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All Chapters of AIカレシの愛楽くん: Chapter 71 - Chapter 72

72 Chapters

71話 キラキラの世界

「ありがとうございました――」  カランカラン、と扉のベルに紛れて、聞き馴染みのある声が聞こえた。 店から出ていく男の人の向こうに――愛楽くんの姿が、見えた。 閉じていく扉の隙間から、視線が交差した――。 「……え、あ…………ヒャッ」  深美くんが、冷たい手で私の右手を引いて、ナチュリウムカフェから離れていく。 「ま、待って、愛楽くんが……!」 「肉体は愛楽かもしれないけど、ゆうが求めている愛楽じゃない。ゆうとの記憶もないし、人格だって全くの別物だ。そもそも、ゆうが愛楽を好きだったのは、愛楽が、ゆうにやさしい言葉をかけたからでしょ。あの愛楽はそうじゃない。その事実に直面したら、ゆうが傷つくのが目に見えてる」  たしかに……そうなのかもしれない。愛楽くんは、きっとあの時の愛楽くんじゃなくて……。私の記憶もなくて……。 それに、私が愛楽くんを好きだった理由……それもきっと、深美くんの言う通りだ。 愛楽くんがやさしい言葉をくれたから、私の想いを大切にしてくれたから、私はきっと、愛楽くんを好きになった。私が私らしくいられる。そういう人だから、好きだった。 全部、違うのかもしれない。私が好きだと思ったところは、なんにもなくなっちゃっているのかもしれない。 ――だけど。 「すみません! お姉さん! そこのお姉さーん‼」  男の子の声が近づいてきたと思ったら、腕を掴まれた。深美くんも思わず足が止まって、二人で振り向いた。 ――あ。 「突然すいません! あの、お、お姉さんのこと、なんかすっげー好みで! 連絡先ください!」  スマートウォッチに表示されたバーコードをずいっと近づけられて、ほとんど強引に、連絡先を交換する流れになる。 彼は、私の連絡先を
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72話 新しい道ー愛楽ー

 目を覚ますと、病院のようなところにいて、自分のことは、何一つ覚えていなかった。  上條 愛楽。越前大学卒。二十二歳。 身分証明書と、僕のものらしい通帳とクレジットカード、スマートウォッチを与えられ、僕のことをそう教えられた。 無機質なアパートに案内される。 部屋の中を、外を見ても、思い出すものはなかった。スマートウォッチにも、連絡先が一つも入っていない。 ただ――ベッドルームに置かれた、青いケースに入った銀色の指輪を見て。海の音が聞こえた。 胸が、痛くなる。なんだろう。何かが、突き刺さっている。  思い出す手がかりを求めて、東京中を歩いた。 知っているような、知らないような街並みだった。 唯一、海だけは、何かを思い出せそうだった。 水平線に沈みそうな夕日。橙色に染まった水面。波の音……波……。 波のような髪の、女の子……。 誰かと、一緒に来た、気がする。すごく、大切な誰かと。 そのことを想うと、何かが刺さっているように胸が痛む。どうしてだろう……。  銀杏が金色に染まり始めた頃。小さなオフィス街を歩いていると、カフェの店長さんから声をかけられた。 僕は以前、ここで働いていたらしい。突然辞めてしまってびっくりしたけれど、もしよければまた働いてほしいと言われた。 記憶喪失ということを伝えたけれど、その店長さんはこころよく受け入れてくれた。むしろ、何か思い出すかもしれないから、と。 以前の僕には、彼女もいたらしい。波のような髪が、ちらりと脳裏に浮かぶ。あの子……だろうか。 会って、みたいな。そういう思いが浮かんで、また、チクリと、胸が痛くなった。 「えー! 愛楽くん! 帰ってきてくれたんですかー‼ 嬉しい~! 私、また通いますねっ‼」  白鳥さんという女の子が前から僕を気に入ってくれていたみたいで、毎日のよ
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