「いないよ」俯き加減に歩いていると、突然視界に日和が現れた。驚いた私は、目を丸めて日和に顔を向ける。「3人とも」「へっ?」「あ、あのバカ兄貴は誰でもいいって感じだから、いつもたくさんの女の人を連れてたけどね。でも、彼女って呼べる人はいなかったんじゃないかな」本当、バカ兄貴。と日和が呆れる。「どんなに告白されてもさ、全部断ってんの」えっ? と答える代りに眉を上げる。声に出してしまうのが、なんだか少し恥ずかしかったから。咲きかけのこの想いを、まだ悟られたくない。もし知られてしまえば、ものすごい速さで開花してしまうような気がしたから。だって、勝ち目ないし……。「こっちからしてみれば、早く彼女を作れって感じ。そっちの方が楽だし」「……?」「だって、彼女がいればみんな諦めてちょっとは大人しくなるでしょ?彼女を作ろうとしないくせに、愛想ばっか振りまくから私が被害にあうんだよ」「た、大変だね」私が苦笑しながら日和に言うと、突然目を輝かせ私の顔を見てきた。「で、で? 誰に興味をもったのよ」「......っ?」「なに、びっくりしてんのよー。言ったでしょ?私はあの3人のファン達の相手をずっとしてきたのよ? 雰囲気でわかるよ」日和はニヤリと笑うと、私の腕を肘で突いてきた。心臓が暴れ出した私は、日和の腕をはたく。「な、なに、それ。別に、興味なんて……ッ」目を泳がせながら、しどろもどろで答える。「めっちゃ、目が泳いでますけど。お嬢さん」「泳いでないよ」反論して、日和から視線をそらす。隠そうと思っていたのに……。
Last Updated : 2026-01-06 Read more