メモリが一杯になるまで写真を撮ってから、俺はその場を切り上げた。 あまり粘って久我氏に気付かれても困る。 靖国通りに出てコンビニに入り、サービス端末に携帯を繋いで、撮ったばかりの画像を出力した。 ほとんどは手ブレで使い物にならなかったけど、数枚ちゃんと顔が判別できる程度に撮れていて、頬を寄せるようにして話をしている様子は、実にあやしい雰囲気満点だ。 これなら例えハッチが全くそういったことに無関係の〝真っ当な〟人間だったとしても、とりあえず調べてみたい気分にはなるだろう。 俺はコンビニを出て、知り合いのナンバーをコールした。 確かに俺は友人の少ない人生を歩いているが、知人は無駄に多い。 この界隈を根城に〝社会のダニ〟な生活をするには、貸し借りの多い知人関係を作らざるを得ないからだ。 会社とその所属部署、それに本人の名前までハッキリわかっていれば、調べてくれる知人はいくらもいる。 そして、その道のプロにお願いすれば、カミサンの実家の住所と電話番号ぐらい、半日もすれば手に入る……というわけだ。 さっそく打診したところ、快い返事が返ってきた。 ちゃんと依頼をすれば証拠写真まで撮って貰えてしまうが、そこまで頼むのは得策じゃないだろう。 なんたってそんな胡散臭さMAXなヤツらだから、調べてくれる内容に対しての信頼はあっても、連中の人格や行動には数mgたりとも信頼なんてできない。 証拠写真なんか頼んだら、ほくほくと久我氏を強請りに行きかねないような輩なのだ。 俺は久我氏から金を搾り取ることになんて、全く興味は無い。 むしろ、気分的には〝正義の味方〟なんだから。
最終更新日 : 2026-01-02 続きを読む