All Chapters of 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました: Chapter 71 - Chapter 80

102 Chapters

71話 決意

淡々と言う和珠に優希はなんと返せば良いかわからず、目を泳がせながら言葉を探す。 「無責任な元旦那さんだね。」 将生が呆れたように言った言葉に優希は頷き同意した。 「確かに旦那としても父親としても最低な男でした。でも正直に他に好きな女性ができたことを言って離婚を求めてきたことは感謝しています。もしその女性と続いたまま婚姻関係を続けられていたら、私は不倫された妻として、不倫旦那にも不倫相手にも自尊心を踏み躙られながら歪んだ家庭を息子に与えていたかもしれません。離婚を望んでいない相手との離婚手続きは時間も気力も使います。あの時に離婚を言われずにいたら、子供が小さいうちに私から離婚を言うことはなかったでしょう。」 和珠の話が他人事ではない優希は眉をひそめて聞き入る。 「優希さんの選択肢は3つです。不倫旦那を許して再構築。不倫旦那をお金を稼ぐ物と見て仲の良い両親を演じながら夫婦を続ける。しかしその場合は子供に父親の不倫と仮面夫婦を見破られてないけません。不倫旦那と別れてシングルマザーになる。ただし生活に余裕はなく、下手すると母子共に共倒れの可能性もあります。」 示された選択肢のメリットデメリットを真剣に考え、どれがお腹の子供たちにとって一番良いかを想像する。 双子、頼れる実家もなく、仕事も未定。 総合的に考えて今の優希がシングルマザーを選択するのは共倒れの可能性が高くなるが確定ではなく、逆に確定しているのは不倫する父親とその愛人によって壊された家庭。 「…さっき言った通り離婚します。それ一択です。再構築はあり得ません。」 「心変わりは仕方ありません。でも婚姻関係を清算する前に関係を持ったことは立派な裏切りです。」 優希は和珠の目
last updateLast Updated : 2026-03-26
Read more

73話 有頂天

昨晩桃子が言っていたことを思い出し有美の口元が大きく弧を描く。 真実はどうでも良く、野良の子を孕んでいる可能性を井竜家の人間が認識した時点で子供を残しはしないだろう。 なんと言っても名家は血筋が重要なのだから。 そして最初から産ませなければ、追い出された優希が子供を盾に何かを要求する憂いも無くなるのだ。 自分が手をくださずとも優希の子は淘汰されるだろうと、有美は冷たく笑った。 (ああ…、本当に全てが私の望んだ通りだわ…。)」 幸運の女神に愛されるていることに愉悦に浸った有美は、暁春が階段を降りてきたことに気づいてすぐに表情を変え走りよる。 「お姉さん怒ってなかった?」 心配した表情を作り、緊張しているように胸の前で拳を握る。 「家にいない。安産祈願のお参りに行ってそのまま社に泊まるそうだ。」 望まれてない子供なのに、と有美は吹き出してしまいようになったが、それはあまりにも意地の悪い女になってしまうので「ふふ、そうなんだ。」と含んだ笑みを浮かべる。 「あ、じゃあ今日は夜も暁春を独り占めできるのね。嬉しい!」 邪魔者がいないことに気分は再び良くなり暁春の腕に抱きついた。 「昨日は暁春がお姉さんと一緒に寝るのが嫌で邪魔しちゃったけど、今日は堂々と一緒にいられる!暁春も嬉しいでしょう?」 唇を尖らせたかと思うとすぐに愛らしい笑顔をみせる有美を、暁春はぼんやりとした目で見つめる。 有美は反応が鈍い暁春に頬を膨らませると男の逞しい首筋に噛みついた
last updateLast Updated : 2026-03-28
Read more

