Todos os capítulos de OVERKILL(オーバーキル)~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~: Capítulo 21 - Capítulo 30

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第一章 20  ハード過ぎたチュートリアル

 さて、約束の日になった。俺はエリック達、それと俺の師匠兼姉設定のアリアと共に、ギルドマスターの部屋でアーヤ一行と最後の打ち合わせを終え、馬車へと向かうところだ。「カーズ、そしてアリア殿、王女とこの馬鹿共をよろしく頼むぞ」 エリックにユズリハ、酷い言われようだな。それだけ付き合いも長いんだろうしな。「「うっさい、ジジイ!」」 この二人、やっぱ息ぴったりだな(笑)「はーい、お任せあれー」 軽いアリア、平常運転だ。冒険者登録はしてないが、俺の姉で師でもあるとのことでステファンも同行することに異議はなかった。お主の師なら問題ないじゃろ、ってことだ。エリック達が強く推薦したのもあるけどね。「わかりました、やれることはやってきます」 馬車で待っていたのは護衛の2人、優男のギグスに、大柄なヘラルド。騎士の鎧に身を包んでいる。「久しぶりだな、嬢ちゃん」「息災で何よりだ」 説明が面倒くさいので、俺が男だと魔眼で認識を書き換えておいた。それでもギグスの嬢ちゃん呼びは変わらないのだが……。「ちゃんと護衛の任務は果たしたみたいだな」 俺の皮肉にも笑ってくれる、やっぱいい奴らだなこの二人。エリック達ともすぐに意気投合したようで、問題なく馬車に乗り込み、旅はスタートだ。騎士と冒険者とか、いがみ合いがありそうなテンプレ展開を予想してたが、この二人はそんな態度は取らずに楽しく対等に話している。 アーヤの側には侍女二人が付き添っているため、俺は特に話してはいない。必要があれば通信で会話はできるしな。 それよりもピクニック気分ではしゃぐ姉設定の女神が隣でとてもウザい。とにかく俺にベタベタしてきて、実にうるさい。食い物与えとこうかなあ。 そのせいでアーヤからは姉とはいえ微妙なジト目で見られている。なんだか実にいたたまれない、だが見た目は双子のようなものだし、誰も疑うことはないけどさー。静かにして欲しい。 それに結構豪華な馬車だがやっぱり揺れる、現代の車で快適な運転をしてきたせいでとてもお尻が痛い。フライで少し浮いて衝撃が来ないようにした。痔になりそうだしな。 俺は常に周囲に探知を張り巡らせて索敵しているし、馬車にもアリアが厳重に物理・魔法結界を張ってくれた。奇襲を受けてもまず確実に跳ね返される強度だ。 クラーチ王国に入るまで約3日、必ず奇襲があるということは、ハ
last updateÚltima atualização : 2025-12-16
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第二章 21  黒く蠢く悪意

「オロス、アーヤ王女の暗殺に失敗しただと! 一体どういうことだ!?」 激高した表情で怒鳴りつけるまだ20代後半の男。国の政務を一手に任され、若くして宰相の位まで上り詰めた天才と言われるヨーゴレ・キアラ。しかし若くしてその才能を発揮するも、それ以上の権力、王族にはなれないことが野心家の彼には我慢ならなかった。「ククク……、どうやら中立都市の方で邪魔が入ったようで。更に帰還中も中々やり手の冒険者共が護衛に就いているようですな。いやはや、ゴロツキ共には荷が重かったようですなあ」 オロスと呼ばれた男はさも愉快であるかのように笑う。その動きはどう見ても人間の動作にしては薄気味悪い。もちろん魔人が入れ代わったものだ。本物は既にカーズ達に保護されている。「おのれ、腐った王族共が……。運がいいことだな」 どれだけのことを成し得ようとも、世襲制である王家を差し置いて自らが王になるなど不可能なことだ。ただの穀潰し、王族に生まれたということで何もかもが約束されている。何の苦労もせずに王位を継ぎ、そんな奴らに頭を下げ続けなければいけない。次の王に相応しいのは自分のような人間であるという過剰に狂った自意識。そんな彼が魔人に付け込まれるのはある意味当然の末路だったのだろう。「クククッ、どの道あの小娘もここに帰ってきます。恐らく証拠の類を持ってね。如何にして切り抜けるおつもりですかな。監視につけていた私の部下も捕らえられたようで、いやいや、中々の手練れですなあ。お見事お見事」 オロスを名乗るその男はこの混乱を楽しむようにヨーゴレを煽る。「お前の案に乗ってやったというのに……、このままでは王女が帰還したら全て終わりだ。何か案はないのか?」「ではまた騎士団を使いますかな? ここのところの不況もあって国民の王家への不満は高まっておりますしなあ。まあその状況を作ったのは貴方ですがね、ククク」「騎士団をどうするつもりだ? 下級騎士を無理矢理護衛に任命させたことで内部で分裂も起きているのだぞ」「ククク、ではその不満分子共、あの女副団長には軍を率いて遠征に出てもらうことにしましょう。魔王領の調査という名目でね。国王の命もあと僅か、騎士団が分裂すれば大魔強襲の守りは手薄になる。その混乱に乗じて国民の不満を逸らすために全ての責任を王家に負わせ、抹殺すれば良いではないですか
last updateÚltima atualização : 2025-12-17
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第二章 22  最終作戦会議

