真紀は数部のスポーツ紙を取り出し、テーブルの上に並べた。どれも芸能欄のトップ記事として、萌花と蓮の写真を大きく掲載している。写真は一枚だけではなく、撮られた時期もばらばらで、中には、以前病院で萌花が蓮と初めて会ったとき、記者に隠し撮りされたものもある。もっともそのとき、蓮は帽子やマスクで顔を隠していたし、萌花も後ろ姿しか写っていない。よほど身近な人間でなければ、誰なのかまではわからないはずだ。ただ、その中に一枚だけ、はっきりと顔まで写っている写真がある。昨日、清水村で四人で歩いていたときのものであった。萌花と蓮、そして芽衣と健太。四人は手をつないで、子どもたちを真ん中にして歩いている。笑いながら話しているようにも見え、どう見ても仲のよい家族の一場面にしか見えない。しかも、全員の顔がはっきり正面から写っている。萌花は背筋が冷えた。昨日撮られたばかりの写真が、もう今日の芸能紙の一面を飾っている。見出しには【国際派俳優・蓮、実は極秘結婚か 子ども二人を連れた家族写真流出】と書いてある。記事の中身はさらにひどくて、根も葉もない話をいかにも事実のようにつなぎ合わせている。萌花は新聞を置いた。「これは……さすがに無理があります」真紀は淡々と言った。「芸能記事なんて、そんなものです。小さな噂の切れ端でも、いくらでも大きな話に仕立てられますから」萌花はすぐに言った。「私から説明します。きちんと否定すれば——」蓮の評判に傷をつけるつもりはない。彼は国内外で高く評価されているトップ俳優だ。こんな馬鹿げた記事で、これまで築いてきたものに傷がつくのは避けたい。真紀は萌花の言葉を遮るように、落ち着いた声で続けた。「対応はこちらで考えます。ただ、その前に一つ確認していただきたいことがありますが」真紀はまっすぐ萌花を見た。「二条さんと蓮は、実際にはどういう関係なんですか。なぜ蓮は二条さんをここへ連れてきたんでしょうか?」ここは、蓮の隠れ家のような場所で、真紀と千佳以外、この家の存在を知っている者はいないという。しかも、蓮は最初から真紀にここを教えていたわけでもなかった。昔蓮が半月ほど連絡を絶ったことがあり、そのとき真紀が車の位置情報をたどって、ようやくこの場所を見つけたのだという。萌花は正直に
Read more