74話 家へ

これから家をなくす優希にとって窓の外に流れる家はどれも温かいものに見え、思わず目を伏せる。 「…優希さんにはお腹の赤ちゃんたちがついてます。産まれれば寂しいと感じる余裕もないですよ。」 説得力のある和珠の言葉に優希の顔がリラックスしたものになった。 暗い車内には軽快な音楽が流れ、肩の力を抜いた優希は小さく口ずさむ。 それに続くように将生も歌い始めると、いつのまにか和珠も含めて3人で歌っていた。 心の隅で感じる不安に気づかないふりをして、優希は楽しそうに笑った。 「うわぁ、どこ見ても大きな家ばかりですね。」 自宅がある住宅地に入ると自然と合唱も止み、車内は静かになった。 いかにも裕福な家族が住んでいそうな家を興味深そうに見る和珠の横で、優希は落ち着かない気持ちで手を擦り合わせる。 自宅の門が近づいてくると、将生が口を開いた。 「優希ちゃん、話した通り中には君だけで入って。でも玄関の鍵は必ず開けたままにしておいてね。玄関が閉まって15分経っても戻って来なかったら僕が様子を見に行くよ、…お邪魔しても良いよね?」 一応住人に許可をとる意味で聞いていると気づき、優希は頷いた。 「徹底して欲しいのは、必ず旦那さんと距離を置いて話すこと、相手の様子がおかしくなしたら話の途中でも戻ってくること。ただ離婚する、後は弁護士から連絡させる、これだけ言ったら戻っておいで。」 将生の真剣な口調に優希の顔も引き締まり、その言葉を心の中で復唱する。 暁春がそうなるとは思ってないが、将生だけでなく和珠も頷いているのを見て不安が大きくなってくる。 門が開き、敷地内に入ると車のスピードは
last updateLast Updated : 2026-03-29
Read more

75話 グロテスクな光景

先ほどまで聞こえていた音はピタリと止み、今は胸を叩きつけるような優希の心臓の音だけが耳を震わせている。 止まっていた足が無意識に動き出し、とうとう階段の上に到達する。 閉じられたたくさんの扉の中で書斎のだけが中の明かりを廊下に伸ばしていた。 写真よりも衝撃的な光景を見たくないという思いと、離婚を言い渡すために来たのだからという思いが頭の中でごちゃ混ぜになり、重くなる足はそれでもどんどんその場所に近づいていく。 近づくにつれて静かだと思った書斎から2つの荒い呼吸が聞こえてきた。 緊張は最高潮に達し、優希の呼吸も荒くなる。 (大丈夫、そこに出て離婚を言うだけ…。) 優希が心の中でカウントダウンを始めた瞬間、中から鋭い女の悲鳴が聞こえ、思わず顔を半分覗かせた。 重厚な椅子に座った男の膝には優希に背を向けた女が座り、白い足を大きく広げている。 小刻みに揺れる肢体は汗をかいているのかしっとりとして見え、艶めかしかった。 吐息混じりの艶っぽい声に興奮したのか男の突き上げが早くなる。 女が体を反らすと隠れていた男の顔が現れた。 乱れた髪を汗に濡らし、情欲に染まった目で女を見つめるその顔は紛れもない夫で、優希の顔が絶望に歪む。 声が聞こえた時点で覚悟はしていたものの、他の女性との肉欲に溺れる暁春を目にすると、彼と過ごした5年間の温かく幸せな思い出が打ち砕かれるようだった。 胃から込み上げる何かを押さえようと手で口を覆うと、動く手が見えたのか、暁春の目が素早く優希の方へ向いた。 優希を認識した暁春の目は一瞬驚愕に固まるも、すぐに冷笑を浮かべたものになる。 そして何を思ったのか、自分の膝の上で喘いでいる女をひっくり返すと書斎机に押し付けた。 腰を突き出す形で腹ばいにされた女の顔はやはり有美で、夫と妹の衝撃的な不倫に優希の足はふらつき1歩踏み出した。
last updateLast Updated : 2026-03-30
Read more

76話 真実

叩いたり蹴ったりしても弱まらない力に焦った優希は、暁春の首筋に思いっきり噛み付いた。 それには暁春も思わず手を離し、よろめいた優希を将生は急いで抱き寄せる。 「…何故連絡を取っている?後悔すると言っはずだ。」 「もう離婚するのだから関係ないでしょう!!」 重く冷たい空気を纏った暁春に負けないようにと優希は声を張り上げ、暁春を睨みつける。 「…離婚?」 暁春が呟いた。 影で覆われた表情は相変わらず感情を読み取れないが、優希は怯まずに「そうよ。」といった。 しかし次の瞬間に笑いだした暁春の反応に優希は戸惑って眉を寄せる。 最初は小刻みに揺れて見えた肩に、泣いているのかと思い少し別れを悲しく思ったが、漏れ出た声が泣き声ではなく押さえきれなかった笑い声だと気づいて優希は困惑した。 「ククク…、離婚?そんなこと許すわけが無いだろう。お前は一生母さんと俺に償うんだ。」 「…おば様?」 どうしてここで美緒が出てくるのだと優希は困惑した。 「なんだ、償いは済んだと思っていたのか?」 嘲笑うような声に不吉なものを感じて優希の心臓の音が大きくなり出す。 「…あなたの不倫を受け入れることが償いになるの?」 「不倫?違うな。彼女とはお前と再会する前から愛し合っている。彼女こそが俺の本命、愛する女性だ。」 「……ならどうして私に近づいたの?」 震える優希の声を鼻で笑うと暁春が近づいてくる。 「はは、俺が本当にお前に惚れて近づいたと思
last updateLast Updated : 2026-04-01
Read more