 あと約半日、恐らく昼頃には王国に到着する。 俺達は馬車に揺られながら最後の作戦会議中だ。本物のオロスからの情報によると、宰相のヨーゴレ・キアラ、こいつが事を起こしているのは間違いない。しかしひっでえ名前だな、汚れキャラかよ。もうネーミングに悪意を感じる、おもろすぎるだろ。名は体を表すとはいうけどね……。おっと脱線。 どうやら王位に就きたいというような愚痴を常日頃からこぼしていたらしい。オロスはそれを宥めていたようだが、約一か月程前に魔人を名乗るものに襲われ、姿を奪われたということだ。それ以降はその魔人の手足となって動かされていた。宰相のその欲望に上手くつけ込まれたということだな。しかし権力ねえー、いやーほんっとにどうでもいいなあ。 奴らは国を乗っ取るために、急激に税を上げるなどのあからさまに強引な政策を行った。おそらく魔人の能力で人間の僅かな悪意を増長させたのだろう。国民は疲弊し王家への不満が高まっているらしい。 そういった負の感情が魔人には堪らなく美味であり、それらを集めることが魔王復活の引き金に繋がるということらしい。魔人にされていた本人が言う言葉だし、真偽は明らかだ。 そんな折にアーヤの単独の公務での中立都市訪問が重なったため、中立都市近郊の盗賊共を闇魔法で操り、国外での暗殺を謀ったということだ。そしてこの責任を中立都市に押し付け、国内に混乱を巻き起こして国民の不満感情を煽ることで反乱を起こし、配下の騎士団、その団長カマーセ・ヌーイと副団長コモノー・スーギルに王族を暗殺させ、一番末の王子ニコラス、まだ10歳にも満たないらしい、その子を国王とし、傀儡政治を行おうとのことだ。 だが、アーヤは俺が運良く救出したため、その策略が頓挫した。どっちにしろ結構お粗末な陰謀だ。古代の文明レベルだよ、俺からしたら。しかも自分は王になれねーじゃん。古代文明並みの超低レベルな策略、アホ臭い。ということで恐らく次の策謀を考えているであろうということだ。しかし今度はかませ犬に小物過ぎかよ、一発芸人かこいつら? クラーチの人の名前ってネタなのか?「プププ、クラーチの人は変わった名前が多いんですよねー」 とアリアは笑っていたが、変のレベルじゃねーよ、悪意しか感じねーよ! 出会ったら笑ってしまいそうだわ。既にエリック達はバカ受けしてるしな。しかもギグスとヘラルドに、「お前
last updateÚltima atualização : 2025-12-18
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第二章 23  包囲網を突破せよ

