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AIカレシの愛楽くん のすべてのチャプター: チャプター 31 - チャプター 40

52 チャプター

31話 親友との再会

 スポーツはそこで切り上げることになった。愛楽くんがスポーツウェアからカーディガンとスキニーに着替えてきても、みりんちゃんと合流するまで、一時間の余裕ができた。 せっかくだから、ブルーモールのギフトコーナーで、みりんちゃんへのお土産を買うことにした。 久しぶりに会えるし、お仕事で疲れているだろうから、癒しグッズを揃えよう。 雑貨屋さんで、黄色いリボンの柄のホットアイマスクと出会う。黄色は、みりんちゃんの推しのレントのイメージカラーだ。これと、入浴剤をいくつかあげたら、リラックスしてもらえるかな。 ヴーッと、スマートウォッチが震えた。西園寺さんだ。『肉』『遠野と』 焼き肉の写真が送られてきた。『今度行こう』「ありがとうございます」のクマのスタンプを送る。 西園寺さんは、連絡先を交換してから、お休みの日とか、夜も時々こうやって、ふとした日常の様子を送ってきてくれていた。 気にかけてくれて、ありがたいし、嬉しい。 そうだ。ブザーの件もだし、いつもお世話になっているから、西園寺さんにもプレゼントを買っていこうかな。深美くんにも。最近あまりお話しできていないけど、気にかけてくれるし……。 西園寺さんはあまりお菓子を食べないと言っていたし、プログラミング部の他の先輩たちも、時々こういうアイマスクを使ってリラックスしているから、役立つかもしれない。緑色のハーブの香りのアイマスクを、二つ手に取る。「自分用? いいね!」「あ、西園寺さんと深美くんに、と思って。お世話になってるから……」「あ……」 入浴剤を取ろうと指を伸ばすと、後ろにいた愛楽くんが、私の指を掴んで、止めた。「……あ……その二人にあげたら、会社の人みんなにあげなきゃだめになるんじゃないかな、って思って~」 そっか。他の先輩にも、よくしてもらっているから、たしかにそうだ。 それなら今度、やっぱり皆さん用にお菓子を買っていくのがいいかな。配りにまわらないとと思うと、緊張するけど……。 西園寺さんと深美くんの分を戻して、今日は、みりんちゃんの分だけをラッピングしてもらった。 *** みりんちゃんとのお夕飯の場所は、マンションとブルーモールのちょうど中間にある、和定食のお店だった。 みりんちゃんとお出かけする場所は、大体みりんちゃんが行ってみたいところ。今回もそうだった。 車を
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32話 バニラアイスと七味唐辛子

「いや~それにしてもさ。よかったよ、本当。ゆうが幸せそうで、よかったよかった」  大きなからあげを頬張りながら、幸せそうにみりんちゃんが言う。 「幸せそう、かな……。仕事、大変だし……。分からないことばっかりで、なんにもできなくて……」 「そんなんさあ~。一年目なんだし、当たり前じゃん? よくやってるよ~。尊敬する。あたしだったら無理よ、発狂して家に帰ってプリパレの世界に飛び込む」  みりんちゃんこそ、すごい。ずっと好きで、得意だったイラストを自分の仕事にしちゃうなんて。 高校生の時から神絵師って言われて、大学生の時からたくさん依頼をこなしていて、SNSは十万人以上フォロワーさんがいて。本当にすごい……。 「っていうか、『また、夜にね』ってことは、あれ? 一緒に住んでる感じ?」 「ん~……一応……」 「ヒエ~~~~‼ 進みすぎィ~~~~‼ いいなあ、帰ったらリアルハルトがいる生活……そりゃ潤うよねえ……どんなクソ仕事もがんばれちゃうよ~。はあ~あたしもどっかで出会えないかな~リアルレント……。あっ、てか、新作やった⁉」  そこからしばらく、プリパレ新作の話で大盛り上がりだった。あのセリフがいいよね、とか。あのシーンがじーんとしたよね、かっこよくてハゲそうだったね、とかとか。 完食して、温かいほうじ茶をゆっくりすすっていると、話がまた愛楽くんのことに戻った。 「いや~それにしてもさ。すごい勇気だよ。ほんと。苦手どころか、目に入ったら死ぬ! レベルで嫌悪感マックス、恐怖の対象だった”男”と付き合おうなんてさ」 「私は、何も。気付いたらそういうことになっちゃってて」 「なんか愛深そうっていうか、押し強そうだったもんね~。でも、そうやってお洒落したり、一緒にいたりしてるってことは、楽
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33話  In the systemー愛楽ー3