77話 20年前

三滝家の現在の家業は優希の祖父が興した製薬会社で、優希の父、隆一はそこの一人息子だった。 癖毛で柔らかく跳ねた毛先と目尻の垂れた優しい目元、穏やかな微笑みを浮かべる口元は優しげで、実際に物腰は柔らかく性格も穏やかだったため、結婚相手として優良、とお見合いの話が絶えなかったそうだ。 隆一は会社の跡取りとして期待されたが、祖父の反対を押し切って医者を目指した。 しかし医師国家試験間近という時期に連れていかれたクラブで優希の母、舞と出会い、慣れない酒に酔った隆一が記憶のないまま一夜を共にした結果、舞は優希を身篭ってしまったのだ。 祖父母や親戚一同その子供を諦めるよう説得したが、真面目だった隆一は舞と結婚を決め、そして医者になれば急な呼び出しや夜勤もあるため、子育てをするなら製薬会社の跡を継いだ方が良いという舞の願いを聞き入れて優希が生まれる頃に社長となった。 慣れない仕事に忙しくしながらも、隆一は優希のことを愛娘としてとても愛情深く育てた。 母親の舞は胸の形が変わることを嫌がって母乳を与えず、服が汚れるからと優希の世話は基本的に隆一と雇われたシッターがおこなった。 しかし隣の老夫人も気にかけてくれ、優希は不自由なくすくすくと育っていった。 優希が物心着く頃には舞はただの同居人という感覚で、優希が愛着を見せていたのは隆一に対してだった。 優希が5歳の春、隣の家に男の子が産まれた。 車や飛行機が描かれた可愛らしい壁紙と、たくさんの贈り物に囲まれたベビーベッドに眠る暁春を優希は鮮明に覚えている。 窓から差し込む朝日が赤ん坊の柔らかい髪と頬を照らし、閉じられた目元に長いまつ毛の影を作っているのが当時お気に入りだったお世話人形みたいで可愛いと、優希はベッドにかじりつくように見ていた。 「暁春って言うの。弟だと思って遊んであげてね。」 ベビーベッドの横でその様子を見ていた美緒が優しく言い、優希の手を引いて柵の間から暁春の頬を触らせてく
last updateLast Updated : 2026-04-02
Read more

78話 恋の応援

舞は座る優希の肩をさすり、ため息をつきながら言った。 父親に対する優希の言動の酷さを叱りつけに来たのかと身構えた優希だが、予想外の舞の言葉に呆気にとられる。 「暁春くんのパパの方がいいよね?うちのパパなんて捨てちゃって、あっちのパパと暁春くんといっしょに住みたいよね?」 優希は別に英二のことは好きではなかったし、隆一を捨てたいという考えは持ってなかったが、暁春や美緒といっしょに住みたいのは以前からの願いだったので頷いた。 優希が頷いたのを満足気に見ると、舞は優希の頭を優しく撫でる。 「女の子がパパを嫌うのは普通のことなのよ。学校で習わなかった?女の子のパパは、娘を愛してるならそれも受け入れなきゃいけないの。」 初めて舞に撫でられたことで優希の胸に沸き起こったむず痒い気持ち。 いくら美緒に憧れ、美緒から優しくされたとしても、彼女は優希の母親ではなく暁春の母親だ。 無条件に甘えていい相手ではないことを理解していた優希は、自分の母親から優しくされたことがとても嬉しかった。 さらには優希が隆一にきつくあたるのは「普通のこと」と言われ、自分がおかしくなったわけではないのか、と、優希は小さく安堵の息を吐いた。 「ママね、英二さんとお付き合いしてるの。これは誰にも言っちゃダメよ?…英二さんとは真剣に愛し合ってるんだけど、いっしょにいれる時間が少ないの…。ゆうちゃんも好きな男の子いるんでしょ?好きな人といっしょにいたいママの気持ちわかるよね?」 クラスの友達が言っていた母親との内緒話。 密かに憧れていた優希は目を輝かせて舞の話を聞いた。 (…たしかに私ももっと話したいって思う
last updateLast Updated : 2026-04-03
Read more