 クレアを先頭に騎士団に囲まれながら馬車を飛ばす。飛ぶが如く! 入口はクレアの御陰で苦も無く突破。今は王城へ向けて全速前進中だ。エリックにユズリハは既に御者のおっちゃんの隣で出撃準備も万端だ。俺は馬車の上から探知、鷹の目、千里眼で城下町の街道周辺を探索中だ。街の人々は何事だ?って感じでこちらを見ている。 確かに民たちに元気がない。くそっ、普通に暮らしている人達を巻き込みやがって!  そして前方に騎士団が待ち構えているのを捕らえた。「来た! 予想通り騎士団だ、数は約100、鑑定したところ団長も副団長もいる! あと5分もすれば接敵だ、任せたぞ二人とも、それにクレア!」 集中し俺に出来る最大限のバフを三人にかける、アクセラレーション、パワーゲイン、ファイアフォース、ダイヤモンド・アーマー、マジック・リリースにリジェネレーション。三人の能力値が大幅にアップする。「ありがとう、カーズ!」「ああ、問題ない。死ぬなよ!」「ここは任せときな!」 騎士団が前方に迫ると二人は馬車を飛び降りる。と同時に疾風の様に騎士団の間を潜り抜け、エリックは団長のカマーセ、ユズリハは副団長コモノーの前へと駆け出し、一瞬で1対1で対峙する構図を作り出した。いいね、作戦通りだ。「何だ、こいつら!? 一瞬で目の前に」 驚きを隠せないカマーセ。「わ、わかりません、突然目の前に!」「おっと、どうせ王女暗殺未遂なんてベタな濡れ衣で捕獲しようって作戦だろ?」 ニヤリと笑うエリック。「バレバレなのよ。ウチの大将の予想通りね」 おい、大将って誰だよ?「くそっ、なぜこちらの作戦が漏れている!?」 焦るカマーセ。そらバレるっての、それくらいしかネタがねーだろ、ガバガバなんだよ!「おい、お前達! こいつらはアーヤ王ッ、むぐぐ……」 コモノーが声を出せなくなる。「どうしたコモノー?!」「く、口、が……ッ?!」「汚い口は塞がせてもらったわよ。サイレンス。余計な指示など出させない」 おお、ナイス判断、ユズリハ。「こいつ、無詠唱だと?!」 焦る一方のカマーセ。「お前らはここで終わりだ。ウチの大将の邪魔はさせねーよ」 だから大将って誰だよ。まあいい、上手く団長格の行動は
last updateÚltima atualização : 2025-12-19
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第二章 24  二人の死闘・限界を超えろ!

 黒く重々しい空気が周囲を包む。オロスから姿を奪った恐らくは上位の魔人、その悪魔から呪いの様に埋め込まれた悪を具現化したような因子。倒れた元団長格の2人の体からその禍々しい瘴気が立ち昇る。「クカカ、マダ……終ワランゾ……」 全身をドス黒く染め、赤く目を光らせながらのそりと立ち上がるカマーセ。「ククク、我ラハ王家ヘト……復讐ヲハタス」 同様に立ち上がるコモノー。もはや人間だった面影も確固たる意識すらもない。悪意そのものが蠢いているのだ。体中から瘴気を撒き散らし、辺り一帯を黒く染め上げていく。周囲の人達はそれに飲まれて苦しみ始める。「エリック、魔力を全身に!」「おう、くっ……確かにこいつらと向き合ってるだけで吐き気がするぜ。あの二人から対処法を聞いてなけりゃヤバかったな」 二人は精神を集中させ、全身に魔力の防御膜を張り巡らせる。「クレアさん、周囲の人達を非難させて! 悪意に飲まれるわ!」「魔力が使える奴は自分の周囲に魔力を張れ! 気分が悪くなるぜ!」 二人の大声の指示を聞き、恐怖を振るい去って全力で魔力を張るクレア。そしてそのまま騎士団に指示を出す。「この二人の言った通りだ! 魔力でガードしろ! そして周囲の人々の避難に回れ! 決して近づけるな!!」「「「「「ハッ!!!」」」」」 クレアの声で我に返った騎士達は各々の魔力を発動させ、周囲の人々の避難へと駆け出した。だがクレアは二人の背中から目が離せなかった。「あの二人に何かあれば私が戦わなくてはならん。しかし何だ……あの姿は? 魔人……。彼らは最早人ですらなくなってしまったというのか……?!」 だがその責任感のみで留まろうとするクレアにユズリハが叫ぶ。「クレアさん下がって!! 近くに寄るだけでも危険よ!!」「……っ、ああ、済まない。そうさせてもらう。お二人共、ご武運を!!」 彼らがそこまで言うのだ、大人しく引き下がるしかない。自分の無力さに歯ぎしりしながら後ろへ避難するクレア。「さてこれからがメインディッシュってことだな」「食べ物に例えたくはないわね」 二人が武器を構える。「アリアさんの指示通りいくぜ!」 構えた武器に聖属性の魔力を纏わせる。訓練の成果だ。本来魔導士のユズリハは勿論のこと、エリックも魔力コントロールは鍛錬してきた。「こいつらは正気を失ってる、ゾンビと同じよ
last updateÚltima atualização : 2025-12-20
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第二章 25  王城混乱・Mission Start!

