食事の間、久我というその男は実に朗らかに、真澄サンはなにげなく和やかに、俺を〝友人〟扱いしてくれた。 俺は日常の真澄サンをほとんど見たことがなかったが、平素の真澄サンはこんなにも穏やかな顔してるんだなぁ……なんて、改めて思った。「じゃあ、この辺で切り上げようか?」 「そうだな、そろそろ戻らないと……」 「え? いいよ、俺だけ戻るから。ユッキー直帰しちゃいなよ」 「だって……、マズイだろ?」 「へーき、へーき。みんなやってるよ? っていうか、ユッキー真面目すぎるんだよ。せっかく友達に会ったんだから、たまには早く切り上げなって」 久我氏はそういうと、サッと伝票を持って立ち上がった。「あ、ジュン! おい、待てったら」 慌てて席を立ち、真澄サンは後を追う。 けれど、店を出た所で結局久我氏は一人で会社に戻ると言って、真澄サンを残して立ち去ってしまった。「やっぱ、俺マズかった?」 後ろから声を掛けると、真澄サンは少し困ったような顔で振り返る。「いや、いいんだ。アイツがああ言い出すって、考えてみれば予想できたんだけどな」 なんだかものすごくガッカリしているみたいな様子で、真澄サンは駅に向かって歩き出す。「一体、どういうつもりでヒモなんて言葉使ったの?」 俺の問いに、真澄サンはひどくビックリした顔で振り返る。「間違ってないだろう?」 「……どういう意味?」 「だって、イオリが俺と付き合ってるのって、そのためだろう?」 今度は俺が、ビックリした。「はい?」 「なんだよ、今更。……大体俺は、イオリがいつになったら金銭を要求してくるのかと思ってたのに。オマエちっとも何にも言わないし。この間渡した時に受け取ったのに、やっぱりそれっきりで、変なヤツだと思ってた」 さらりと答えられて、俺はあんぐりと口を開けてしまった。 腹立たしいがグチ金の言った通り、真澄サンは俺のことなんかとっくにお見通しだったのだ。 まるっきり、お釈迦さまの
最終更新日 : 2025-12-23 続きを読む