「……朱里、怒鳴って済まない。 でも、今はお前の身体を一番に考えるべきだ。何かあってからじゃ、遅いだろ」私は溢れた涙を拭えなくて、ただ下を向くことしか出来ない。「朱里、お前はもう、この仕事を引退しなさい。……お前には、やはり危険すぎる。 身体にも、負担がかかるし」「ボス……ごめん、なさい……ごめんなさい……」そんな私を優しく抱きしめてくれるボスに、私は涙が止まらなかった。「朱里……俺はお前が心配なんだ。お前がボロボロになってまで、あの男に復讐をしようとするんじゃないかって、心配なんだよ。……お前をこの世界に入れてしまったことを、俺は後悔しているよ」「っ……え……?」「お前が自分の身体を武器にしていることで、いつかこんなことになってしまうのではないかと……心配していた。 だが、俺の心配は的中した。だからその時俺は、お前をこの世界から引き離すことを決めていた。……こうなるずっとずっと前からだ」知らなかった。……ボスがそんなことを思ってくれているなんて、全然知らなかった。知らなかったからこそ、私はダメなんだと思った。「ボス……私……。私はっ……」「朱里、これからは普通の人間として、普通に生きるんだ」「普通に……生きる……?」ボスは私の手を優しく握りしめ「お前はまだ若い。まだいくらでも、やり直しがきく。……だから、お腹の子を幸せにすることだけを考えなさい」と言って、私の頭を撫でてくれる。「そんな……。そんなの、イヤです……」「朱里、お前は俺の大切な家族だ。 大切な家族を守るのも、俺の役目なんだ」「だって……私の居場所は、ここしかないんです。私は、ボスのために働くことが、生き甲斐なんですよ……?」「……頼む。分かってくれ、朱里」 「ボス……」そんなの、絶対にイヤだよ……。その時だったーーー。「おい。ボス、今の話はどういうことだ」ハルキが私たちのいる部屋に入ってきて、そう言った。「ハルキ……!?」「……お前、まさか聞いていたのか」 やばい。今の話、どこまで聞かれちゃったかな……?「朱里……お前、妊娠してるのか?」ハルキは私に視線を向けてそう聞いてくる。「……そうなんだな」そんなハルキに、私は「ごめん。雅人には……言わないで」と伝えたが、ハルキは「朱里、お腹の子の父親って……まさかボスか?」と聞いてくる。「え……?」
Read more