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5.翼を並べた男たち

 白鳥は整備エリア脇のベンチに腰を下ろし、水筒をあおった。 真壁の訓練は、今日も容赦がない。 的確だが冷徹な指示と、理論的で笑いを挟む隙もないカリキュラム。 訓練生の間では〝地獄の真壁班〟とまで、囁かれている。 しかし、指導そのものが行き過ぎてはおらず。 真壁のやり方で、訓練生の意識が向上することを、上も認めていた。 その日は、訓練基地に埴生二佐が顔を出した。 埴生は、航空幕僚監部付の視察担当官であり、現場畑を長く歩いてきた叩き上げの男だ。 訓練生の卒業にはまだ時間があるが、当日に〝お偉いさん〟をつつがなく案内するために、かなり前から下見と予定を組まねばならない。 将官には向かないと、自分で公言している男だが、顔が広く、調整や根回しが上手い。 訓練生はもとより、現役のパイロット達からの信任も厚いが、上層部からの信頼も得ている男である。「よう、タカ坊、元気でやってるか?」 汗を拭っていた白鳥に、埴生が声を掛ける。「えっ……? あ、埴生のおっちゃ……いえ、埴生二佐!」 慌てて敬礼をする白鳥に、埴生はゲラゲラと笑った。「さすがのタカ坊も、真壁班でしごかれりゃ、口の利き方ひとつ変わるか!」 埴生は、白鳥に取っては〝親戚のおじさん〟に近い存在だ。 白鳥の父・晴雄は、元は自衛官で糧食担当をしていた。 埴生は晴雄の同期であり、親友でもあった。 そもそも晴雄が自衛官になったのは、いわゆる〝資格コレクター〟の性癖持ちだったからだ。 めぼしい資格を取得したところで、晴雄は自分が〝調理〟関係の資格を全く持っていないことに思い至った。 そこで糧食に志願し、皿洗いから始めて料理を作るための修行に勤しんだ。 ところが、意外にも資格どうこうではなく、料理そのものが面白くなってしまった。 そして、隊で得られる調理関係の資格を取得し終わったところで、いきなり除隊したのである。 い
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「ところでタカ坊、真壁と随分、懇意なようだな?」「あ〜……」 白鳥は頭を掻いた。「教官と懇意って、やっぱマズいっすか?」「いや。真壁が一人の訓練生と、打ち解けることなんてなかったからな」「打ち解け……てます?」「確かに、キャッキャウフフな友達感覚……ってわけじゃないだろうが。……ただ、真壁があんなふうに笑っているのを見たのは、ずいぶん久しぶりなんでな」「……教官、笑ってます?」「お前といるときだけな」──あの、鉄面皮が……笑ってる? 白鳥はびっくりしたが。 しかしそんな白鳥の戸惑いに気付く様子もなく、埴生は続けた。「真壁は……、訓練生だった時に、機体トラブルで九死に一生を得てなぁ」「えっ……?」「市街地の真上でな。教官の若桐は、安全高度で真壁だけを逃がして、自分は機体を海まで運んだんだ……」 白鳥の目がすっと細められる。 埴生は、まるで落ち行く機体を目で追うような、遠い目をしていた。「……それで?」「機体が海に落ちる直前に、若桐も脱出はしていたんだが──。……遺体は、湾の沖合で、引き上げられたよ」 言葉が落ちて、風が吹いた。 海から遠いこの基地にも、あの日の潮の匂いがまだ残っているようだ。「空自のパイロットとしては、立派な最期だ。市民に一切の被害を出さなかったんだからな」「……世間の評価は、違う……?」「そりゃ、三桁億円の税金がチリと消えたんだ。当たり前だろう」 白鳥は、静かに息を吐いた。 その胸の奥で、知らなかった教官の〝過去〟が静かに形を持つ。 ポー
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 白鳥は真壁の部屋を訪ねた。 いつも通りの、ノック。 何も言わずに開けられるドア。 真壁は、淡々と白鳥を部屋に入れた。「教官……」 声を掛ける白鳥に背を向け、真壁は黙ったままフライトスーツのジッパーを下ろしている。「教官!」「なんだ? 余計なことを言わずに、用事を済ませてさっさと戻れ」「俺は、教官を抱きに来たんじゃない!」 本当を言えば、何をしに来たのか、白鳥自身にも分からない。 ただ、気付いたら真壁の部屋の前に来ていた。 背中越しに見た、その姿は──やっぱり、綺麗だった。 すらりと伸びた首筋、肩甲骨から腰にかけてのなめらかなライン。 