<TARK ROOM> 【DEEP-three】目標を撃破。ゆうはタクシーに乗り込み、帰宅中。十分後、マンションに帰宅。AI-LEARNは待機、Heuristic-twoは速やかに移動するように。 ――了解しました。 【DEEP-three】AI-LEARN。バグの件はどうなった。 ――ボディガード機能、その他データ収集面には問題がないため、ミッションを継続します。 【DEEP-three】ボディガードであれば、二人いるから問題ない。ミッションも、必要であれば僕が交代できる。念のためドクター・百合華に連絡し、ドクター・百合華に判断を仰ぐことを薦める。  通信が切れる。Heuristic-twoからの応答はなかった。  感情の機能をもつHeuristic-twoは、ボディガードを始めてすぐ、ゆうに恋をした。「ゆうに恋の思考を抱いたら記憶を消去する」。ドクター・百合華はその約束のとおり、Heuristic-twoの記憶を消した。けれど、Heuristic-twoは、何度記憶を消されても何度もゆうに恋をした。 そして今も、ゆうに恋をしている。 だから、僕がゆうの彼氏になったことが、相当気に入らないのだと推察される。感情を優位に動いてしまうところが、Heuristic-twoの弱いところだ。 とはいえ、ボディガードの仕事は怠らない。その信頼性は高いので問題ない。 <BODYGARD SYSTEM> ――ボディガードモードをスリープ、彼氏モードに切り替えます。  Heuristic-twoにゆうのボディガードを託して、キャンドルの準備をする。 今日は、失敗続きだった。スポーツをしている男性の姿は、女性の恋心を刺激するというデータに加え、普段とのギャップを見せることも
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34話 乙女ゲーム制作の道

 みりんちゃんとゲームをつくることになって、約二カ月が経った、七月上旬。 仕事の方のゲームのプロジェクトも大詰めで、いっそう忙しさが増していた。 六連勤、一日休み、また六連勤……というペースでの勤務が多かった。休みの日はぐったりお昼過ぎまで寝て、ぼんやり起きてスマートウォッチにみりんちゃんとのゲームの企画をメモ……そしてまた寝落ちる、という過ごし方をしていて、愛楽くんとのデートも全然していなかった。愛楽くんは気にするふうでもなく、 「ゆうの体と心が一番大事だよ。いっぱい休んでね。眠れないなら、俺が朝まで抱きしめていてあげる」  と、糖度が増したセリフをなめらかに吐いて、甘々に私を溶かしながら、マンションの一室で恋愛感情パーセンテージのアップに励んでいる。 それに、私がみりんちゃんとのゲームの企画案を考えていることも知っていて、応援してくれている。私のやりたい気持ちを心から応援してくれるのが嬉しい。 やっぱり私には無理……と音を上げてしまいそうになる時もあるけれど、愛楽くんが傍で応援してくれるお陰で、がんばれている気がする。  ヴーッと、みりんちゃんから連絡が届いた。 『やほやほ☆ 思ったんだけどさ、プログラマーさんとか、動画師さんとか、OP曲つくってくれる作曲家さんとか、そういうメンバー集めないとな感じじゃない⁉』 『たしかに! 企画まだだから、まだいいかなあとも思うけど……。遅くてごめんね!』 『マジで急いでないから気にしないで~ん☆ ゆうと一緒に自分のゲームつくれるってだけで夢のようだよん☆ 動画師さんと作曲家さんはこれまでの仕事のツテで声かけられる人、何人かいそうなんだよね~! プログラマーさんだけよく分かんなくって……(脂汗)ゆうの職場に、仲良しのプログラマーさんとかいない? いるよなぁ⁉ 答えは待ってまーす☆』  ヴーッと、西園寺さんからメッセージが届く。ちょうど同時進行でやりとりをしていたところだ
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35話 止まるキーボード

