「はい、そう伺っています。なので、気になって後をついて行ったんです。部屋を出た直後は他のメンバーと会議での不満の続きを言い合っていました。が、途中で一人でトイレの方へ向かったので、少し間を開けて追ってみました。その為最初の方が聞き取れなかったのですが、親しげな口調で、“大丈夫よ、多分社長たちはまた瀬川さんを警戒していると思うわ。”と言う声が聞こえてきたんです。」「また?」「ええ、その後少し声を潜めたので聞き取れなかったのですが、最後に”多分間違いないわ、彼女よ“と言う声が聞こえて、後何か言って電話を切ったようでした。」衝撃の情報に暫く全員が沈黙してしまった。今までの果奈の言動に対する見方を一変させる情報だった。今日の件での果奈の最初の発言は、デザイン変更の可否を問うものだった。それが、他者の発言により歪められ涼禾への反感をぶつける場となった。当然それは果奈の意思を反映したもの、と隼翔たちが判断するように仕向けられたものだった。今までも同じように果奈の意思で隼翔に強引に付きまとっていたかに見えた言動は、実は誰かによって巧妙に歪められたものだったのかもしれない。あの双子へのカードも。「聞こえたのはそれで全部ですか。」健人の確認に、加藤は「残念ながら今日はこれだけです。でも、入江さんについては昨日も気になる行動がありました。」「それは?」「昨日のお昼なんですが、チームの方たちと別れて一人で会社の外へ食事に出られるのを見かけたんです。その様子が妙にそわそわした感じで、人目を気にしているように見えました。なので、気になって中からこっそり行き先を伺っていたら、向かいのビルの1階のカフェに入っていくのが見えました。」「それくらいは普通にありそうだけど…。」「ええ、その後なのですが、もう一人事務職の制服の女性が会社から出て行って彼女と合流したんです。そして二人で食事はせず飲み物だけ頼んでひそひそ話し込んで、15分か20分くらいで別々に戻ってきたんです。」「ずっとその様子を見てたんだ。」感心したように健人が言うと、「勿論、相手に気づかれないように視界を避けて待機していました。」「はい(さすが加藤さん)。で、君の昼食は?」「入江さんの相手の方が戻る先を確認した後食堂ですませました。」「それはよかった。(さすが加藤さん)」 「それで今日の…。
Last Updated : 2026-03-12 Read more