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Semua Bab 空に墜ちる: Bab 41 - Bab 50

54 Bab

2-14:空に墜ちる

 警告のアラートが、けたたましく鳴り響いている。 ほんの──。 ほんの数分前までは、穏やかな空を実地訓練で飛んでいただけなのに。「教官! エンジン再起動、無反応! 再点火しません!」 主座の真壁が、この緊急時でも落ち着いた声で、手順を守った回避行動を取っている。 なんと頼もしいことか。「こっちも駄目だな……。スロットル無反応! 推力ゼロ!」 俺も計器類をチェックし、出来る手段を講じてみるが、機体はなにも応じてはくれない。 きちんと整備されているはずの機体が、左右揃って止まるなんて……ありえるか? 俺はコントロールにエマージェンシーを伝え、もう一度エンジンを点火させるために再起動を試みた。 途端に、嫌な音がして一瞬機体が揺らぐ。──こりゃ、火ィ吹きやがったな……。 片肺は無反応、片肺は炎上。 いまや、高性能戦闘機は、ゴムで飛ばした紙飛行機と同じ原理で空中を滑空している鉄の塊と化した。「百合緒! 脱出しろ!」 俺は、主座の真壁にかなりきつめの命令口調で叫んだ。「教官は……、若桐さんはどうするんですかっ?!」「下見ろ。ここは市街地だ。機体を放置するわけにはいかん」「なら、僕も……」「莫迦ヤロウ! 少しでも機体軽くして、長く飛ばしたいんだよ! ひよっこは黙ってろっ!」 俺は、真壁の強制射出ボタンを押した。「若桐さん! …………守さんっ!」 あの真壁が。 訓練中は、決して──目配せの一つもせずに、私情を押さえていた真壁が。 その瞬間、俺の名前を叫んでいた。 すまん、百合緒。 本当を言えば、俺だっておまえを残して逝くのは、心のこりだ。 規律違反と分かっていて。 バレたら一発で懲戒免職
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-21
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3-0.プロローグ

 最初の切っ掛けがなんだったのか、わからない。  ただ、ある時を境に、白鳥は〝焦らなく〟なった……と真壁は感じていた。 最もそれは、真壁が一方的にそう思っているだけかもしれないが……。 ビジネスホテルの一室。  現在は三沢勤務の白鳥と休暇を合わせ、東京でデートをした。  ソファで並んで座り、他愛のない会話をしながら、コンビニで購入した食品で適当な夕食を過ごす。  教官の真壁と、まだ三尉の白鳥。  洒落たレストランで食事をするのは、人目も気になるし、肌にも合わない。  故に、逢瀬の時はホテルでコンビニ飯か、せいぜい途中で買った駅弁で済ませることが、なんとなくお決まりのパターンになっていた。「それで教官殿、どう返事したんですか?」 「どうもこうもない。校庭20周を追加した」 「相変わらず、厳しいなぁ!」 あははは……と笑った白鳥の肩に、真壁はふと──頭を預けた。「……えっ……? 教官殿、どうしたんです?」 「別に。……寄り掛かりたくなっただけだ」 白鳥は、真っ赤な顔で黙り込む。  が、おずおずと真壁の肩に腕を回してきた。 真壁がチラと見上げると、こちらを伺っていたらしい白鳥が、慌てて目線を逸らす。「……貴雄」 「はいっ! ……えっ? 今、名前……」 慌てる白鳥に、真壁はそっと顔を寄せる。「きょ……教官殿?」 黙って、真壁は白鳥の唇を吸った。「あ……」 肩を抱いていた手に力がこもり、グイと抱き寄せられる。  力を抜いて体をあずけると、白鳥はより深く口付けるように、舌を差し入れてきたのだった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-22
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3-1.悪夢

