その瞬間、俺の隣で上級貴族の男が勢いよく立ち上がった。「よし! 行くぞお前ら! 俺に続け~!」 は? 意味が分からん……。作戦は? 役割分担は?「行くぞ」と言われても、具体的にどう動くつもりなんだ?まさか、何の策もなくあのバケモノに向かって正面から突っ込むつもりなのか?いや、まさかな。エリートなんだから、何か勝算があるはず……。 そんな俺の淡い期待は、一瞬で打ち砕かれた。男は剣を振り回しながら、まさに猪突猛進という言葉がふさわしい動きで現場へ躍り出たのだ。「――なっ!?」 死闘を繰り広げていた騎士団長が、突然現れた闖入者に気づく。彼は驚愕に目を見開いたが、すぐさま凄まじい勢いで駆け寄り、突撃しようとした男の横面に烈帛の勢いで拳を叩き込んだ。「貴様! 何をしている!」 地面に転がった男は、頬を押さえながら呆然とした声を漏らす。「え? あ……その……待機をしていた場所にモンスターが現れ、移動をして来ました」 あまりに苦しい言い訳。騎士団長の額には怒りの血管が浮かび上がり、その目は燃えるような怒気に満ちていた。「その護衛対象と一緒に、この戦闘をしている場所へ来て……突撃してくるとはバカなのか? 死にたいのか? それに任務放棄、護衛対象を危険にさらすとはな……お前達、なぜ反対をしなかった!」 騎士団長の咆哮が、茂みに隠れていた他の護衛騎士たちにも突き刺さる。震えながら姿を現した彼らを、騎士団長は今にも斬り捨てんばかりの形相で睨みつけた。俺は最後尾で、そっと溜息をついた。彼らが叱責されている間も、目の前の「調整ミス」の怪物は、邪魔者が増えたことを楽しむようにその不気味な武器をゆっくりと持ち上げていた。♢崩壊する戦線「意見を致しましたが……身分差を弁えろと言われ、何も言えませんでした」 下級貴族の騎士が、悔しさに唇を震わせ、今にも泣き出しそうな声
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