ただ、柊馬は陽菜のことを大事にしすぎて、時には面白さに欠けることがあった。陽菜はもう少女時代のうぶな女の子ではない。大学を卒業して社会に入ってから、二人の関係は親友のような家族のような愛情に変わってしまった。いくら柊馬が彼女に良くしてあげても、陽菜はその時すでに昔のように彼に対してドキドキすることはなくなっていた。友人たちは彼氏ができては、また新しい男にとっかえひっかえしていたが、柊馬と陽菜の雰囲気は昔からずっと変わらなかった。陽菜はそのまま彼と結婚すると、一生このままつまらない人生を終えるだろうと思っていた。しかし、結婚を先延ばしにするために、陽菜は数年の海外留学を決めた。彼女は柊馬が自分のことを絶対に待っていると確信していた。柊馬は責任感が非常に強いうえに、不安を感じやすいところがある。生涯の相手を一度決めたら彼はそう簡単に諦めることはない。しかし彼女のほうは、自分の心と向き合って答えを出す時間が必要だった。彼女は柊馬のことを本当に愛しているのか考えた。彼のために結婚をしたいと思うほどなのだろうか?陽菜が決めた事なら、柊馬は自分が苦しくても、無条件で受け入れる。ただ、陽菜が留学してしまい、二人の関係が180度変わってしまうなど、彼らは思ってもいなかった。柊馬はもともと仕事が忙しい。そんな中休息の時間を削っても、数日おきに陽菜のところへ行っていた。陽菜が彼を必要としている時は、柊馬もできるだけ彼女のために尽くしていた。しかし、柊馬がいくら非の打ちどころがないほど完璧にしていても、人というものはどうしようもなく足るを知らない生き物なのだ。陽菜はそんな柊馬に慣れてしまっていた。逆に新鮮な刺激を感じられず、彼とは遠距離であったこともあり、彼女の交際範囲はどんどん広がっていった。陽菜は美人で気品に溢れているし、若いので、彼女を追いかける男性は自然と増えていった。彼女は誰とも境界線を越えることはなかったが、遊ぶ相手は女性からいろいろなタイプの男性へと変わっていった。やがて、陽菜が留学を終える間際に、柊馬の祖父母が結婚を催促し始めた。すると柊馬はもちろん陽菜に結婚について相談し、彼女が帰国したら婚約することになった。しかし、正式に婚約する前夜、柊馬がトラブルを起こしてしまった。陽菜が聞いたところによる
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