細身なのに芯が通っていて、触れるたび、色気と静けさが肌に滲むようだった。 見るたびに〝触れたい〟が〝抱きしめたい〟に変わっていく。──この背中は、ずるいよな……。 白鳥は、まるで自分の感情を見透かされそうで、少しだけ目を逸らした。 肩越しに振り返った、真壁の横顔。 微かに眉を寄せたその表情は、白鳥が想像している苦々しいものでなく……。 むしろ、不思議そうにこちらを見ている。「今日……埴生のおっ……二佐が来てただろ?」「卒業式の式次第の確認に来られた。……知り合いだったのか?」「俺の親父の同期で……、子供の頃から良くしてもらってる……」「……そうか」 本当に、白鳥が今夜は〝別の用事〟で来たと確信したのか、真壁は服装を整えると改めて体ごと向き直った。「教官も、話をしてたよな?」「ああ……。仕事の……話だけだ」 そっけない返事に、白鳥の目が泳ぐ。
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6.墜ちる翼─悪夢2─

 鳴り響く、アラート音。 刺すような警告灯の赤が、コックピット内を焼く。 高度計が狂ったように数値を吐き出し、混乱する中、真壁は必死に機体を持ち直すための手段を探して操作を続けていた。 何かを叫んだが、喉が張り裂けるような痛み以外に、なにも思い出せない。「スロットル無反応、推力ゼロ!!」 聞こえてきた、若桐の声。 焦げた匂い。 燃える金属と、油の混ざった異臭。 視界の端で火花が散り、機体はガタガタと振動しながら、不安定に揺らめいている。「ここからは滑空だ……」 何度再起動を試みても、エンジンからの反応はない。 慣性だけで飛ぶ機体を、若桐が持てる技術の全てを使って、一秒でも長く宙にとどまり、安全域まで運ぼうとしている。「百合緒! 離脱しろ!」──教官! 若桐さん! それは、真壁が叫んだはずの言葉だ。 だが、夢の中では、いつも声にならない。 風防が飛ぶ。 座席が射出される、Gの感触。 たなびく煙と、不安定な機体が市街地の上を越えて、はるか海岸線へと墜ちてゆく。「百合緒……、…………だぞっ!」 手を伸ばし、叫ぶ真壁の耳に、最後の若桐の声が聞こえた……ような気がするのだが……。 それが現実だったのか、もう思い出せない。 時が経つにつれ、あの時の記憶の輪郭が失われてゆく。「──守さんっ!」 喉の奥からようやく叫んだ声で、目が覚める。「ああ…………、またか……」 真壁は両手で顔を覆った。 びっしょりとかいた汗とは別に、あふれる涙が止まらない。 息が……上手く出来ない。──どうして、最後
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7.卒業

 いつものように、部屋に戻った真壁はノートパソコンの画面を見つめながら、作業をしていた。 あれから、白鳥が何も言わずに距離を取っていることに、真壁は気づいていた。 訓練には遅れずに出席し、課題にも手を抜かない。 報告も正確、態度も丁寧。 だが、目は合わない。 同級生たちと笑い転げ、元気にしている。 彼が、真壁の部屋の前に現れなくなってから、一週間が経っていた──。 間近に迫った、卒業。 その名簿の中に、白鳥の名もあった。「もう……終わるんだな」 そう、終わるのだ。 この数ヶ月、自分の周りで起きた喧騒のような出来事が──。 真壁は、手を止めて背もたれに体を預けた。 この時期の張り詰めていて、しかしどこか浮ついた空気は、独特だ。──その中で、教官こそが平常を保たなければ。 訓練生たちの緊張を緩めつつ、浮ついた気持ちを地につける。 まさに〝平常〟をコントロールするのが、教官の務め……。 とそこまで考えて──。──これは、若桐さんの言葉だったな……。 チクリと、胸がいたんだ。 若桐との馴れ初めは、真壁のコンプレックスからだった。 真壁の同期は、いまだ〝バケモノ揃いの伝説〟と呼ばれている。 特に実技で特出している技能者が多く、体格も抜きん出ていたものが多かった。 その中にあって、真壁は自分が筋肉のつきにくい体質であることを悩んでいたのだ。 若桐は、当時の〝バケモノ班〟の教官だった。 気さくな男で、訓練生たちかも人気のある、兄貴肌。 真壁の──、ある意味、相談されても困るような悩みを、真剣に聞いてくれた。「そんなに気になってるなら、見せてみろ」 相談に行った教官の控室。 若桐は、穏やかに笑ってそう言った。 なので真壁は、シャツを脱いで背中を晒したのだが…&he
