優希はふと目を開けた。 動かない頭でぼんやりと目だけを動かして見えた白い天井と壁が、病院みたいだと思いながらゆっくり瞬きをする。 なんだか酷い夢を見ていた気がして、気分は良くない。 胸焼けしているような不快感に眉を寄せた優希は、深く深呼吸をして目を閉じた。 (なんでここにいるのかしら?) 起き抜けで動きの悪い頭では思い出せず、思わず唸ってしまった。 その時すぐ横で物音が聞こえ、優希がそちらに顔を向けると、椅子に座りながら何かの書類を見る暁春がいた。その頬には何故か湿布が貼られ、書類を持つ腕にも包帯が巻かれている。 覚えていないが、どうやら自分は病院のベッドで寝かされ、夫の暁春が見舞いに来てくれたようである。その夫も怪我をしているということは、2人で何かに巻き込まれたのかもしれない。 そう思うと優希は詰めていた息を吐き、安心した表情を浮かべた。何があったかは知らないが、2人とも命は無事だったのだから。 優希が目を覚ましたことに気づいたのか書類から目を離した暁春と目が合うと、優希は大丈夫という意味を込めて微笑みかける。 優希が体調を崩した時、暁春は大袈裟なほど心配して時間が許す限り側に付き添った。 きっと今回も心配していただろう彼が、すぐに安堵の表情を返すと思った優希の予想は、彼女を一瞥しただけでナースコールを押した暁春に裏切られた。 ナースコールを押した後も、いつものように笑いかけることをせず、無表情を向けてくる暁春に優希は困惑した。 「暁春…?」
Last Updated : 2026-04-18 Read more