79話 恥じる

「…私、おば様たちと暮らしたいって思ってたから…。お母さんとおじ様が仲良くなれば一緒に暮らせるって聞いて…。」 「ゆうちゃんそれを信じたの?僕のことはともかく、舞さんが母さんとおばあさんを受け入れるわけがないじゃん。この前来た時も母さんに酷いこと言ってたよ。舞さんは一番母さんを追い出したいんだ、この家の若奥様になりたいんだから。」 「…。」 「…ゆうちゃんだけなら歓迎するよ。でもいくらゆうちゃんでも母さんを悲しませる人を連れてくるのは許せない。」 俯く優希に子供らしからぬため息をつくと暁春は言った。 美緒たちを悲しませるのは本意ではないので、優希は二度と連れて来ないと約束した。 美緒が心配だから、と暁春がゲストルームを出て行くと部屋には沈黙だけが残った。 舞は英二と話してくると言いもうしばらく帰ってきていないが、毎回のことなので優希は気にせず布団に潜り込む。 2人が何をしているのか知らない優希は、美緒が寝室で涙を流していることも知らなかった。 暁春に約束した通り、優希は美緒のもとに舞を連れて行くことはしなくなった。 「次はいつ遊びに行くの?」と舞が聞いてきてもはぐらかした。 一度、舞が出張に行っている時に美緒から招待されたので遊びに行った時があったが、どこで知ったのか、舞はしばらく優希に不満をぶつけた。 「未来の家を隅々まで見ておきたい」と騒ぐ舞を少しめんどくさく感じて、優希自身もそれ以降は隣の家に遊びに行くことが無くなった。 美緒の元
last updateLast Updated : 2026-04-04
Read more

80話 妊娠を知る

「ゆうちゃん?」 門の中から優しい声で愛称を呼ばれ、優希の肩が跳ね上がった。 恐る恐る振り返ると、閉じた門の中に優しく微笑む美緒が立っている。 約2年ぶりの再会に美緒は目を細めて嬉しそうに笑い、門を開けるよう警備員に目配せした。 美緒は少し疲労の影が見えるも変わらず美しく、近づくと舞とは違う自然な優しい匂いがした。 以前と変わらない美緒に緊張の緩んだ息を吐くと、以前とは違うお腹の膨らみに気づく。 「おば様、もしかして赤ちゃんがいるの?」 「ふふ、そうなの。来月産まれるのよ。」 大きなお腹を両手で抱えながら歩くのは大変そうだが、穏やかな美緒の表情に優希は口元を綻ばせた。 玄関ホールに入り、リビングに通されるとそこには老夫人がソファに座っており、優希の姿を見るとすぐに駆け寄り抱きしめる。 変わらず優しい2人に優希は声を詰まらせながら「ごめんなさい。」と一言だけ言った。 秋口の柔らかい太陽がリビングを照らし、3人のわだかまりの影が消し去られるようだった。 「暁春は?幼稚園?」 しばらくして落ち着いた優希は鼻を啜りながら聞く。 「そうよ、ゆうちゃんは今日はお休みなの?」 「うん、学校の創立記念で休みだったの。」 美緒の隣にピッタリとくっついて座った優希は美緒のお腹を嬉しそうに見るとチラリと美緒を見る。 「いいよ」と言われるとそっと手をお腹に当ててさすった。 暁春の時は優希も幼く、ただお腹が固いとしか感想を持たなかったが、この時は中に生命がいることに感慨深い気持ちになった。 「産まれたらまたお祝いに来るね!」 またあの可愛らしい赤ちゃんを見れるのかと優希は目を輝かせる。 その後は暁春が帰ってくるまで待とうとなったが、夕方になる前に英二が先に帰ってきた。 舞と英二の関係に気づいてから優希はますます英二を苦手に思うようになり、英二の姿を見た優希は慌ててソファを立つと「もう帰るね。」といい玄関を出る。 リビングの扉のところに立つ英二の横を通り過ぎる時、舐めるような視線を感じて優希は背筋を凍らせた。 急いで自宅に帰ると案の定舞も帰宅しており、不機嫌そうにお手伝いさんに足を揉ませていた。 「もう、ゆうちゃんどこに行ってたの?もしかしてお隣に行ってたの?だめよ、ママも連れて行かないと。」
last updateLast Updated : 2026-04-05
Read more
PREV
1
...
67891011
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status