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All Chapters of DISTANCE: Chapter 11

11 Chapters

3.再会

 折角の上玉だと言うのに、やっぱりこっちから全く連絡を取る手段を講じなかったのは、本当に失敗だった……と痛感したのは、真澄サンと別れてから三日目の朝だった。  一夜の情事の記憶なんて、すぐに薄れて消えちまう。  そうなる前に連絡を取って、ダメ押しで甘く口説くのが、俺の常套手段なのに。 三日経っても、真澄サンからは何の連絡は無かった。 今更留守電を残したところで、一夜の遊びを楽しんだジゴロのことなど、覚えていないに決まってる。  逃した魚の大きさを思うと悔やんでも悔やみきれず──。  俺としたことが大ドジこいたと、歯噛みしながらDISTANCEでクダを巻いていた。  その時、目の前にいきなり冷水の入ったグラスが登場した。「なにコレ?」 俺の前にグラスを置いたのは、いつのまにか隣に座っていたカガミンだった。  カガミンはこの店の常連の一人である。  だが、彼は異性愛者で、職業も真っ当(?)なホストだ。  なんでそんな経歴の男がこの店にいるのか? と言うと、理由は単純、カガミンはマスターの〝元・同僚〟なのだ。 マスターも元はホスト出身。  カガミンにとってDISTANCEは、友人のやってる気の置けない店ってわけだ。「イオリさぁ、こんな所で油売ってていいの?」 「なんでよ?」 「グッチーのトコの返済期日、迫ってるんじゃないの?」 「え? なんで俺がグチ金から借りてるの、知ってるの?」 グチ金というのは貸金業者の名前で、正式名称は確か、トライアルローンとか、そんな名前だった。  経営者が江口というので、エグチ金融、通称・グチ金と呼んでいた。「昨日、このぐらいの時間にグッチーが顔出してさ。イオリに会ったら、返済期日忘れないように伝えてくれってさ」 「カガミン、あんなヤクザと付き合ってると、評判落ちるよ? なぁ、マスターもなんか言ってやってよ」 「別に、グッチーはヤクザなんかじゃないよ」 加勢を頼んだのに、マスターはきっぱりグチ金の肩を持った。  もっともそれは当たり前で、江
last updateLast Updated : 2025-12-03
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