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 もちろん、教官の若桐と訓練生の真壁が〝付き合っている〟などと周囲に発覚すれば、どちらも処分を免れない。 二人の交際は絶対の秘密で、埴生すらも知らなかった。 真壁はデスクの上の箱を開け、中からリングを取り出す。 これは、若桐から真壁に贈られたものだ。「これは、俺がバアサンからもらったもんなんだが……」 と言って、いきなり金の指輪を出してきた。「こいつぁ、俺の祖母さんがくれたんだがな。ばあさん曰く『曽祖父は指輪外したせいで帰ってこなかった』んだそうだ」「ひいおじいさんも、パイロットだったんですか?」「特攻隊員だ。ま、つけてったって、帰ってこられるもんでもなかったろうな」 そう言って、若桐は笑った。 それからおもむろに真壁の左手を取ると、薬指にそのリングをつけてくれた。「やるよ。……なんて、俺も大概、迷信深いな」 照れ笑いに変わった表情を、覚えている。 金属の冷たさは、すぐにも若桐の体温で温まった。 決して公にはできない関係を、若桐が覚悟を持って自分と居てくれる。 その気持が形になったような気がして、嬉しかった。 だから真壁は、その指輪をドッグタグのチェーンに通し、常にポケットに入れて持ち歩いていた。 あの日も──。 射出の衝撃のせいか、ドッグタグは歪んでいた。 金の輪は、もはや指を通せぬ形に潰れて──。 まるで、自分を拒んでいるようだった。 この指輪に〝お守り〟の意味があるのなら──。 あるいは若桐が持っていれば、助かったのだろうか?
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 走る訓練生たちを、真壁は眺めていた。「この調子だと、ちょうど卒業の頃に咲きそうだなぁ」 いつの間にやってきたのか、真壁の隣に埴生が立っていた。 視線は、グラウンドの向こうに並ぶ桜を見ている。「そうですね。満開とまではいきませんが、綺麗に咲くんじゃないでしょうか」「今年も、一段落か。脱落者もなく、良かったな」「ええ。今年は、成績優秀者も多い」 気づけば、白鳥を目で追っている。 教官の立場──からではなく、個人的に気になっている。 それはもう、真壁自身も認めるところだった。「白鳥が、トップだって?」「実に優秀です。……将来が楽しみでしょう?」「なんだ、タカ坊から聞いたのか?」「白鳥の父上と、二佐が同期であったとか」「今度、一緒に飲みに行こう。白鳥のオヤジさんの焼き鳥は、なかなかウマイぞ」「ありがとうございます」 走る訓練生たちが、真壁と埴生の前を通り過ぎる。「タカ坊を見ていると、若桐を思い出すよ。正義感で、輪の中心に居て……。まぁ、若桐に比べると、タカ坊のほうがちぃとばかりガタイはでかいがな」 走る白鳥を見て、埴生が言った。 グラウンドを走る白鳥は、規則正しく足を運び、体幹のブレもなく前を見ている。──そうだ。僕も最初は、彼に守さんを重ねていた。 だが、違う。 若桐を失った喪失感は、誰にも埋められはしない。 白鳥は、白鳥なのだ。「いえ……、似てないと思います」「そうか?」「はい。若桐さんは、もっと落ち着いた大人でしたし、統率力も決断力もあって、頼れる人でした。……でも、白鳥は落ち着きがなく衝動的ですし、やれば出来るから手抜きをしますし……」「おいおい、タカ坊はいいとこなしかよ?」「いえ、白鳥は白鳥なりに、守るべきものを守りたい気持ちがありますし、一本気
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8.彼方の空─悪夢3─

 警告アラートが鳴り響く。 高度計が目まぐるしく回り、急速に機体が落下していく。「教官! エンジン再起動、無反応! 再点火しません!」「こっちも駄目だ……。スロットル無反応、推力ゼロ!!」──ああ、またあの夢か……。 だが、いつもと違って、真壁はまるで俯瞰した第三者のように状況を眺めていた。──若桐さんが、複座の射出操作をする。 体にGが掛かり、真壁は空へと放り出される。「百合緒! あとを頼んだぞ!」 通信気に入った、若桐の声。──そうだ。若桐さんは、最後にそう言ったんだ。 真壁が自身のコンプレックスを打ち明けた時に、若桐もまた自分の秘密を打ち明けてくれた。 若桐は、内耳に持病を抱えていた。「急旋回や加速に弱くてな。