All Chapters of 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい: Chapter 161 - Chapter 170

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第161話

「奥様も旦那様のご指導があればきっとすぐに上達されますよ!」朔也はその言葉を聞いて、ほんのりと口元を緩めた。「口がうまいな。後でチップを受け取りに来てください」「朔也さん……」他人から二人がカップルだと言われて、ここまで嬉しがることもないだろうに。だがなぜか、莉亜も朔也の気分に影響されたように、その後は笑顔を絶やさず、学び続けた。二人で一日中ゴルフをして過ごしたが、朔也はデートの話を一切持ち出さず、莉亜は逆に意外だと思った。彼のこれまでの態度や発言からすれば、一日デートを心待ちにしているはずなのに、今はまるで特別な感情を見せていない。彼女にプレッシャーをかけたくないから?それとも……考えていると、突然、潤が電話をかけてきた。その名前の表示を見ただけで、もう嫌悪感が湧いてきたが、それでも出た。「何か用?」「今夜会社のパーティーがある。お前も一緒に出席してくれ」莉亜は冷笑した。「今夜?何かイベントがある時は事前に連絡すると約束したはずよ。こんな急な予定は受け入れられないわ!それに今夜は既に予定が入っているの」そう言い終えると、すぐに電話を切った。潤がこっそり財産を移させていなければ、莉亜はまだ彼と表面的な平穏を保ち、少しは演技を続けるつもりだった。今となっては、図々しい人間にまで顔を立てる必要はない。電話を切った後、莉亜は朔也の満足げな笑顔を見た。「やっと、無理に彼らに合わせる必要はないと気づいたんだね?」莉亜は眉をひそめた。「ただ彼のこっそりと財産を移す行為を軽蔑しているだけ」良心が少しでもある男なら、ここまですることはないはずなのに。朔也は軽く笑った。「では、彼が今夜何をするか事前に考えた?パーティーは確実に開かれるぞ」莉亜は首を横に振った。「彼が何をしようと、私は気にしない。どうでもいいことだもの。ゴルフを教えてもらったから、今日はご飯をおごるわ」彼女が本当に潤を気にしていないようだと見て、朔也の口元の笑みが少し深くなった。一方その時、潤は自分の携帯の画面を見つめてぼんやりしていた。先ほど、朔也と莉亜が一緒にゴルフをしたと聞いたばかりだ!この二人はまだ連絡を断っていないばかりか、一緒に出かけているだと?しかも二人の様子が非常に仲睦まじかったと聞いた!なぜ兄は
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第162話

美琴はすぐに不満そうな表情になり、潤の腕を抱く手に力を込めた。あの女の姿を思い浮かべると、心の底にまた嫉妬が湧き上がる。もし今日、莉亜が潤の誘いを断らなかったら、あるいは二人の間に何かが起こらなかったら、このチャンスは絶対に自分のものにはならなかったと、彼女は分かっていた。この数日間、潤は莉亜に協力させ、仲睦まじい夫婦を演じさせ、会社の損失を取り戻すために全力を尽くしていたからだ。二人が連れ添う姿や、世間の注目を浴びる様子を見て、美琴は死ぬほど嫉妬していた!今、莉亜がチャンスを与えてくれたのだから、絶対にうまく利用しなくては……「潤、あっちへ行きましょう。取引先の方も参加されてるんじゃない?」美琴は自ら進んで潤の手を引いて向かった。だが、二人がパーティーに出席したことはすぐに広まった。一昨日まで世間の話題は潤と莉亜だったが、今夜は美琴へと変わった。三人の関係はますます不明になっていく。莉亜が食事をしていると、携帯が震え続けた。どうしたのかと思い、それを確認すると、玲衣が何通かメッセージを送ってきていた。開けてみると、莉亜は目を大きく見開いた。「この最低なクズ男」朔也は莉亜の表情を見て、何かを察した。「まさか、生田美琴を連れてパーティーに出席したのか?」「ええ……」莉亜は眉間を揉みほぐした。「だったら私が彼とパーティーに出席して、一緒にいる姿を見せたのは何のため?あの女を連れて出席するなんて、わざと私を侮辱しているみたいじゃない」朔也は箸を置いた。「彼が財産を移動させた時、何かやらかして、もう君はいらなくなったと思ったんだろう」莉亜は我慢できず、何通かメッセージを送って潤を非難した。あの時の記者会見のパーティーにも行かなければよかった!パーティーでは潤に薬を盛られ、もし朔也がいなかったら……思い返して、莉亜は下唇を強く噛んだ。自分がメッセージで非難したところで、何の意味もないことは分かっていた。潤にとって、美琴を連れて出席したということは、もう何も恐れるものがないと思っている証拠だ。まさか、前と同じような言い訳を繰り返すつもりか?例えば、自分と美琴こそ本当の夫婦で、莉亜との結婚は偽物だとか?考えるうちに莉亜は眉間を揉みほぐし、まだ何か言おうとしたが、朔也の声が先に聞こえ
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第163話