 アーヤの全王国民に対する念話による、驚愕の告白は城内にも当然届いていた。第21代クラーチ国王、フィリップ・クラーチは病に侵された体を従者達に支えられ咳き込みながら玉座の間へと向かった。 既にそこには彼の子供達、第一王子レオンハルトを始め、第二王子アラン、近衛騎士団長を務める第一王女レイラ、そのレイラの足にしがみつく様に第三王子のニコラスが重鎮たちや近衛兵と共に集まっている。 そしてその近衛騎士団に捕らえられた宰相ヨーゴレとその関係者である政務官達、オロスに姿を変えた魔人も連行されていた。悪を城内から逃がさないようにするというカーズの戦略は完璧に機能していたのだ。 支えられながら、ふぅ、とため息交じりに玉座に腰掛けるフィリップ国王。「さて、よく集まってくれた。どうやら大変な事態になっておるようだな」 と、後ろ手に拘束され首の上から近衛騎士団の槍で押さえつけられている宰相ヨーゴレを見る。他の王族、重鎮達も同様に彼を睨むように見ている。共に連行された六人の政治関係者達は、皆もうお終いだという顔をしている。勿論ヨーゴレの横にはオロスの姿に成りすました魔人もいる。だがこの魔人だけは、この状況を愉しむかのように下卑た笑みを浮かべて。「ヨーゴレ宰相よ、先刻の我が娘アーヤの声で語られたことは真実なのか?」 これまで信を置いてきた臣下。ここのところの強引な政策も彼なりの考えがあるものだと思い、静観してきた慈悲深い王が言葉をかける。「父上、お言葉ですが、既に城下では民達による大きな騒動も起きているようです。それに我が妹アーヤがわざわざあのような大それた嘘を吐く理由などないでしょう。早々に処断すべきです!」 少々頭が固いが、質実剛健、非常に真面目で濃い短めのブラウンヘアをした長兄のレオンハルト。次期国王は彼で間違いないだろうと言われる、正義感の強い男だ。「俺は政治には特に関心はないが、魔人が絡んで来るとなると話は別だ。だがよ、その肝心の魔人ってのはどこにいるってんだ?」 ぶっきらぼうな言葉の第二王子アラン、黒髪を無造作に伸ばした風貌で、芸術関連に高い才能を発揮している。「アラン兄様、それを問い質すために我が近衛兵達で彼らを即刻連行したのです。これから明らかにすればよろしいでしょう」 長女にして第1王女のレイラ、近衛騎士団を率いる程の剣技に秀でた武闘派だ。長く
last updateÚltima atualização : 2025-12-21
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第二章 26  決戦!魔人軍団

 霧が一瞬で消えて、上位魔人がその姿を現す。何だこいつは? まるで紫色の衣装に身を包んだピエロのような恰好をしている。だが皮膚はドス黒く口は耳まで裂けており真っ赤に光る目は三日月型で、此方をニヤニヤと笑っているように見える。「私の名は魔人メフィストフェレス。愚かな人族の悪意を愛し、変幻自在な姿と誘惑を得意とする上位魔人。唯一神の人形とその眷属よ、此度はこのクラーチ王国の崩壊までの輪舞をまんまと阻止したつもりだろうが、最早魔王様復活は近づいている。まずは貴様らをその贄としてやろう、クハハハハハ!!!!」「メフィストフェレス? ファウストに出てくる奴か? ルシファーの配下とも言われる……」 まあ神話とか好きだから何となく聞いたことあるだけどね。「眷属よ、良く知っているな。私達は元は他の次元で生まれた概念がこの世界にしかない魔法を形作る魔素が実体化したものだ。想像上の恐れや畏怖といった人族の感情で出来ていると言ってもいい」「何だと、じゃあ地球の神話とかで語られてる悪魔みたいな奴がこの世界で実体化してるってのか? ならこんなのがたくさんいるってことかよ?」 だったら神話とか宗教上の悪の存在なんて腐るほどいるじゃないか。笑えないな……。「ハハハ、理解が早いな。貴様らが他の世界で他者の信仰というものを利用して勝手に生み出した宗教、祈る神などいもしないというのに。自らの争いの種になる架空の敵などを勝手に描いてくれた概念の御陰で私達はここで実体を得たのだよ。人類に魔法などという大それたものを与えた神々の驕りから生まれたと言ってもいいがな」 チッ、マジかよ。科学の発展を抑える代わりに生まれた概念のしわ寄せがこんなところに来ているってのか。上手く回っていそうな世界だと思ってたってのに、それなら2回の大虐殺は無駄だったってことになるのかよ。犠牲になった人達が浮かばれないじゃないか。「カーズ、耳を貸す必要はありません。何が原因だろうが、こいつらは純粋な悪そのもの! 何を言おうがこの世界を貶める悪なのです。滅却することが私の神としての使命でもあります。こいつは私自身がこの世界の管理者である神として直々に屠ります。あなたは残りの、こいつが生み出した下位魔人を滅却してください。いいですね?」 真面目モードのアリアだな、これは相当怒ってる。「あ、ああ、わかった。
last updateÚltima atualização : 2025-12-22
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第二章 27  神格と神気