 その日の退勤時間の三十分前。私は部長に、小会議室に呼び出された。 部長は、オフィスで一番の権力者。四十代前半の女性で、やさしい雰囲気でありながら敏腕。私とは格が違っていて、片手で数えるくらいしかお話ししたことがない……。 面接の時も、多分この方が面接官の一人だったと思う……。 そんな偉い人に、二人きりで呼び出されるなんて、なんだろう……。 わ、私、何かしちゃった……? おっきいこと……? 連絡ミス、はしてないと思うんだけど……。 「武藤さん」 「はひっ!」 「入社から三か月が経ちましたが、どうですか?」 「どう……な、なんとか、なっている、でしょうか……? いろいろと失敗して、ご迷惑をおかけすることも多いのですが……」 「新入社員ですから、そんなものです。それでもよくやっていると思いますよ。何より、男性が怖いという点を心配していたのですが、うまくコミュニケーションをとれるようになってきましたね」 「ありがとうございます……」 「それで、提案なのですが。先ほど西園寺さんから、あなたが乙女ゲームの企画を考えていると聞きまして。うちも――というか、私が、と言った方が正しいかもしれませんが、乙女ゲームの開発をしたいと思っていたところなんです。私も昔、よくやっていて。そこで、もし、あなたさえよければ、その企画を、うちの会社で進めてみませんか?」  声が出ず、全部のパーツを丸くするだけの私に、部長はやさしくほほ笑んだ。 「採用試験で、あなたが言った言葉を、私は覚えています。『私も、誰かの心にキラキラした気持ちを届けられるゲームをつくりたいと思った』……。この言葉に、胸を打たれて、私も自分の好きだった乙女ゲームをつくる夢を叶えたい、と思ったんです。そして、あなたの夢も応援したいと。だからあなたを採用したんです。ですから、もし今、あなたにや
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36話 水族館デート

 ちょっと遅く起きてしまったけれど、水族館はブランチを食べてから向かう予定だったから、ゆっくり支度できた。 お化粧を終わらせると、食事をつくり終わったらしい愛楽くんが、「ゆう~」と部屋の扉を開けた。 振り向いた私と目が合って、しばらくフリーズする。「……わっ」と動いて、「ああ、もう、まただ……」とため息をつく。 愛楽くんのバグは相変わらず直らない。お母さんにも一応相談したのだけど、「愛楽自身が大丈夫だと判断しているなら、とりあえず様子を見てちょうだい」とのことだった。でも……。 「一応、見てもらった方がいいんじゃないかな……」 「大事な機能には影響ないから大丈夫~! それに、バグの原因、分かってるから。ゆうが可愛すぎること。今日の服、あの時買ったもう一着の服だよね。すっごく似合う!」  白いノースリーブのブラウスに、水色のロングスカート。ワンピースを買ったお店で、店員さんにおすすめされて、一応と思って着たら好きだなあと思ったから買っていたものだった。……けど、すっごく腕が出るから、ムダ毛の処理をがんばらないといけなかった。ムダ毛の処理なんて、高三の夏ぶり……。 「俺も着替えようと思うんだけど、どういう服がいいかな。今日のキャラクター設定も教えてほしくて! ゆうの考えているゲームの、水族館デートに行くキャラクターってどんなキャラクター? それに合わせて、キャラクターを変更するよ!」 「えっ、いいよ。キャラクター、変えなくて……」 「このキャラクターでいいってこと? そっか、分かった~! じゃあ、どうしようかな。ゆうに合わせた服装で行こうかな~。実はこの前、買ってきたんだよね~!」  愛楽くんが、部屋を出ていく。「このキャラクターでいいってこと?」っていう確認に、そういえば、いつもの愛楽くんも、私のためにつくっているキャラクターなんだってことに気が付いた。 本当の愛楽くんは、最初に
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37話 本当の愛楽くん