【莉亜、君が一番好きなホワイトローズを家まで送ったんだよ!】【今日は出かける?会って話せないかな?】莉亜は無表情でそれらを見つめた。結局、おかしくて笑いたくなった。朔也の言う通り、潤は莉亜がスポンサーだと知って、たちまち態度を変えた。これだけ手の込んだご機嫌取りと献身的な態度は、明らかに莉亜に会社への投資を続けてほしいからだ。残念ながら、莉亜は今、どうすれば潤に更なる損失を負わせ、自分が身を引けるかを考えていた。花のことなら……まだ見ていないが、おそらく月ヶ丘に届けられたのだろう。莉亜は立ち上がり、部屋を出ると朔也の姿はなかった。彼女もここに毎日住むわけにはいかない。ここ数日、様々な出来事で朔也にここに連れてこられていた。二人は恋人同士ではないのに、なぜかとても親密なことを多くしてしまった。莉亜はペロリと舌を出し、ひとまずそのことを無視することにした。月ヶ丘に戻ると、入口に置いてある葉も一枚もない枝を見つけた。潤はホワイトローズを送ってきたのじゃないのか?どうして枝だけ?でも彼のご機嫌取りは演技には見えない。潤がわざと彼女を怒らせようとしているとも思えない。考えていると、家の中から物音がした。莉亜がドアを開けると、中には朔也と使用人がいた。莉亜が入ってくると、朔也の険しい表情が少し和らいだ。「戻ってきたのか?」「何してるいるの?」莉亜が顔を上げると、机の上に花が置かれていた。「花を解体してどうするつもりなの?」しかもたくさんのホワイトローズの花びらだけ集めると清らかな感じがした。使用人が小声で言った。「実は、旦那様からこれでお菓子を作れと言われまして……でも全部ホワイトローズなので、どのような食用着色料で染めるか相談していたところで……」莉亜は言葉を失った。だから入口にあんなに葉のない枝が捨ててあったのか。莉亜は眉をひそめた。「誰が贈ったか分かってるんでしょう?」でなければ朔也はこんなに怒らないはずだ。朔也はうなずいた。「分かってるからこそだ」彼は帰ってきてすぐにあの花を見て、頭にきてすぐに使用人を呼んだのだ。莉亜は朔也をしばらく見つめ、思わず笑ってしまった。「あなた本当に子供みたいね!お菓子にしたって誰も食べないのに、無駄な手間をかけておいて
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第164話

