「さぁ……此方《こち》へ、此方へ……」 胸に杭が打ち込まれた、生気が感じられない血塗れの巫女……彼女に導かれるままに着いていった先、山の中腹の開かれた場所に、その神域はありました。 香々星之宮──星を司る神・天津甕星を祀る場所。まつろわぬ神々の長たる者が、安らかなる眠りについているとされる場所。 「……っ!?」 噎せ返るような血の匂いに、私は思わず顔を顰めました。金剛さんも匂いを嗅ぎ取ったようで、忌々しげな舌打ちの音が隣から聞こえてきます。 「ここ、が……香々星之宮……何て、禍々しい……」 何て禍々しい──それが、私が香々星之宮に辿り着いて最初に抱いた感想でした。 黒塗りの巨大な社は香々星神社のものよりも更に大きく威圧感があり、社務所や手水舎、神楽殿に至るまで建築物の造りは全て、麓の香々星神社に勝るとも劣らない立派なものでした。 ですが……それが余計に、香々星之宮という場所を禍々しいものにしているのです。見た目のインパクト、そして噎せ返るような血の匂い。暗雲に覆われた空、雲の隙間から漏れ出る雷の光……それらの要素が組み合わさり、香々星之宮という神域を呪われた場所へと変えていました。 「ようこそ、御陵 奏──我らが主の坐す神域へ」 私たちをこの場まで案内してくれた巫女が、軽やかな動きでくるりと振り返り、目許や口端から真っ赤な血を滴らせながらにこやかに笑います。 ──ふふっ…… 巫女の笑い声に呼応するように、無数の少女たちの笑い声が四方八方から聞こえ始めます。嫌な汗が背筋を伝うのを感じながら、私は小さく息を呑みました。 何故、私の名前を知っているのでしょうか。彼女たちの言う主とやらは、私の到来を予期していたとでも言うのでしょうか。 若し、そうだとするならば……私が歩む道の末路も、彼の者にはお見通しだと言うのでしょうか。私の辿るであろう結末が、彼の者には既に見えているのでしょうか。 ──ふふっ……あははっ……! 平静を装いながらも、その実は言い表しようのない恐怖に震えている。そんな私の様子はさぞ、滑稽に映っていることでしょう。徐々に数を増やし、大きくなってゆく少女たちの笑い声が、そのことを如実に物語っていました。 やがて── ポツリ、ポツリと、胸に杭を打ち込まれた、巫女服姿の
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