その夜に限って、突然の吹雪に見舞われた。萌花は見知らぬ森に閉じ込められ、転んで足を骨折した。吹雪の夜、彼女は寒さで高熱を出し、意識が朦朧としていた。森で凍死すると思った時、誰かに背負われて一歩一歩雪の森を抜け出した。その人物こそ来希だった。あの日から、彼女の心に「好き」という気持ちが芽生えた。長年にわたり、二人の間には数えきれないほどの摩擦や矛盾があった。しかし高校1年生のあの雪の夜、彼が彼女を背負い、何度も転びながら暗闇の中で一歩一歩耐え抜いた彼の背中を思い出すと、萌花はもう一度頑張ろうと思えた。だからこの数年、二人の関係は常に彼女が妥協し続けてきた。そして今日の状況に至った。愛情は一瞬で消えるものではなく、少しずつすり減っていくものだ。萌花は冷静で、信念は決して曲げられない。ただ、今でもあの雪の夜の少年の温かな背中を思い出すと、やはり彼女は辛い。翌日。萌花は早朝に銀行へ向かった。彼女の銀行口座には四億が入っていて、即座に二億を来希の口座へ振り込んだ。その時、来希は事務処理をしていたがスマホが鳴り、さっと画面を開いた。銀行からの通知だった。彼の口座に突然二億が入金されていた。しかも萌花の口座からの振り込みだ。来希の口角がゆっくりと上がり、満足げな笑みが浮かんだ。まるで何かの勝利を収めたかのようだった。萌花はあれほど大騒ぎしたのに結局折れたのだ。こんな方法で二人の関係を修復しようとしている。ただ、彼女がいつ二億を秘密裏に貯めたのか全く分からなかった。しかし二条家の家柄を考えれば、萌花の父は投資会社の会長で、資産は数千億ある。娘に二億の小遣いを渡すくらい、別に不思議ではない。萌花がこんな方法で和解を求めてきたのだ。彼女と同じように彼も細かいことを言うつもりはなかった。彼はスマホを取り、自ら萌花の番号に電話をかけた。しかし繋がると、真っ先に二億のことについて問いただすことはなかった。むしろ、気にも留めないような口調で尋問するように言った。「反省したか?」萌花は来希の言葉を聞いて、すぐに眉をひそめた。あの上から目線の口調に、彼女は吐き気を催した。もう彼に説明するのも面倒だった。萌花は本題に入った。「来希、裁判所の前で待ってる。今すぐ来
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