もし潤が浮気をしてすぐに莉亜に打ち明けていたら、二人はここまで醜く争うことにはならなかったかもしれない。この親子は本当にそっくりだ。莉亜はそう思いながら口元に冷笑を浮かべ、もう一度強調した。「薫子さん、私が前に言ったでしょう。潤に早く生田さんと別れさせて、そうすれば私たちの関係にもまだヨリを戻す可能性があるって。あなたも私を助けると言ったのに、結局どうなったの?あの二人はまだくっついているし、私と潤が演技を始めた後でさえ、彼は生田さんを連れてあちこち回って私のメンツをつぶした。これが正しいことだと思う?」薫子の口調は急にうやむやになった。「だって美琴さんが妊娠してるんだから、潤は子どもには何の罪もないと思ってるのかも……」莉亜はもう耐えられなかった。「二人の子どもには罪がないって?浮気した二人の子どもが潔白だなんて、笑わせるわね。早く堕ろせばこんなに非難されずに済んだのに」「何てことを言うの!あの子はまだ生まれてもいないのに、どうして潔白じゃないのよ。あなたは一人の子どもさえ受け入れられないなんて、どうしてそんな……」薫子が焦って言いかけると、その発言が不適切だったことに気づき、急に口をつぐんだ。莉亜の心の中ではさらに皮肉な笑いがこみ上げ、何も言わなかった。しかし、莉亜が会社に投資していることを考えると、薫子はやはりこの都合のいいカモを手放すには惜しく思った。「莉亜さん、本当にここまで大きく騒ぐ必要はないわ。あなたと潤は仲良くしていればいい。美琴さんの子どもが生まれたらあなたたちが育てなさい。その時は彼女を追い払ってあげるわ。あなた、前に子どもを産むつもりはないって言ってたでしょう?ちょうどいいじゃない」「あなた、それ本気で言ってるの?」莉亜はもう少しで笑い出しそうになった。この親子、今やここまで狂っているのか?美琴に子どもを生ませて莉亜たちに育てさせ、それ以上に、二人が別れるのを一切許さないという意味なのか。薫子はまたもっともらしいことを言った。「実は私の言うことも一理あるじゃないの。あなた、前に体調が悪いって言ってたから……」「もういい!私の要求は簡単よ。今はあの二人を別れさせなくていい。ただ私が潤と別れたいだけ」莉亜はそう言うと電話を切った。薫子は今や利益のためなら何でもできるようになり、もう理性
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第165話

「これも全部あなたのせいじゃない?もし毎日きちんと彼女に会いに行って協力してたら、こんなに問題が起こるわけないでしょ?それに、どうして美琴さんを連れて得意げに歩き回るのよ?」会社のパーティーのことを考えると、薫子は全く歯がゆい思いだった。「最初は莉亜さんも私たちの計画に協力すると約束してくれたじゃない?あなたが急にこんなことをしたら、誰だって耐えられないわよ」その話になると、潤もとても悩ましそうだった。「だって、莉亜が兄さんとゴルフをしたって聞いたからじゃないか!あの二人、何も関係がなければ一緒にゴルフなんてするわけないだろ?それに周りからカップルだと思われてる。あの二人がどれほど仲睦まじかったか、想像できるだろう!」潤はそう言いながらソファに座り込み、自分自身もとても腹を立てていた。もし莉亜のことで刺激されていなければ、彼も美琴を連れてパーティーに出席したりはしなかった。実は会社の噂が広まった直後、潤は自分が間違ったことをしたと気づいた。少なくとも会社の株価で賭けるべきではなかった。しかし既に手遅れだった。今、潤は首を横に振って頭の中の思考を振り払い、こう尋ねた。「俺が美琴を田舎に送ったら、それでどうするんだ?莉亜の方はそれでうまくいくのか?」「分からないけど、でも莉亜さんの前では絶対に美琴さんを田舎に送ったなんて言っちゃだめよ。行方が分からなくなったって言いなさい。とにかく、あなたと美琴さんはもう何の関係もなくて、ただ莉亜さんと仲良くしたいだけだとか……聞こえのいいことは何でも言うの!」薫子は息子を見て、すでに気が気でなかった。「あなた、彼女を追いかける時はあんなに苦労して心を砕いたのに、どうして今になって何も分からなくなっちゃったの?」潤はうんざりした口調で言った。「分からないよ。多分、彼女が兄さんと何かあった後で、急につまらなくなったんだ」「このバカ息子……」薫子は苛立ちながら首を横に振った。これ以上言いたくもなかった。潤にいくつか念を押すと、彼女は自分の部屋に戻って休んだ。潤はリビングに長い間座り、携帯を取り出して部下に指示し、美琴を田舎に送らせた。ここまで来れば、母親の言う通りに試すしかない!美琴はこのことを知り、もちろん協力したくなかった。「どうして私が田舎に行かなきゃいけないの?
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第166話