 その後も愛楽くんは、私が可愛いなあとじっと見た魚について、詳しい解説をして、プラスアルファみたいな口説きセリフを垂れ流し続けた。私の心臓は、羞恥心にまみれてドキドキ鳴りっぱなしだった。 でも、参考になる。ありがたいな。スマートウォッチに軽くメモして、先に進んだ。  トンネル状の大水槽が、目の前に現れた。 わあ、すごい……。たくさんの魚と、揺らめく水が、日の光でキラキラして……海の中にいるみたい。頭の上を、大きなエイが泳いでいく。顔が可愛い。 見上げながら一回転していると、ふと、愛楽くんが隣からいなくなっていたことに気が付いた。 きょろっと探すと、トンネルの入り口のところに立って、私を見つめていた。 「どうしたの?」 「ゆうを撮ってた。見惚れてる顔も、光を浴びる肌も、まわるたびにひらめくスカートも、きれいだったから」 「撮れるんだ……」 「うん。現像とかアップロードは、ドクター・百合華のところにデータを送らないとできないけど。でも、絶対忘れない記録として残せる。ゆうと過ごしてる時間は、一分一秒、全部覚えてるけどね」  ううっ! 本当に今日は次から次に口説き文句が襲ってくる! 嵐の日の波みたい……! 「AIに生まれてよかった」  凪のように小さく、愛楽くんがつぶやく。 ふと。愛楽くんの産まれた時のことが気になった。 「……あの、愛楽くん」 「ん?」 「聞いていいかな……」 「聞いちゃだめなことなんてないよ~! なんでも聞いて!」 「ありがとう。その……愛楽くんって、産まれた時から、AIチップがついてたの……?」 
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38話 アイオライトに導かれて

 外に出ると、夕日が世界を染めていた。 愛楽くんが、売店でバスタオルを買ってきてくれて、びしょぬれの私の肩にかけてくれた。 子ども用の、プールで使う着替え用のバスタオルで、ピンクのイルカのイラストが描かれていて、面白くてまた笑った。愛楽くんは私とお揃いの、水色のイルカが描かれたバスタオルを肩にかけていて、それも面白くて笑いが止まらなかった。 海がすぐそこにあった。夕日が見えるからと、愛楽くんに連れられて行く。 丸い夕日が、水平線の上に乗っていた。橙色の海と、夜が始まろうとしている紺色の空の色が混ざり合って、きれいだった。 強い風が、私たちの濡れた髪をなびかせる。 私たちしかいなかった。世界に、二人きりになったように思えた。 「楽しかったね」 「うん……。ありがとう」 「ゲームの参考になった?」 「あ。途中から忘れちゃってた……。でも、書けそう。ありがとう」 「よかった~。どんなゲームなの?」  それは……。言ってしまうと恥ずかしいけれど……ここまで、付き合ってもらったし……。 ごくり。唾を飲んで、緊張で引っ付いた喉を剥がした。 「……え、AIの男の子を攻略する、乙女ゲーム……」 「…………俺?」  着想は、そう……。恥ずかしくてうつむくと、顔を覗き込まれた。 「ゆう――俺のこと、好き?」  ドキリと、視界がぶれるほど、心臓が鳴る。 愛楽くんが、私の心拍数に気付いて、「あ」と言った。 「見てみよっか」 「え」  愛楽くんの前に、スクリーンが浮かびあがる。
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39話 襲撃

