幸い、不穏な動きをしていた犯人たちは先日逮捕されて、移動の心配もなくなっていた。「こっちでの滞在は家においで。子供たちも連れてくればいい。」と、上機嫌だった。涼禾が東都に通い始めたある日、中京市にいた涼禾に安西から相談したい事が出来たと連絡が入った。彼女の相談とは、ある客からの依頼についてだった。「昨日わざわざお店を訪ねてくださった方なのですけど。ちょっとお受けするか判断できなくて保留にさせていただいたんです。」「難しい依頼ですか?」「いえ、依頼自体は、娘さんのピアノの演奏会用のドレスを、というもので問題はないのですが。」「では何が問題なのですか。」「それが…。依頼に来てくださったのが瀬川果奈さんとそのお義姉様なんです。」「瀬川果奈さん?ドレスだったら果奈さんの方がずっと姪御さんに合う素敵なものが出来るのでは?」「そう思われますよね。それに、果奈さんといえば……。」安西は少し言葉を詰まらせた。「隼翔さんのことですよね。それについては、こちらがびっくりするくらいあっさりと認めてくださったんですけど。」隼翔は、少し前からの不穏な動きに果奈が関与していないと推測できた時に、周囲より先に涼禾との事を伝えた。果奈は既に何かを察していたらしく、「おめでとうございます。私のことはご心配なく。もうちゃんと心の整理は出来ていますわ。一足先にお知らせくださった御心遣い、感謝致します。私、心からお二人のお幸せをお祈り致しますわ。」と言ったそうだ。その報告を聞いて健人は、「そんなにあっさり認められると、こっちが振られたような気になるね。」と言い、颯太は、「隼翔さんは単純に安心してたみたいだよ。果奈さんてカッコいいね。僕は見直しちゃったよ。」と言っていた。本当の果奈の心の中は分からないが、それなりに複雑なものがあっただろう。それを、周囲に気を遣わせないように振る舞える彼女は強い人だと涼禾は思った。それらを簡単に安西に説明して、「なので、変な意図はないと思います。依頼の様子をもう少し詳しく教えていただけますか。」安西によると、一昨日、店にドレスのオーダーメイドを依頼したいので翌日に訪ねたいとの連絡が入った。店としては、既に予約でいっぱいなので受けるのは難しいと一度は断った。しかし、娘さんがパーティーで涼禾の着ていたドレスがとても気に入って、
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