美琴のおとなしく従順な様子に、潤の心には少し感動的な感情が湧いてきた。彼は美琴に何度かキスをした。「やっぱり君は聞き分けがいいな」「だってあなただから、私、頑張ってもいいと思うわ」美琴は笑顔で返した。しかし、心の中では全く穏やかじゃなった。潤のこの言葉の意味は、つまり自分は莉亜より扱いやすいってことじゃないか!表面上はおとなしく従順でも、美琴の心の中では莉亜を激しく恨んでいた。彼女はもう、どうやって莉亜に仕返しするか考えていた。必ず仕返ししてやる……翌朝、明けたばかりの頃。莉亜は多くの迷惑メールを受け取った。すべて異なる番号からだ。ほとんどが莉亜に対する罵倒だった。ブロックしてもしきれない。莉亜は仕方なく、知らない番号をすべてブロックし、知り合いのこういう事に詳しい人に連絡して、こうしたケースの追跡と調査方法を尋ねた。相手は莉亜に警察に通報するよう勧めた。その迷惑メールはかなりひどい言葉で罵っていたから、莉亜に恨みを買った人がいないかと尋ねた。莉亜は肩をすくめて、自分に恨みを買うような人が本当にいるのかと思った。しかしその考えが頭に浮かぶと、一人の人物を思い出した。生田美琴……まさか昨日、薫子が自分と電話した後、すぐに美琴に何かしたのでは?莉亜が潤に電話して探ろうとした時、朔也からの着信が先にかかってきた。「どうしかした?」莉亜は電話に出て、声を潜めて尋ねた。「前の賭け、今日こそ叶えてくれる時だろう?」電話の向こうの男の声はとても優しく、莉亜は耳がくすぐったくなるほどだった。「どうして今日に限って?」「どうした?今日はもう予定があるのか?」莉亜は笑って、予定はないと言い、朔也に計画を立てて迎えに来るよう伝えた。電話を切ると、教授のエドワードから電話がかかってきた。プロジェクトについて相談したいことがあるので、今日来てほしいという。それを聞いて莉亜は慌てた。さっき朔也とのデートを約束したばかりなのに、今から教授に会いに行ったら、あの男は怒り狂うのではないか!でも莉亜も知っていた。エドワードは普段、プロジェクトのことで自分から連絡することはほとんどなく、今日会ってほしいというなら、何か計画があるに違いない。そう考え、莉亜は困ってしまい、自ら朔也に相談するしかなかった。
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第167話

彼は莉亜のほうを向いて紹介してから、自分の隣に座らせた。莉亜は完全に呆然とした。周りはスポンサーやプロジェクトメンバーばかりなのに、朔也はまるで妻を自慢するかのように、莉亜のことをあちこちに紹介して回った。この男、明らかに前々から計画していたに違いない!座った後、莉亜はテーブルの下でこっそり朔也の太ももをつねった。「わざとでしょ?」彼女は二人だけに聞こえる声で尋ねた。朔也は眉をひそめた。「何がわざとだって?」まるで莉亜の言っていることが分からないかのようだった。莉亜は軽く唇を噛んだ。まさに油断してしまった。この男の性格を分かっていたのに、それに今日の会議を知らないわけがない……なぜ今日に限ると言ったのか朔也に尋ねなかった。しかもエドワードからの電話を受けた時も何かおかしいと気づかなかったのだ。今思い返せば、朔也の罠に一歩ずつはまっていったようなものだ!会食自体は特に変わったこともなく、進捗報告会のようで、エドワードも二人のデートについてはただにこにこ笑っているだけだった。途中で、今日の一つの出来事について話し始めた。「私のところで急に実験が必要になったんだが、大きなラボが必要で、リアさんは国内でどこかおすすめの場所やコネを知らないか?」エドワードは確かに国内に使える場所を知らなかったし、機密と賃貸に関わることなので、莉亜にもとても丁寧に話していた。莉亜がどう返事しようか考えていると、隣の朔也が口を開いた。「それは、俺がお手伝いできます」「本当ですか?ラボを貸していただけますか?」エドワードの目がぱっと輝いた。朔也はうなずいた。「もちろんです。これは俺が手配します」朔也が請け負ってくれたのを聞き、莉亜はほっとした。今日の会食が最後には自分の仕事だけになると思っていたが、今は自分の「今日のデート相手」がこの件を引き受けてくれたので、助かった。朔也が承諾した後、エドワードはまず時間と詳細を確認し、それから二人を見て言った。「相馬さん、リアさんに対する気持ちは本気なんですか?」そう言いながら、エドワードはとても不思議そうな顔で、莉亜を一瞥した。周りの人々は理由を知らず、笑いながらおしゃべりしていた。会食が終わり、エドワードが二人を呼び止めた。「お二人の関係が普通の状況じゃないのは
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第168話