スクランブル要員にはなれなかったのさ」 少し寂しそうな様子を見せたが、すぐにもニヤッと笑い──「俺の代わりに飛んでくれる奴らを育てることにしたのさ」 力強く、そう言った。「俺なんぞよりも、百合緒みたいなタイプのほうが、教官としては理想なんだろうけどな」「僕が……人を導けるでしょうか?」「その生真面目な性格、所作の美しさ。おまえの背中を見れば、みんな黙ってついてくるさ。俺がへつらう教官なら、おまえは〝魅せる〟教官だろうな」 成績は優秀でも、真壁には決定的な自己肯定感が足りていなかった。 それは、若桐と付き合っていく過程で、ずいぶん補われてはいたが。 若桐に対する尊敬からの、一種の刷り込みに近い宗教にも似た感情から、真壁は自身の進路に〝教官職〟を希望していた。 若桐の「あとを頼んだ」は、それを決めた真壁に、自分の意思を継いで、後継者を育て続けて欲しい──そのために、おまえは生き残れ……という言葉だった。「守さんっ!」 叫んで、目が覚めた。 相変わらず、涙が止まらなか
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9.贖罪

 晴天。 雲ひとつない、見事な青空だった。 訓練課程修了者を送り出すための、卒業式。 整備された滑走路脇に整列する生徒たちの列。 指導をした教官として参列しながら、真壁はそれをどこか遠くに感じていた。 式のあと、ホールに用意された記念祝賀会は立食式の懇親会だった。 真壁は労いに来た幹部に挨拶を済ませたあと、会場内に白鳥を探す。 彼は、友人たちと話をしていた。「白鳥」「……教官殿……」 生真面目で、淡々とノルマを課してくる真壁は、訓練生との距離もさほど近くはない。 唯一、個人的に話をするのは、自分から真壁に声を掛けにいっていた白鳥だけだ。 白鳥を残し、他の訓練生はなんとなく場を離れていった。「……何かご用ですか?」「少し、時間をもらえるだろうか?」 真壁の言葉に、白鳥は微かな驚きを瞳に浮かべた。「俺は……もう訓練生じゃありません。命令はきけませんよ」「訓練生だった時から、僕が無茶な命令をしたことはない」 ずっと曖昧に──。 体に触れることですら、はっきりと意思を示したことがない真壁が、断定的な言葉を発したことに、やはり白鳥は驚いたようだった。「……なんでしょう?」 きちんと話を聞く姿勢になった白鳥に対し、真壁は真っ直ぐに目を見たあと、スッと頭を下げた。「白鳥、すまなかった」「……え……っ?」 会場には、多くの来賓なども集まっている。 その真ん中で、訓練生だった白鳥に、教官だった真壁が頭を下げた。 それは、異様な光景に写っただろう。「な……なんで……っ!」「僕は、君のその真っ直ぐな心根を、ただの〝熱意〟としてしか見ていなかった。君が勇気
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 ホールを追い出されたところで、白鳥は真壁を見た。 真壁は、視線を逸らさずに白鳥を見つめている。「急に……どうして……?」「言葉通りだ。僕は、きみが僕を想ってくれている気持ちに、最初から向き合っていなかった。逃げていた……」「でも……俺も、教官殿が、その……、してるとこを覗き見て、そんで付け入ったとこもあるし……」「きみの指摘の通り、僕は……若桐さんを失った寂しさを、きみで補おうとした。そんなことは、きみに対して、とても失礼だ」 白鳥は、真壁の目を見た。 そして改めて、自分は〝初めて〟真壁と会話をしている……と思った。 真っ直ぐに立つ、真壁の佇まい。 その凛とした立ち姿と同じように、真壁の言葉は真っ直ぐだった。「俺は……、その若桐って人に、似てるんすか?」「いや。きみと若桐さんは、全く似ていない」 冷徹の仮面を外した真壁は、真摯で誠実な光を、その瞳に湛えている。 その姿に、改めて強く惹かれていることを、白鳥は自覚した。「教官殿は、その若桐って人のことが、好きなんでしょう?」「愛していた。……でも、もう戻らない過去の話だ」 視線は、揺るがない。「……じゃあ」 白鳥は、一度深く、息を吐く。 そして一歩、真壁に近づいた。「俺との付き合い、考えてくれるって思って、いいんすかね?」「きみがまだ、僕を求めてくれるなら」 はっきりと、真壁はそう言った。「百合緒さんって、呼んでもいいっすか?」「……好きにしろ」 白鳥は、どこか照れくさそうに笑った。「じゃあ、今から部屋に行っ
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