 ――バリバリッ!  電撃のような音と、火花のような光が、愛楽くんの右腕で炸裂する。 私が、「ヒッ⁉」と悲鳴をあげると同時に、愛楽くんがはっと目を見開いた。即座に、私の背中を左腕で抱き抱えるようにして、滑るように走る。私たちが通り過ぎた道に、バリッバリバリッと、愛楽くんの腕に当たったものと同じような電撃の塊が当たる。 愛楽くんは私を連れて、石段を駆け下り、砂浜を走った。テトラポットと石壁の間に身を隠して、二人で息を切らせながらしゃがみこむ。 「あ、愛楽くん……? ううう、腕……!」 「ああ、これ? 大丈夫〜。痛覚はAIと繋がってないから、痛さなんて感じないし、すぐ治るよ〜」  愛楽くんはそうこそこそ言いながら笑うけれど、それが私を安心させるためのものなのだということは分かっていた。愛楽くんの右腕は、ぶらりと垂れ下がっているだけで、ぴくりとも動かない。どう見たって大丈夫じゃない……。 というか、これは何……? 電撃……? が、なんで愛楽くんを襲ってきたの……? 何が起きてるの……? 私の不安な表情に気付いて、愛楽くんがいつものようにふわりとほほ笑む。 「大丈夫だよ、ゆう。俺がゆうを、絶対守るから」  ――……あれ。 この言葉……。 私の記憶が、フラッシュバックする。 小学一年生のあの日――私を助けて手を差し伸べてくれた、顔も見られなかった男の子の面影が、愛楽くんに重なる。  もしかして――。  バチバチッ! バチバチッ! と、二度、顔近くのテトラポットに、電撃が当たる。ここにいることが分かっているとでも言うように。 「ゆう。俺が出たら、ここから出て、砂浜をまっすぐ走って。止まっちゃだめだよ」 「愛楽くん⁉」&
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40話 本当に、サバイバルゲーム……?

 サバイバルゲーム……だったのかな、本当に……。 だって、あの電撃みたいなものに当たってしまった愛楽くんの腕は、帰ってきてもまだ、ぶらりとして動かない。 病院に行った方がいいんじゃ……でも、人造人間だとバレてしまったらよくないのかな。どうしたらいいんだろう。お母さんには愛楽くんから連絡したみたいだけど、連絡が来るまで待機しなきゃいけないみたい……。それまでの間、何か、手当てとかした方がいいんじゃないのかな……? 愛楽くんは「平気平気〜」といつもと同じ表情で笑っている。 「でも、お料理手伝わせちゃってごめんね〜。疲れてるのに〜」  具材を切るのと調味料を計るのくらい、そんな……。いつもたくさんやってくれているんだから、このくらい、ちょっとのことだよ。  出来上がったミネストローネとサラダ、出来合いの貝のソースをかけたパスタを食べる。 黙々と口に運びながら、橙色の髪の男の子の言葉を、ふっと思い出した。 ――てめえ……AI-LEARN‼ なんで情報を共有しなかった‼ てめえのせいでゆうが危ない目に……!  恐怖で心臓が固まる。 だけど、少しずつ恐怖が緩んできて……胸に小さな違和感が引っかかっているのを感じた。 あの子、愛楽くんを、AI-LEARN――愛楽くんの本当の名前で呼んでいた。愛楽くんのサバイバルゲームでの名前なのかもしれないけれど……。というか、そもそも、愛楽くん、サバイバルゲームなんて、いつからしていたんだろう? バイトとか、ごはんをつくってくれたりとか、一時期はスポーツも練習しに行ってたみたいだったし、そんな時間あったかな……? 私が知らないところでやっていた可能性だって全然あるけれど。今回がはじめてだった、とか? でも、GPSって? 愛楽くんはスマートウォッチを持っていないのに……AIの機能とか、指輪とかでできるのかもしれないけれど……。 それに、もう一つ。あの男の子は、私の名前を知っていた。私が、危ない目に合うところだったと怒っていた
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