 それは、まだ春先。 白鳥に、三沢への転属命令が降りた。 泊まりのデートのついでに、真壁にその報告をする。 すると彼は、祝いにとスパークリングワインを購入し、ホテルの部屋に持ってきてくれた。 プラスチックのコップに、惣菜のからあげ。 色気も素っ気もないが、それでもワンランク上のスパークリングワインを用意してくれた真壁の心遣いが嬉しかった。 その晩。「……っ、……ぃゃ……っ!」 深夜に、隣の気配で目が覚めた。「嫌だ! 待ってっ! 守さんっ!」 叫び声と同時に、真壁がガバと飛び起きる。「……百合緒さん……?」 こちらを見た真壁は、一瞬──そこにいるのが誰なのかわからないような顔をしていたが……。 瞬きを数回したのちに、ハッとなった。「……すまん、白鳥……。起こしたか」「いえ、それは全然、構わないんですけど」 表情を見られたくない……とでも言うように、真壁は手で顔を覆い、俯く。 呼吸は荒く、冷たい汗をかいているようだった。「……あの時の……夢を?」「うん? ……ああ……」 声は、震えている。 しかしその背中は、白鳥が触れることを拒絶しているようにも見えた。「頻繁に、見るの……?」 泊まりで逢瀬をしたのは、初めてではない。 だが、今まで深夜にこんなことになったことはなかった。「時々……だ。……最初の頃に比べたら、回数は減った」 最初の頃…&hel
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-23
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3-2.静浜 -往路-

 三沢への転属を前にして、白鳥は静浜基地に向かっていた。 簡単な書類の受け渡しのようなもので、実のところわざわざ白鳥が出向く必要もなかったが。 上層部の顔を立てるような……些末だが疎かにはできない〝人間関係〟の都合だった。 正直、行かなくても困らないが、行けばなんらかのプラスになる用件。──ぶっちゃけ〝点数稼ぎ〟でしかないけど……。 だが、静浜へ行けば真壁に会える。 さらにいえば、白鳥にとって〝静浜〟という場所は特別な思い入れがあった。 真壁と出会った場所。 行けば、真壁に会える場所。 そして──真壁と若桐が出会った場所。──最後の一つは、俺に取っちゃ余計だけど……な。 しかし、その〝余計〟なことは、現在も白鳥に深く関係がある。 最後の逢瀬は、深夜の真壁の悪夢騒ぎで、──正直〝台無し〟にされた感が否めない。 別れ際の甘い時間も、なにもかも。 真壁の謝罪に、全部塗り替えられてしまった。──つっても、教官殿の所為でもないし。 責めることはできない。 真壁の心に傷が残っていることを、知っていて付き合う選択をしたのは自分自身だ。──もうちょっと、時間の余裕があればなぁ……。 恐縮した真壁の気持ちを、もっとほぐしてから別れられたら良かったのに……と、後悔が滲む。 なにしろ真壁は、根が生真面目ゆえに一つのことを気にしやすい。 軍人としてのメンタルは、生来の強情っぱりな気質から鋼を保てるが。 ことが一旦プライベートになると、自己肯定感が低くて落ち込みやすいのだ。 だからむしろ、今日会って話ができれば、三沢に立つ前にすこしは気持ちの切り替えが出来るかもしれない。 バス停に降り立つと、身を包む春風が心地よい。 白鳥は、足取りも軽く歩き出した。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-24
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§

 しばらく歩くと赤と白のアンテナタワーが見えてくる。 しかし白鳥はそこで、ふと……来た道を振り返った。──なんだ……? 言いしれぬ、違和感があった。 なにが……と、はっきり説明が出来ない。 静浜への道は、何度も来た道だ。 訓練生時代は営舎で暮らし、休みのたびに町に繰り出すために通った。 だから〝見慣れた〟道である──はずだ。 しかも、自分が卒業してから数年経っている。──だからって、そんなに変わるか? それ以上に──。 そこで〝なにが変わったのか?〟と問われても、具体的に述べることができない。 牧歌的な畑が広がる景色も、穏やかな住宅街と工場が並ぶ町並みも、平和そのものだ。 奇妙な違和感を強いてあげるならば、いつもと同じく何気なく通り過ぎた神社の前で、奇妙な……立ち眩みのようなめまいを感じた──ような気がしただけだ。 ぐるりと周囲を見回し、空を見上げる。 どこまでも青く、透き通った視界には、雲一つない。 風も穏やか。 だが、奇妙な──胸騒ぎのような感覚が止まらない。 訓練機が飛び立つ音。 人影の少ない道。 しかし、そこで考え込むように周囲を見回していたら、ふと入口の警備と目があった。 思い切り、不審な顔でこちらを見ている。 ハッとして、白鳥は慌てて門を抜けた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-25
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3-3.静浜 -若桐守-