「ぐっ、つっ……っ!」 何だ、何を撃たれた?! どうやって俺の腕を飛ばした?? 兎に角回復だ、ヒーラをありったけ注ぎ込む。多少はマシだ、ていうか痛みで痺れてわからねえ。「ほう、叫び声の一つも上げんとは。見上げたものだ」 うるせー、くそ痛えよ! でも痛がったらテメーが喜ぶだけだろうがよ。チッ、後手に回ったのは失策だった。ならばこちらから攻める、攻撃こそ最大の防御だ!「うおおおおおお!!!!!」 ガイィィィィーーン!!!「何だ、これは!? 結界?」 パズズに繰り出した剣撃が奴に当たる前にビリビリとした伸縮する、はっきりとは見えない防御膜のような壁に阻まれる。何だこのATフィールドみたいなのは?「神の体には内外問わず、常に神気が巡っている。それを崩さなければ本体に傷は付けられんぞ」 神気? 何だそりゃ? 知ったことかよ!「うるせー! ならそいつを砕いてやる!」 剣に魔力を込める! 斬りつけたままのアストラリアソードがその防御壁へグググッと押し込まれていく。破る! もっと力を込めろ!!「うおああああああああ!!!!」 ピシッ…、ヒビが入った! だがまだだ、ならこいつを喰らえ!! 剣を持ったまま左手を振り被り、ドラゴングローブの拳を叩きつける!! ありったけの『硬さ』をイメージした土属性を込めた衝撃追加がダイヤモンドのブレスのように放出され、神気とやらの壁をバラバラに破壊した。「眷属よ、貴様中々に戦闘の筋がいいな。その未熟さで私の神気の壁を砕くとは…。だが、まだ神の闘技というものを理解しておらん、いや知らないと言った方が正しいか?」 何だか知らないがペラペラと話し始めた。時間を稼ぐには丁度いい。それにこいつを倒せなくとも一矢報いる情報が得られるかもしれない。聞いてやろうじゃないか。それに今の一撃で俺もかなりの力を使ったしな。「よいか、人族は魔力やその身体能力といったものに依存してスキルや魔法、武技というものを使う。だが主に魔力というものは我ら神々が人類種に与えた概念そのものだ。それらを生み出した我らにとっては致命打とはならん」 ……そりゃそうだな、自分達が与えたものだ。それじゃ神に対してそこまで効果がないってことだろう。「じゃあどうしろってんだよ? 人間の俺らじゃどうやっても勝ち目がないって言いたいのかよ」「ガハハ、普通の人間ならな。だ
last updateÚltima atualização : 2025-12-23
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第二章 28  記憶の煌き・神気を解き放て!

