警告のアラートが、けたたましく鳴り響いている。 ほんの──。 ほんの数分前までは、穏やかな空を実地訓練で飛んでいただけなのに。「教官! エンジン再起動、無反応! 再点火しません!」 主座の真壁が、この緊急時でも落ち着いた声で、手順を守った回避行動を取っている。 なんと頼もしいことか。「こっちも駄目だな……。スロットル無反応! 推力ゼロ!」 俺も計器類をチェックし、出来る手段を講じてみるが、機体はなにも応じてはくれない。 きちんと整備されているはずの機体が、左右揃って止まるなんて……ありえるか? 俺はコントロールにエマージェンシーを伝え、もう一度エンジンを点火させるために再起動を試みた。 途端に、嫌な音がして一瞬機体が揺らぐ。──こりゃ、火ィ吹きやがったな……。 片肺は無反応、片肺は炎上。 いまや、高性能戦闘機は、ゴムで飛ばした紙飛行機と同じ原理で空中を滑空している鉄の塊と化した。「百合緒! 脱出しろ!」 俺は、主座の真壁にかなりきつめの命令口調で叫んだ。「教官は……、若桐さんはどうするんですかっ?!」「下見ろ。ここは市街地だ。機体を放置するわけにはいかん」「なら、僕も……」「莫迦ヤロウ! 少しでも機体軽くして、長く飛ばしたいんだよ! ひよっこは黙ってろっ!」 俺は、真壁の強制射出ボタンを押した。「若桐さん! …………守さんっ!」 あの真壁が。 訓練中は、決して──目配せの一つもせずに、私情を押さえていた真壁が。 その瞬間、俺の名前を叫んでいた。 すまん、百合緒。 本当を言えば、俺だっておまえを残して逝くのは、心のこりだ。 規律違反と分かっていて。 バレたら一発で懲戒免職
Terakhir Diperbarui : 2026-02-21 Baca selengkapnya