「白鳥三尉ですね。案内します」 事務室で待っていた士長が、慣れた調子で白鳥を迎える。 静浜での業務連絡はほんの数分で済んだ。 時計を見れば、まだ昼過ぎ。──せっかくだから、教官殿の顔を拝んでから帰ろう。 そう思って、白鳥は基地の外縁部に向かって歩き出した。 すると、その時。 前方から、数人の教官が歩いてくる。──えっ……? 白鳥は、思わず立ち止まった。 見覚えのあるその男は、しかし白鳥の見知っている顔よりも少し老けて見える。──まさか……? だが、自分はその男の顔を写真で──しかも2回ぐらいしか見ていない。 本当に同一人物かどうか、白鳥には判断しかねた。「あっ、埴生さん!」「おお、元気にやってるか、若桐!」 白鳥の背後から、聞き慣れた声がする。 そして、白鳥を追い越してそこで立ち話を始めたのは、紛れもなく、自分が見知っている埴生一佐だ。──埴生のおっちゃん、はっきり〝若桐〟って言った……。 白鳥は、慌てて踵を返すと、その場を離れた。 なぜかわからないが、今、この場で埴生と顔を合わせるのは〝マズイ〟と感じたのだ。──若桐守……? でも、あの人は死んだって、百合緒さんが言ってたのに……。──てか、そもそもあの人が生きてたら、百合緒さんがPTSDで苦しむこともない……はず……? 意味がわからない。 冷や汗が、首筋をつたう。──……どういうことだ? 植え込みの陰にしゃがみ込み、白鳥は頭を抱えた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-26
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§

 白鳥は、急いで教育棟に向かうと、教員名簿が見られる場所に向かった。 講義の時間割と、担当教官の名前が一覧になっている。──若桐……若桐守……。あった! そこに、確かに名前と写真がある。 間違いなく、それは真壁が持っていた写真の人物だ。──もし、若桐教官が生きていたら、今は……44歳? そうか、だから俺が知ってる顔より老けてるんだ。 理由はわからない。 が、白鳥はSF小説が理解できないほどの朴念仁でもなかった。──意味はわからない……。でも、神社の前で感じたあのおかしなめまいのせいだ……。ここは……俺の知らない静浜だ……。 白鳥は、考える。 悪夢にうなされていた真壁の、悲痛な声。──そもそも、百合緒さんがどうしても忘れられない若桐って、どんなヤツだ? 自分が異界に招かれたことよりも先に、それが頭に浮かんだ。 純粋に、興味が湧いた。 教官として信頼し、体に自信が無いことを相談した相手。 真壁の初めての恋人であり、命の恩人。 真壁の言葉の端々に、若桐への揺るぎない憧憬が滲んでいる。──本当にすげぇのか、単なる刷り込みなのか……? 見極めたい気がしてきた。 同時に、それを見極めた時に、自分がなにを感じるのだろう? と思った。 白鳥は、無意識にポケットの中で、指をぎゅっと握りしめていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-27
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3-4.静浜 -真壁百合緒-

 白鳥は、グラウンドの見渡せるベンチに座っていた。「見ない顔だな」「白鳥三尉です。訓練見学で来ました」 若桐に声を掛けられたところで、白鳥はきちっと立ち上がって敬礼をする。「見学ぅ〜? 聞いてねぇぞ」「はい。休みに自主的に見に来ただけなので」「休みに? 三尉が? 訓練見学?」 若桐は、不審な顔で白鳥の姿を上から下まで眺めたが。 着ている制服も身分証も、正規のものだ。「ふうん……。ま、時々変なのはいるからな。そう固くなんな。今は昼時で、誰もなんもやってねぇけど……」 案内するように、若桐は先に立って歩き出した。 白いものが混ざり始めている頭髪。 先を行く背中は、姿勢は良いがさほどの強靭さは感じない。──なんか、動いてるの見ても、しょぼいおっさんにしか見えないんだよな。 若桐は、滑走路脇のベンチに向かう。「飲むか?」 フライトスーツのどこから出したのか、缶コーヒーを差し出された。「ありがとうございます。いただきます」 座った若桐が、缶の蓋を開ける。 微糖ブラックと書かれた青いラベルを眺めてから、白鳥も蓋を開けて、一口飲んだ。「若桐さん!」 二人が歩いてきた方向から、後を追うような、走る足音が聞こえた。 振り返ると、目に入ったのは背の高いシルエット。──百合緒さん……。 手を振り、向けられた笑顔の屈託の無さに、白鳥は心臓が跳ね上がった。 真壁の視線は、真っ直ぐに若桐へと向けられている。「おう、真壁。……どうした?」「はい。ちょっと市ヶ谷に用事があったんで、少し足を伸ばしました」「市ヶ谷と静浜は、ちょっとって距離じゃねぇだろ?」「福岡と静浜なら、市ヶ谷なんてちょっとです」 そこに白鳥がいることなど、目に入らないように。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-28
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§