エドワードの言う通り、会食の後はその交流会のある大学へ向かった。莉亜と朔也は付いて行ったが、どこか落ち着かない気分だった。彼女はまだ潤と別れていないのに、もう朔也と一緒に得意げに歩き回っている。もし潤たちに知られたら、確実にまた大騒動になり、簡単には済まないだろう。でもここまで来てしまえば、彼女にはどうしようもなかった。ただエドワードの周りにあまり騒ぎ立てる人がいないことを祈るだけだ。学生のほとんどは前回と同じで、莉亜の講義を聞いたことのあるまだ幼さの残るメンバーたちだった。彼らは莉亜を見てとても喜び、彼女を取り囲んでぺちゃくちゃと、前回の講義がどれだけ役に立ったかを話した。莉亜は感動し、来る途中のあの気まずさと不安も徐々に消え、彼らともう少し話した。「今日、先生がこれからもっと大きなラボを用意してくれるって言ってたけど、これ本当ですか?」学生たちはもう莉亜と打ち解けて、口々に「先輩」と呼んでいた。莉亜はうなずき、そういえば今日の件は朔也に任せたことを思い出し、思わず隣の男を見た。朔也はいたって冷静だった。「君たちのために良いラボを探しますよ。安心してください」「わあ、やったー!」学生たちは一斉に歓声を上げた。莉亜はエドワードの手元にあるプロジェクトは一つだけではないと初めて知った。急いでラボを探すのもこの学生たちのためだった。エドワードはにこやかに説明した。「せっかくここまで調査と交流に来たんだから、当然できるだけ多くやるさ。みんな私の学生なんだから、もっと良くしてやりたいんだ」莉亜は冗談のように言った。「私にまで授業をさせてるじゃないですか」エドワードは確かに良い先生だった。学生たちは朔也にもとても興味を持ち、しばらくすると大胆な男の学生が横でいたずらするように「先輩、この人誰ですか」と聞いた。エドワードが何も言わなかったこともあって、莉亜は彼らの冗談に付き合うことにした。もし今ここで朔也との関係を否定したら、とある男がまた怒るかもしれない。エドワードは笑いながら言った。「君たちの先輩のプライベートにはあまり首を突っ込むなよ」その一言で、学生たちの好奇心はさらにかき立てられた。しばらくすると、雰囲気が変わり、なんと学生たちがエドワードと一緒に朔也と莉亜をくっつけようと
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第169話

