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第12話

Author: 年緒
この車は値段が張る上、特注モデルだった。

しかし結婚後、来希は商談のために印象をよくする必要があると言って、持ち出して乗るようになった。

その当時は彼女も会社にいたので、二人はいつも一緒に行動しており、特に不自然には感じなかった。

一年後、萌花が家庭に入ると一人で使う車も必要になった。

だが来希は返そうとしなかった。

彼女がこの車でスーパーに行くと、ぶつけたり傷つけたりする可能性がある上、騒ぎになりかねないという理由をつけてきた。

代わりに彼女には小さくて運転しやすい車を買うと言い、それでこのコンパクトカーがあるのだ。

正直に言うと、萌花はこうした物には全くこだわらなかった。

彼女にとっては、単なる移動手段でしかない。

以前は全く気づかなかったが、今は目が覚め、来希の見栄っぱりで自己中心的な本性が見えるようになった。

過去の自分がいかに愚かだったか痛感する。

車からスーツを身に纏った来希が降りてきた。

彼は車にもたれかかり、金のカフスボタンを整えながら指でネクタイの結び目を上に押し上げた。喉仏がその動きに合わせてシャツの襟元で動いた。優雅で上品に見え、貴公子さな
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