 俺の脳裏に、封印されていた記憶の最後のピースがはめ込まれるような映像が浮かぶ。 彩。俺が生涯唯一心から愛した女性。あの街で隣に住んでいた1つ歳上の女の子。体があまり丈夫じゃなかった彼女の手を引っ張って、よく外へ出かけた。 可愛いらしいストレートの赤毛がかった髪の毛。目鼻立ちもはっきりとしていて、大きな瞳に小さな口。強気で強情で意地っ張り、短気でやきもち焼き。でも本当は優しくてさみしがり屋で、俺にいつも甘えてくれて、それが可愛くて仕方なかった小柄な女の子。 俺の練習や試合にはいつも母親と一緒に見に来てくれた。子供のくせに生意気にも将来の約束をしたんだ。俺がプロになって大金を稼いで、彼女の体を治してやる。それが夢の一つになっていた。でも帰国することになって……。「行かないで! ずっと一緒だって言ったじゃない!」 泣きながら叫んだ彼女の心の慟哭。「プロになって、この国に戻って来るから。少しの間我慢しててくれ」 そんなカッコつけた台詞を吐いて帰国した俺を待っていたのは、負担の大きい土のピッチだった。慣れなかった。ようやく感覚が掴めてきて、プロクラブからのオファーを貰ったところだった。膝に取り返しのつかない重傷を負ったのは……。それからどんなにリハビリしても、本来のプレーが全く出来なくなった。勿論契約も……。 夢を失った俺は、その鬱憤を晴らすかのように喧嘩三昧だった。そんな自分を見失っているときだ、彼女の母親から国際電話が届いたのは……。 俺は必死でアルバイトして渡航費用を稼ぎ、飛行機に飛び乗った。プロになって帰ると約束したというのに。でも俺が着いた時にはもう、全てが遅かった。俺が最後に目にすることが出来たのは、少し大人びた容姿になった死に化粧の彼女だった。 彼女の母親は「ごめんね」という、彼女の俺への最後の言葉を伝えてくれた。「あなたの人生はこれからなんだから、この子のことは忘れて幸せにならないとダメよ」と励ましてくれたおばさん。でも忘れられるわけがなかった。何で謝るんだよ、謝らないといけないのは俺の方だ。涙と後悔しかなかった。 そうか……、あの時に俺はもう既に壊れていたのか……。病気は後々になってそれが表面化したってことだったんだな。 彼女を救う、守ってみせる? 俺は大嘘吐きだ。また守れなかったじゃないか……。彩を残った左手で抱き起こ
last updateÚltima atualização : 2025-12-24
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第二章 29  彩られる思い・神衣と奥義の力

 階段を息を切らしながら駆け上る。目指すは玉座の間。城の外から見た、中央の上部にある玉座の間から聞こえる爆発音や衝撃音、それに中からも外からもおそらくは魔法による破壊の衝撃が光となって何度も見えた。合流したクレアを始めとした騎士団に囲まれて見つめていた彼らの戦いの凄まじさが外まで伝わって来た。そしてそれらの衝撃的な光景が、私の記憶の蓋を抉じ開けたのだ。思い出した本当の名前、でも名字はもう記憶のどこにも残っていない。引き止めてくる周囲の制止を振り切って一人で彼のもとにただ走った。「あなたはこれから元気な体に生まれ変わって私の世界で幸せに暮らしてもらいますねー。いつかあなたの運命の人が現れるまでは前世の全ての記憶は封印させてもらいますけどね。その人に会えばあなたの記憶のカギは徐々に外れます。感動的な再会を期待していて下さいねー」 アリアさんはあのときの女神様、この世界の唯一神アストラリア様だったのですね。そして、彼に会ってから私は不思議な夢を見るようになった。 隣に越してきた、いつも家で静かに過ごすしかなかった私を日の光の下に連れ出してくれた一つ年下の男の子。私の心の中にスッと入ってきて、生意気なことばっかり言って。最初は『何よ、私の方がお姉さんなのに』って思ってたっけ。彼の明るさに触れていると元気になれた。いつの間にか一緒にいることが当たり前になっていた。 あの中世の様な街並み、中心部に綺麗な時計台があったあの街で。 小さくて体が弱かったから、よく苛められたり揶揄われた。外に出るということはそういうこと。でもそんな人達を片っ端からやっつけてくれた。『暴力はダメ』って言ったのに……『彩を傷つけたんだ、こいつらはぶっ飛ばされて当然だ』って。自分よりも大きい相手にも怯まず向かっていって、『彩は俺が守るから、心配すんな』って。 そんな君に子供心でも恋をするなんてあっという間だった。『俺がプロになって大金を稼いだら、彩の病気を治してやるからな』って地元のプロチームのジュニア選手になって。ああそうか、確かおじさんは若い頃プロ選手をしてたって聞いたな。 小さい体で堂々とピッチに立つ君は大きく見えた。大柄な相手にも躊躇なく言いたいことを言って、ゲームを支配するその姿はまるで司令塔で王様みたいだった。努力を惜しまず、どんなときでも堂々として、自信たっぷり。なのに負けたら
last updateÚltima atualização : 2025-12-25
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