彼女のためにここまでの振る舞いをしたのか?莉亜がそう訝しげに思っていた時、朔也はふと目を見開き、その瞳はしっかりと彼女の顔を捉えた。「もし俺が、これは俺の本心からの行動だと言ったら、君は信じてくれるか?」「もちろん信じるわ。でも全部を信じるわけじゃないけど」莉亜はそう言って咳払いをしたが、頬が急に熱くなった。朔也が実は何かをほのめかしているのを感じ取れたし、今日は二人の一日デートなのに、今は完全に莉亜の仕事の付き添いになったようだ。「心配するな。結局のところ、俺もビジネスマンだから、自分の考えを全部無視するほどではない」朔也はそう言いながら、眉をひそめて窓の外を見た。「でも、お金を使って君を喜ばせて、順調に進められるなら、それも悪くないと思ってる」エドワードと接してみて、朔也は相手が学生にとても責任感のある教授だと感じた。そんな状況で彼らをもっと助けるのは、悪いことではない。莉亜は軽く眉をひそめ、結局何も言わず、家に着いて礼儀正しく朔也におやすみと挨拶した。朔也が中に入りたがると思っていたが、彼もとても礼儀正しい紳士のように振る舞った。「じゃあ、またね。またデートする機会があるといいな」ドアを閉めると、莉亜の心臓は高鳴った。彼女は朔也に対して、本当に特別な感情を抱いているようだ。でもそれを認めようとすると、自分と潤のめちゃくちゃな結婚生活が思い浮かぶ……今の莉亜にとって、それはあまりにも怖いことだった。多くを語る勇気がなく、自分の感情を押し殺し、エドワードの今後の計画を尋ねた。連絡はすぐに来た。二日後、エドワードは興奮して莉亜に知らせた。朔也が莉亜がずっと欲しがっていた最先端の設備を手に入れたという。前に約束したラボと一緒に、エドワード側に全て用意した。あとは莉亜が実験とプロジェクトに参加するだけだ。その知らせを聞き、莉亜はその日の午後すぐにラボへ向かった。目の前の様々な設備はどれも新品で、朔也が気を遣ったことが分かり、運搬中にも一切の損傷はなかった。「リアさん、これだけでも私たちは長く使えるよ。そうそう、相馬さんは今日どうして来なかったのか?私たち、お礼を言おうと思ってたんだけど」これらが全て朔也のおかげだと知っていても、莉亜が彼のことを話すのはやはり照れくさかった。「今は
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第170話

実は莉亜は、朔也が積極的に手を貸してくれることに感謝すべきだと分かっていた。でも今の二人の関係は、言葉では表せない気まずさが残っている。 朔也は首を横に振った。「君はただ、どんなことをしてもわざわざ俺に説明する必要はないって知っていればいい。俺は君の選択と決断を尊重する。ただ君の決断が、潤とまた一緒になることでなければな」どうして急にこの話になったのか?莉亜は朔也を一瞥したが、結局何も言わなかった。二人で二階の個室へ向かうと、入り口で莉亜は朔也がまだ離れないことに驚いた。彼女は目で朔也に問いかけた。朔也はまったく平然とした様子だった。「電話した時、俺がもちろん君と一緒に食事をしに来たってことに気づくべきだったよ」「でも今日は教授たちにご馳走をするためであって、あなたは……」その言葉を言いかけ、莉亜は瞬きして朔也の意図を理解した。今このプロジェクトに関係する人たちでは、もう朔也と莉亜はカップルだとみんなが思っているから、二人が一緒に現れても非難されず、むしろ祝福される。朔也が望んでいたのは、まさにこんな機会なのかもしれない。そう思うと、莉亜はうつむいて笑い、仕方なく朔也を連れて個室のドアを開けた。「遅くなりました。一階で情報を登録してたので」このレストランは会員制で、予約なしでは入れない。今日莉亜は嬉しかったので、研究室の全員を食事に誘い、当然自分の好きな高級な場所を選んだ。エドワードが朔也が莉亜の後ろにいるのを見て、にこやかに言った。「少しだけの間に、もう一人を連れてきたのかい?」「ちょうど一階で会っただけです」莉亜は顔色一つ変えずに嘘をついた。朔也は笑って言った。「そうですよ。ちょうど一階で偶然会ったんです。今時間がありますから、ちょっとご飯をご馳走してもらってもいいですか?」立派な社長様が「ご馳走してもらってもいいんですか」なんて言葉を口にするとは。周りの人々はお互い顔を見合わせ、すぐにこれがカップル同士の小さな戯れだと理解した。誰も反対せず、朔也はこうしてピッタリと莉亜の隣に座った。莉亜はとても嬉しかった。ここ数日、自分が計画していたことのほとんどはすべて順調に進んでいた。それにエドワードが国内に来てから、莉亜は自分がまだ学問に対して求め続ける心を持っていること
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