 真壁が去ったところで、若桐が振り返った。「すまんな」「いえ……」 若桐が再び隣に座ったところで、白鳥は持っていた缶をギュッと握る。「あの……、今の人は、教官の恋人かなにかですか……?」 白鳥の問いに、若桐は一瞬ギクリと肩を強張らせたが……。 絶対の秘密を、そこで打ち明けるような男ではなかった。「そんなふうに、見えたか……?」「ええ、まぁ。……俺にも、隊の中に付き合ってる相手がいるんで」 白鳥の告白に、若桐は少し困った顔をする。「あまりそういうことは、軽率に口にすべきじゃないな」「軽率なつもりはありません。同じニオイがしたので、打ち明けました」 若桐は、深く深くため息を吐く。「じゃあ、まぁ、そういうことにしておくか」 その返事は、つまるところ、肯定ではあるが。 どちらかと言えば、教育者らしい〝相談に乗る〟姿勢にも見えた。「俺の恋人は、訓練中に事故があって、当時付き合っていた恋人を失いました」「おいおい、いきなりヘビーなネタをぶっこんできたな」「ずっと、そのことで苦しんでて。俺との付き合いも、最初は断られました」「まぁ、普通に考えたら、手を出すべきじゃない相手だな」 若桐の答えに、白鳥は少し腹がたった。「じゃあ、放っておけって言うんですか?」「覚悟もなく手を出せば、どっちもより深く傷つくだけだろ」「……それは……、理性的な大人の発言ですが……」 言い募る白鳥を、若桐はチラと見やる。「死んだ恋人ってのは、心の中で美化もされやすい。その相手を凌ごうと思っているなら……。はっきり言うが、諦めたほうが良い」「でも…&
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-01
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3-5.静浜 -帰路-

 基地を出た白鳥は、門の前でほんの少しだけ考えた。 見上げると、やはり空はどこまでも青く澄んでいる。──おとなしく、来た道を戻るべき……なんだろうな。 この〝知らない静浜〟に来てしまった理由は、分からない。 が、戻るには同じ道を通るべきだろう……と、なんとなく考えた。 分かれ道を、左へ進む。 神社の前を通り過ぎた瞬間に、急になにもかもがクリアになったような気がした。 遠くに聞こえる訓練機の飛行音。 道路を走る車。 風に揺れる葉擦れの音。 確かに見ていたものが──。 まるでセピア色に彩られた世界から、現実に戻ったような……奇妙な感覚。──俺は……、百合緒さんの過去も、影も、全部わかってるつもりだった。──でも、知ってるからって理解しているわけじゃない。 立ち止まり、白鳥は大きく深呼吸をする。「俺の百合緒さんのところに、帰ろう!」 わざと、声に出して言ってみる。 真壁が何度、悪夢を見ようと。 その時に、どれほど拒絶をされようと──。 自分は、真壁を忘れることなどできない。 誰よりも、あの年上の──仕事には冷徹だが、プライベートはぼんくらな男を愛している。 だから、なにがあっても。 真壁が、心を開いてくれるまで。 その傷に、触れることを許してくれるまで。「一緒に、道を探しましょう、百合緒さん」 自分に言い聞かせるように、白鳥は言葉に出して言った。 青い空の向こうで、訓練機の光がひとつ、白く瞬いた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-02
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