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53話

Autor: 籘裏美馬
last update Última actualización: 2026-01-01 17:20:55

奏斗が長期のお休みをもぎ取った。

最初は奏斗に「一緒に旅行に行こう」と言われたけど、それは流石にまだ私たちには早い。

それに、お母さんにもお父さんにもまだ奏斗とお付き合いをしている事を話していない。

だから、奏斗がお休みの間。

私が奏斗のお家にお邪魔して、お家デートを満喫しよう。

そう、話し合って決めたんだけど──。

「香月、香月!こっちから見る景色、凄い!」

はしゃぐ奏斗に手招きされて、私は苦笑いを浮かべつつ、奏斗の下に向かう。

「奏斗、そんなに大きな声で呼ばなくても大丈夫だよ」

「だって香月と一緒にこの景色見たくって」

屈託なく笑う奏斗に手を取られ、2人並んで展望台から景色を眺める。

──そう。今、私たちは少し遠出して外でのデートを満喫していた。

人の多い、有名な観光地は無理。

都内も無理。

それじゃあどこがいいか、と奏斗は色々と調べてくれたらしくて。

関東にある、ローカル線に乗って田舎まで向かい、そこで春には芝桜。秋には彼岸花が見所の場所があるらしくて、冬の今は観光客も少ないだろうし、近場に大きな公園もあるから散歩をしよう、と提案してくれたのだ。

ここだったら、電車で向かう事が出来るし、日帰りで帰って来れる距離。

奏斗にはしっかりと対策をしてもらって、万が一にもKanatoだとバレないように。

奏斗が言ってた通り、冬の今は彼岸花の季節でもないし、見物人は少ない。

公園は大きいから、ぱらぱらと人の姿はあるけど、地元の老夫婦や年配の方が散歩をしたり、お子さんを連れてる家族だったり。

混んでいる訳ではないから、適度に他の人とも距離があって。

これなら、奏斗がバレる事はなさそう、と私もやっと安心したのだ。

そして、奏斗に手を引かれながら公園にある展望台に向かった私と奏斗。

奏斗が本当に嬉しそうに笑っていて。

私は繋がれた手に視線を向ける。

最初は、出かけようと誘う奏斗にいい返事をする事は出来なかった。

やっぱり、奏斗だとバレてしまうリスクを考えると、家でゆっくりする方が安心だし。

だけど、奏斗がこんなに嬉しそうに、楽しそうにしているのを見ると私まで嬉しくなってしまう。

多少、バレてしまわないかな、という心配はあるけど。

人がこんなに少ないならその心配も杞憂に終わりそう。

私たちは手を繋いで、展望台か
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