紗月はくすぐったさに思わず肩をすくめた。「それは……まだ先の話じゃないですか」朔は小さく笑った。今日こうして紗月が来てくれたことだけで、朔には彼女の気持ちが十分伝わっていた。朔は少し顔を寄せ、紗月の耳元にそっと口づけた。「来てくれてありがとう、紗月ちゃん」紗月は頬を赤らめ、こくりと頷いた。……それから季節は巡り、初雪の頃に結衣は六歳の誕生日を迎えた。やがて春になり、小学校へ入学する朝を迎えた。制服に着替えた結衣は椅子に座って朝食を待っていた。湊は靴下を手にすると、結衣に履かせてやった。「パパ、悠斗くんも同じ学校なの?」「ああ。でもクラスは別だ」入学前のテストでは、結衣のほうが悠斗よりずっといい点を取っていた。一方の悠斗は運動神経がよく、体を動かすことのほうが得意だった。ただ、なかなか体重が落ちず、恵も少し気にしていた。恵は悠斗にそこまで厳しい練習をさせるつもりはなく、本格的に選手を目指させようとも思っていなかった。体を動かす習慣として続けるくらいが、ちょうどいいと考
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第972話

結衣は首を横に振り、椅子に座ったまま足をぶらぶらさせていた。「行かない。だって、うおちゃんもかわいいもん」美月はまだ一歳になったばかりで、一緒に遊ぶには少し早かった。その点、今の瑛太はちょうど一緒に遊ぶのが楽しい年頃だった。「じゃあ今度、真理おばさんが美月ちゃんを連れて帰ってきたら、ママと会いに行こうか」結衣は頷いたものの、少し考えてから口を開いた。「ママ、その日、何もないか先に見てね。習い事いっぱいあるから」結衣は習い事が多く、放課後も何かと忙しかった。遥からすれば、よく嫌にならずに続けられるものだと感心するほどだった。遥自身も子供の頃はいろいろ習っていたが、飽きるのが早く、何を始めても長続きしなかった。しばらくすると正男に頼み込んでは、やめさせてもらっていたものだ。けれど、結衣はまるで違った。どの習い事も嫌がるどころか、むしろ楽しんで続けていた。そこは湊に似たのかもしれない。新しいことを覚えるのが好きで、頑張ったぶんだけ結果が出るのも嬉しいらしい。一番になれた時は、なおさら嬉しそうだった。もっと小さい頃は、結衣にここまで負けず嫌いなところがあるとは、遥も思っていなかった。けれど、それは決して悪いことではなかった。ふと隣を見ると、瑛太は相変わらず豪快な食べっぷりだった。服まで食べこぼしだらけにしながら、それでもかなりの量をちゃんと食べていた。朝食が済むと、湊と遥は結衣を学校まで送っていった。ランドセルを背負って校門をくぐっていく結衣を見送りながら、遥は胸がいっぱいになった。あんなに小さかった娘が、もう小学生になり、今年で七歳になる。子供の成長は本当に早いものだと、改めて実感した。そして今日は、遥がもう一つ心待ちにしていた日でもあった。留学していた凛が、久しぶりに帰ってくるのだ。留学中は勉強を続けるかたわら、「àl'aube」の海外での事業にも携わっていた。滞在していた地域ではK22のゴールドジュエリーが多く、国内で一般的なものとは金の純度も違っていた。そんな中、アンサンブルのゴールドジュエリーは思いのほか人気を集め、昨年の海外部門の売上もかなり伸びていた。遥としては、最初は試しにやってみるくらいのつもりだった。ところが凛は持ち前の負けん気で粘り強く取り組み、少し
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