国境付近にある医療はまだそこまで発達していない。しかし、柊馬は重傷を負い、臓器からの出血もあるため、すぐに救命措置が行われなければならなかった。この辺りではこの病院が最も良い病院で設備も整っているほうだ……危うく柊馬は助からないところだった。柊馬は事故に遭った瞬間、きっと自分が死んでしまう可能性が大きいと予測し、湊には一花に伝えずにおくように言ったのだろう。湊は顔を下に向けて、一花に謝った。「奥様、社長のことを怒らないであげてください。彼もあなたを心配させたくなかったから……」「一花さん、この子のことは私もよく理解しているの。彼はね、誰かに自分の状態が悪い姿を見せたくないのよ。きっと、自分にもしも何かあったらって……」美穂はそう話しながら耐えられずに嗚咽を漏らした。彼女は柊馬のこのような姿を見てとても心が締め付けられていた。柊馬は伊集院家に生まれたが、小さい頃からその恩恵や幸せを受けず、ずっと苦労してきた。しかし、柊馬はとても強い人間だった。今まで一度も自分の弱い一面を見せたことはない。風邪を引いても自分で何とかしてきた。そして、祖母である敬子ですら、柊馬がこのような姿になったのを初めて見たのだ。「分かっています……」一花は呼吸もするのがやっとだった。彼女はなんとか数回呼吸をした。涙は絶えず頬を伝わって流れ落ちている。巨石に押しつぶされて、どれだけ痛かったことか……一花は頭の中で美穂から聞いた彼の事故当時の状況を思い出し、頭がどうにかなりそうだった。そんな状況にも関わらず、彼は意識を失う前に一花が心配しないか気にかけていたのだ。そんな彼をどうして責めることができるだろうか。「一花さん、先生が今はもう落ち着いたって言ってた。傷ついた内臓の出血も止まっているそうよ、脊髄の損傷は運良くそんなにひどくないんだって、もうすぐ目を覚ますはずよ……」美穂はこの時言葉を詰まらせた。一花の状態もあまり良くないので、一部の病状については隠しておくことにした。だから、ポジティブに聞こえる話だけにしておいた。「あの、私、彼と二人っきりで暫くいてもいいですか?」一花は柊馬を見つめ、とても小さな声でそう言った。美穂は頷くと、湊に他の人たちを連れて病室から出るよう目配せし、自分は一花の肩を軽く叩いてから出ていった。そ
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